仕事で失敗した、友人と喧嘩した、恋人とすれ違って気まずくなってしまった。「もう何もしたくない」と気分がどん底まで落ち込むときって、ありますよね。

“マイナス思考”が止まらない! 心穏やかに過ごすための「今日からできる6つの方法」【薬剤師監修】

心が疲れると、ネガティブな気分を誰かに何とかしてほしいと思いますが、相手の負担を無視するとまたそこで新しいつまずきが生まれます。

エネルギーがないとき、自分の機嫌を上手にコントロールするにはどうすればいいのでしょうか。

自分の機嫌、どうすればコントロールできる?

まずは自分の状態を知ろう

元気なとき、物事が順調に進んでいるときは、朝のメイクが楽しかったり美味しいものを自炊でしっかり作ったり、何をするにも前向きな気持ちで進められますよね。

反対に、大きなミスや喧嘩などで落ち込んでしまうと、夜の寝付きが悪くなるなど今まで普通にやれていたことも難しくなります。

そんなとき、ふと身近な人が頭に浮かんで「話したいな」「愚痴を聞いてほしいな」「励ましてほしいな」と思うのは、誰だってあることです。

人を頼りたくなるのは、自分の調子をうまく扱えなくなっている証拠。

ひとりで過ごすのがつらく誰かに助けてほしいと思ったときは、まず「疲れているのだな」と自覚することが、自分の状態を知る一歩になります。

誰かを頼るときに気をつけたいこと

相手の負担を考える

たとえば、親しい友人に電話して「こんなことがあって」とつらい気持ちを打ち明ければ、それだけで心が落ち着くことがありますよね。

「大変だったね」「がんばったね」と言ってもらえたら、そこでやっと一息つける、冷静さを取り戻すのもよくあることです。

ここで忘れてはいけないのは、話を聞いてくれた相手への感謝。

「ありがとう」を伝えないまま、元気が出た自分だけを見せて終わらせてしまうと、今度はその人が「ただの聞き役だった自分」を感じて疲れます。

「誰でもよかったのでは」と思うのは寂しいことで、その後連絡があっても「また一方的に話されるだけかも」と思ったらスルーする可能性だってありますよね。

自分のために時間を割いてくれる、話を聞いてくれる負担を考えれば、必ず感謝の気持ちが生まれるはずです。

「友達だから当たり前でしょ」「自分は感謝はいらない」と口にする人がいますが、自分の価値観と相手のそれは別と考えるのが正解で、自分は犠牲をいとわないからといって相手にも同じ負担を強制するのは、正しいやり方では決してありません。

人を頼る前の方法を持っておく

つらいときに誰かを頼るのが悪いわけではなく、自分に時間を使わせること、自分の事情に相手を付き合わせることの負担を想像してそこに感謝するのが、対等な人間関係として当たり前と筆者は思っています。

そして、やみくもに人を頼るのではなくその前に自分の調子を自力で何とかする力が、心の自立を進めて他人とも上手な距離感を保てるとも考えます。

深い焦りや悲しみを抱えると、頭が混乱して何も考えられなくなりますが、そうなる前に「不調のサイン」と向き合う意識が重要です。

朝のメイクが苦痛と気がついたら出社がストレスになっている証拠、その根本には自分のミスや嫌いな人の存在などがあり、放置すれば気が滅入る一方になります。

ネガティブな気持ちが本格化するより先に、「打てる手を用意する」方向に意識を向ければ、失敗の改善や嫌いな人を避けるやり方を考えられます。

恋人と喧嘩して別れの不安がよぎるときは、原因を冷静に考えて自分に非があるなら潔く謝ること、恋人が悪くてこちらがないがしろにされていると感じたら素直に悲しいと伝えることなど、今の状態を変える関わりを思いつくはずです。

不調のサインは心に余裕が残っているときほど対処がしやすいので、逃げずに「まずは自分で変えていく」ことを心がけたいですね。

後ろを向かないために

「次がある」と信じる

自分の失敗や人の嫌な態度を思い出すのは、それだけでつらいし目をそむけたいと思うのが正直なところ。

それでも、事実をきちんと見て乗り越えようとする力が、同じ場面を繰り返さずに済む自分を作ります。

自分自身や人間関係についての希望は、「次がある」と信じることです。

ミスは気をつければ少なくでき、嫌な人は遠ざける決意を持てば「次」が変わります。

自分の振る舞いの責任は自分にあり、誰も代わりにはなってくれません。

その自覚が、「これ以上自分を悪くしない」という覚悟を生みます。

つらい思いの元を見て、「もうしたくない」とはっきり感じることが自分の機嫌を取る最初。

そのためにこれからどうすればいいかを考えるのが客観視であり、「次」を良くする道が見えてくれば、心は安定を取り戻します。

とにかく好きなものに触れてみる

つらいとき、落ち込むときは、好きなものに目を向けましょう。

音楽や映画、本にマンガ、食べ物でも生き物でも、好きなものに集中できるとストレスが和らぎます。

「しんどいときに好きなものなんて楽しめない」というときは、心の余裕が失われている証拠です。

前向きな気持ちになれなくても、触れているだけで無意識のうちに心の回復が進むこともあります。

絵が好きな人はお気に入りの作家さんの作品を見たり、山の景色が好きな人は写真を眺めてみたり、肝心なのは「心の穏やかさを取り戻す機会を作る」こと。

不調のサインと向き合うためのエネルギーをみずから作れることが、心の自立には欠かせません。

好きなものは、他人に左右されず自分の意思だけで大切にできる世界のはずです。

心が落ち着いている状態、普段の生活のなかで「これは好きだな」と思えるものをたくさん見つけておきたいですね。

自立している人は…

自分の機嫌は自分で取る

自立している人ほど、安易に他人を頼りません。

それは他人に対して冷たいわけではなく、自分の言動に責任を持っているからです。

気分が落ちていくのをそのままにすると、いずれ感情が器からあふれて行動に現れます。

真っ黒な気持ちを「誰か何とかして!」と他人に解消を求めると、相手にとって負担になる、犠牲を強いるのだと知っている人は、そうなる前に自分で機嫌を取れるように努力しています。

それが好きなものに触れることだったり体を動かすことだったり、大切にしている自分の世界があるのですね。

誰かに「助けて」と手を伸ばすのは、がんばったその後のこと。

その人の努力がわかると、頼られた側も手を取ろうと思えます。

何もせずただこちらに時間を割くことを当然にする人と、何とかしようとしたけれどダメだった最後に頼ってきた人では、受け止める側の印象はまったく変わります。

「ありがとう」「お互いさま」を当たり前にできる人ほど、その前に自分の機嫌は自分で取ることを意識しているのですね。

疲れたとき、とにかく何とかしたいと周りを巻き込んで動く人を見ますが、自分が楽になることだけを考えるとたいていはうまくいきません。

機嫌のコントロールができる人は、自分の振る舞いを客観的に見るので問題の本質をきちんと考える余裕があります。

その姿こそ、周囲には強い信頼につながることを、覚えておきたいですね。