毎年11月になると多くのプリキュアファンは「商標バレ」に悩まされます。知らない方は全く知らない異世界のお話かもしれませんが、一部のプリキュアファンからしたら由々しき問題なのです。

【画像】「デリシャスパーティプリキュア」の商標検索結果

 「商標バレ」とは「商標登録の情報から、公式発表前に次作のプリキュアタイトルが判明してしまう」というものです。プリキュアに限らず、スーパー戦隊仮面ライダーなどニチアサ関係では毎年のように発生しているネット上での出来事ですね。アニメに限らずゲームなどでもよく見かけます。

 「商標バレってなぜ起こるの?」「公式発表よりも先にタイトルを知ってしまうことの何が悪いの?」と思われる人も多いかと思いますので、一度まとめておこうと思います(この「商標バレ」の根は深いものがあり、自分の経験として、娘がまだ幼稚園に通っていたころ、公式発表前に次期プリキュアタイトル幼稚園中に知れ渡っていた、ということが実際にありました)。

※幸いにも2022年はまだ「商標バレ」は起きていません

プリキュアにおける「情報バレ」

 「東映アニメーションからの公式発表前にタイトルビジュアルなどの情報がネットに拡散され見てしまう」ことを「情報バレ」と定義すると、プリキュアで起きる情報バレには主に3種類あります。

・商標バレ:商標登録から次期タイトルを知ってしまう

・玩具解析バレ:おもちゃの解析で新しいプリキュアなどが判明する

・関係者バレ:業界関係者からのリーク

 どの「情報バレ」もSNSなどで拡散され、意図しないタイミングで目に触れることとなり、公式発表を楽しみに待っているファンからすればとても腹立だしいものと思います(中にはこういった「情報バレ」を全く気にしない人もいて、その考え方には個々の温度差があります)。

 ただ、これは不快であるという「お気持ち」の問題だけでもないのです。これらの行為は明確にプリキュアというコンテンツに損害を与える行為なのです。

●商標バレとは?

 プリキュアで最初に起こるのは「商標バレ」です。

 「商標バレ」とは、特許庁の登録商標の照会により次期プリキュアタイトルやロゴが公式発表前に判明してしまうことです。通常、アニメゲームなどは、他者に名称を使用されないように公開前に商標登録出願しておくことが一般的です。企業が商標登録の出願を行うと2~3週間後にその内容が公開され、誰でも「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を通して閲覧可能になります。

また、原則として出願日から2、3週間程度経過後、出願内容が一般に公開されます(出願公開)初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~ | 経済産業省 特許庁

 プリキュアシリーズでも、例年10月中旬に新しいタイトルの「商標登録願い」が出され、10月下旬~11月上旬にかけて一般公開されています。

(例えば2022年放送中の「デリシャスパーティ・プリキュア」(「・」はハートマーク)は、2021年10月18日に商標登録願いが出され、11月2日に出願内容が一般に公開されています)。

 例年の流れでは、11月末に次のプリキュアの正式タイトル東映アニメーションから発表されます。その情報を待たずに11月上旬に商標登録の情報を先にネットなどで拡散することが「商標バレ」と呼ばれている行為です。

 公式からの発表を楽しみにしているファンからすれば、不用意に次期プリキュアタイトルが目に入ってしまうこととなってしまいます。

 Twitterでは「商標速報bot」などが意図せず拡散してしまうこともあり、情報を見たくない人にとってはなかなか防ぎきれない現状があります。この「商標バレ」は、東映アニメーション側が意図した情報公開ではないため、これを拡散する行為はマナー的には良くありません。

●公開されている情報をどう扱おうと自由じゃないの?

