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「サル」「化け物」などと呼ばれてからかわれてきた多毛症のラリット・パティダールさんが17歳になり、これまでの苦い経験や現在の願い、そして夢について語った。前向きで力強いインタビューを『New York Post』などが伝えている。

インドのマディア・プラデーシュ州ナンドレータに住むラリット・パティダールさん(Lalit Patidar)は、先天的多毛症で全身が異常なほどの毛で覆われている。特に顔にはふさふさの毛が生えており、ラリットさんは幼い頃のことを「よく『サル』と呼ばれて石を投げられたり、『動物のように噛まれてしまうのでは』と恐れられたりしたのです」と振り返る。

ラリットさんのような多毛症は「狼男症候群」とも呼ばれ、『Live Science』によると中世以降に確認されているのは100例以下と非常に稀で、X染色体の遺伝子の突然変異によって発生するという。

ラリットさんは「誕生時、全身が毛で覆われているのを見た医師は、『問題ないですよ』と言って毛を剃ってくれたそうです。家族の中で多毛なのは僕だけで、両親は原因も分からずかなり心配したようでした」と明かし、このように続けた。

「僕が『他の子には自分のような毛が生えていない』と認識したのは6~7歳になってからでした。小さな子供たちが僕を見て怖がる姿を見てきましたが、それまでは理由が分からなかったのです。僕は当時、自分が特異だということに気付いていなかったのです。」

「そして学校に行くようになるとからかわれたり、外出すると『怖い』とか『化け物』と言われたりしたこともありました。僕は全く普通の人間なのに、人々は僕のことを伝説の生き物かなにかのように思うようです。」

実は多毛症の治療法は確立されておらず、ラリットさんのような患者は剃毛、トリミング、ワックス脱毛、レーザー脱毛などの対処療法を取るしかない。ただラリットさんはゆっくりではあるが「いい意味で、自分は他の人と違う。とてもユニークな存在だ」と考えるようになり、家族や友人も「外見が違っても中身は普通の子と変わらない」とラリットさんを全力でサポートしてくれるようになったという。

なお4年前のインタビューでラリットさんは「将来は警察官になって、お金を稼いで両親に楽をさせてあげたい」と語っていたが、現在は12年生(日本の高校3年生)になり、農夫である父の手伝いをしながら勉学に励んでいる。またSNSも始めたそうで、将来は有名なユーチューバーになりたいそうだ。

そんなラリットさんは「日々過ごす中で、様々なことを学んできた」と明かし、次のように述べている。

「僕にとってとても重要なことは、『自分が100万人に1人という特別な存在である』ということに気付いたことです。人と違うということは自分の強み。だから僕は僕であることを誇りに思っています。だから外見が違うからといって夢をあきらめたりせず、人生を満喫したいと思っています。そうして常に前を向き、幸せでいたいと思うのです。」

そしてこれまでの苦い経験から、こんな願いを吐露した。

「僕たちはどんな外見の人に対しても、リスペクトを持って接するべきです。もしかしたらその人は病気かもしれないのだから。そして人と接する時はいつでも優しさを忘れないで欲しいのです。なぜならその人がどんな困難を乗り越えてきたのかは分からないのだから。自分が幸せでいることは大切なことですが、人を幸せにすることも同じように重要なことだと思うのです。」

ちなみにラリットさんには、「その強さを忘れないで」「彼の前向きな姿勢がいいね」「勇敢であり続けて欲しい」「人を外見で判断するのは止めよう」「顔の毛だけでもどうにかしてあげたいね」「レーザー治療はどうだろう」「早く薬が開発されるといいね」「人生はフェアではない」「夢が叶うといいね」といったコメントが寄せられている。

画像は『The Daily Star 2022年11月19日付「Teen lives with rarewerewolf syndrome’ that leaves other kids scared he’ll bite them」(Image: mdwfeatures/Lalit Patidar)』『New York Post 2022年11月18日付「Real-life ‘teen wolf’ defies lifetime of bullying: ‘Kids thought I would bite them’」(mdwfeatures/Lalit Patidar)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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