 とはいえ「機密情報の違法なリーク」ではなく一般公開されている情報です。

 「国から公開されている情報なのだから、どう扱おうと個人の自由じゃないのか?」と思われる方も多いかと思います。

 確かに公開されている情報ですので、おそらくSNSで拡散しても法的には問題はないかもしれません。ただ、公開されている情報だからといってどう扱っても良いわけではないのです。

 この商標検索は「商標により利害関係が発生する人」が検索して、似たような商標がないかを調べるための制度です。特許庁のWebサイトには「先行商標登録調査」のために使用することが書かれています。

 出願前には先行商標調査を行うことが大切です。他人が既に同一・類似の商標(マークが類似し、かつ、商品・役務が類似するもの)を登録している場合には、登録を受けることができないだけでなく、無断で使うと商標権の侵害となる可能性もあるためです(参考:「商標権は出願したらすぐに取れるの? 商標権を取るにはいくらかかるの?」経済産業省 特許庁Webサイト)。

 例えば「食」を意識したパーティーグッズデリシャスパーティ」を企画している企業が、事前に類似した商標はないかを調べるためにあるものです。

 それを利害関係の全くない人がわざわざ商標を調べて、興味目的やバズり目的で「拡散する」のは本来の商標検索の目的ではありません。

 これは「官報で告知されている自己破産者」を本来の目的ではない「自己破産者マップにして公開してはダメ」なのと広義では通ずるものと思われます(参考記事:物議を醸した「破産者マップ」が閉鎖)。

 商標バレを拡散する行為は「別に法的には問題ないかもしれないけど、わざわざ拡散するのは少なくともプリキュアファンとしてはあまりお行儀のよくない行為」であることは認識しておいた方がよいと思います。

 もちろん、公開されている商標を「個人的に見に行く」のは何も問題ないと思われます。個人的に商標を検索して「ああ、来年はこんなタイトルなんだな……」と胸の内にしまっておくことは良いと思います(自分もやります)。

 さらにネタバレOKクローズドな仲間内で話す事もありだと思います(自分もやります)。

 ただ「SNS不特定に拡散する行為」はお行儀がよくない行為だと個人的には思います。

●玩具解析バレ

 その他の「情報バレ」の一つに「玩具解析バレ」と呼ばれているものもあります。

 最近のプリキュアの電子玩具の中には、後に追加される新しいプリキュアの情報が既に入っていて、通常の操作では出てこないけど、後日発売される新しいアイテムと連動して玩具内の情報が解禁される、みたいなものがあります。

 それを意図的に操作し、情報を解析してネットなどに拡散する行為が「玩具解析バレ」です。

 かつては匿名掲示板でひっそりと公開されることが多かったのですが、最近ではYouTubeなどでPV稼ぎのために使われることも増えています。

 「たまたま見ていたYouTubeサムネイルで偶然ネタバレを見てしまった」という事故もよく聞くようになりました。これもなかなか防ぐことが難しいですよね。

 ただ「子どもが操作していたら、偶然にも新しいプリキュアが出てきてしまった」という例も多々あり、それを(良くないことだとは知らずに)SNSに上げてしまう人もよく見られます。このあたりの線引きが難しいですよね。自分で買った玩具をどう扱おうが自由、という意見もあります。

 玩具で遊んでいて偶然見つけても、個人の心の中にしまっておいてSNS不特定多数に拡散するのは控えた方が良いかもしれません。こちらもマナーの問題になってはしまいますが。

●関係者からのバレ

 最近では少なくなってきましたが、かつては業界関係者と思われる人が匿名掲示板YouTubeなどに情報を流してしまうこともありました。

 「業者向けのカタログ」の情報だったり、『たのしい幼稚園』『おともだち』といったプリキュア情報の載っている児童誌の画像だったりが発売前にリークされることもありました(これらは完全にアウトな案件ですね)。

 最近は情報の規制が厳しくなってきたのか、あまり見掛けなくなってきました。

 その他にもあらゆる所からバレは起きてしまいます。

 故意ではないものとしては「グッズ製作業者が公式の情報解禁前に、Amazonなどの通販サイトにうっかりグッズの画像を載せてしまい、次のプリキュアビジュアルが判明してしまう」などもよく起こることの一つです。

 昨今では、廃棄されるはずだった印刷物の損紙(ヤレ紙)からビジュアルのバレが発生するなど、もはや何が起きるのか分からない世界となっています。

 新しいプリキュアグッズを製作している業者には、情報解禁前には当然厳しい情報規制がされています。しかしその網をかいくぐり情報が漏れてしまう例は枚挙に暇がありません。SNS時代にはどこで何が漏れるのか分からなくなってきています。

 ただ重要なのは、これらの「バレ」を偶然見かけてもそっと心の中にしまって決してネットで拡散しないことです。

●「情報バレ」の何が悪いの?

 「バレの何が悪いの?」

 「別に自分がバラしたわけではなく、SNSで回ってきた画像なのだからTwitterで拡散して何がいけないの?」

 そう思われる方もいるかもしれません。

 しかし、次期タイトルビジュアルを「制作者が意図するタイミングじゃない時期や場所で拡散する」ことは東映アニメーションの商売を邪魔すること、つまりは利益を損ねることにつながっていきます。それは「プリキュアというコンテンツの首を絞めること」に他ならないのです。

 かつて「スター☆トゥインクルプリキュア」のプロデューサー、柳川あかりさんは、講演の中で「プリキュアプロデューサーの仕事の一つに情報の管理があり、いつ、どの情報を出すのかにはかなり気を使って統制している」旨の発言がありました。

 あるコンテンツが作られ、どのように情報を開示し、そこからどのように利益を出していくのかは綿密なロードマップが敷かれています。

 そこではたくさんの関係者がその日に向けて動き、最大限に効果が出るようにコントロールしているのです。

 それを全くの部外者が、承認欲求のため、お金のために勝手に情報を拡散して良いものではないのです。情報バレのせいで売り上げが左右されることも十分に考えられます。

 プリキュアが好きであるならば、なおさらプリキュアの足を引っ張る行為をしてはいけません。

 自分はバレを見たって平気だからといってSNSで「拡散」する行為は、東映アニメーションの商売の邪魔をするということにつながっていきます。公式から正式に発表になってから大々的に騒げばよいのです。

●バレを見たら、どうするのが良いのか?

 「情報バレ」はコンテンツを楽しみにしている人にとって、とても腹が立つ行為かと思います。自分も意図しないタイミングでバレを見てしまったときはものすごく怒りが湧いてきます。

 もちろん自分から拡散しないことは当然として、うっかり「バレ情報」を目にしてしまった場合、どうすればよいのでしょうか?

 これは下記に集約されるかと思います。

 ・スルーする。話題にしない。そのワードを含むツイート自体をしない ・公式サイト、公式Twitterなどを確かめる

 まずは完璧なスルーです。「新しいプリキュアの商標登録来たってホント?」「ネタバレみちゃった!!」みたいなこともつぶやかない方が良いと思います。ぐっと我慢です。

 その後は常に「公式サイト」「公式Twitter」などの発表を基準としておくことが確実です。「公式が発表していないものは公式情報ではない」くらいの心構えをしておくとよいと思います。

 ただ、プリキュアや戦隊、仮面ライダーなどのニチアサコンテンツは毎年新しく入ってくるファンも多く「バレ情報の拡散が良くないことだと知らずに無邪気に拡散している人」もかなり多く見られます。そんな人は「知らないだけ」なので優しく対応していくことも必要ですね。

 「バレ」は意識しないと完全に防ぎきれません。自分もここ数年は必ずどこかから不用意に目に入ってきました。

 かつて、匿名掲示板が主流だった時代は、わざわざ自分から見に行かなければ情報が得られませんでしたが、今やSNSが主流となり意図せずに情報が目に入ってしまう機会が増えてきました。

 今のところ、ニチアサの「情報バレ」に関しては「自己防衛」する以外に道はありません。Twitterであれば、ミュートブロックなどを駆使して自分のタイムラインを自分で構築する以外にネタバレを防ぐ方法はありません。

 そもそも「結局数カ月後にはみんなが知ることになる情報」にいったい何の価値があるのかが自分は不明なのですけどね。

●著者:kasumi プロフィール

プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。

2022年「デリシャスパーティプリキュア」も佳境に入ってきました(出典:Amazon.co.jp)