自分の母語でない言葉を使う時、どこかずれた表現になってしまうことがあるように、覚えたてだからこそのユニークな用法も生まれるもの。フランス人パートナーが新たに覚えた日本語の活用法が素敵だとTwitter上で反響を呼んでいる。

【漫画】本編を読む

■ネガティブなイメージの「〇〇まみれ」、意外な場面で素敵に応用

フランス人のパートナー・ガイックさんと、今年生まれた赤ちゃんと暮らすヒロコ(Twitter:しばひろ@hirokokokoro)さん。「コスモポリタン」上でフランス事情を描いた漫画を連載するほか、「うちのガイックさん」(ブティック社)としてガイックさんとの日常をエッセイとしても発表。現在も、自身のブログやSNS上でもガイックさんや赤ちゃんとの日々を作品として公開している。

今回注目を集めたのは、11月に投稿された「応用が早い」という漫画。ガイックさんが新しく知った日本語の使い方を切り取ったエピソードだ。

テレビの日本語講座で「〇〇まみれ」という表現を覚えたガイックさん。一般には「汗まみれ」や「泥まみれ」のようにあるものがついて汚れたり、問題になる事柄でいっぱいという時に使われる、比較的ネガティブな言葉だ。

そんな言い方を、ガイックさんは泣いている赤ちゃんを見て「涙まみれ…!」と早速活用。さらには、ヒロコさんが寄り添い、二人で穏やかな時間を過ごしている際にも「愛情まみれ」という、なんともほほえましい表現に“応用”するのだった。

■お互いに日々相手の言葉を勉強、新鮮な使い方は“お互い様”

その言葉が帯びた響きやイメージに先入観がないからこその、思ってもみない使い方を描いた一篇。Twitter上では2万4000件を超えるいいねとともに、ユーザーから「愛情まみれは素敵」「愛情まみれ羨ましい」「癒やされた」とほっこりする反応が多く寄せられた。

ヒロコさんによるとガイックさんは日本語を、ヒロコさん自身はフランス語を就寝前に日々勉強しているとのこと。ガイックさんはフランス語と日本語を半々程度で使い分けるとのことで、「普段はわたしと話す時以外はフランス語で、難しい話題の時は日本語で話してくれます」と教えてくれた。

また今回のように、覚えたばかりの日本語をガイックさんがすぐ使うのはよくある光景だそう。もちろん、そこはヒロコさんも同様で、覚えたのがフランス人からすると古めかしい表現だったためガイックさんに笑われた、というケースもあったのだとか。「新しく覚えた日本語を積極的に日常会話の中で使っていく姿勢は見習わないとなと思いました」。ガイックさんの日本語についてと話すヒロコさんだが、そうした実践精神はお互い様のようだ。

取材協力:ヒロコ(@hirokokokoron)

泣きじゃくる赤ちゃんは「涙まみれ」。なんともユニークに聞こえる「〇〇まみれ」の応用法/画像提供:ヒロコ(@hirokokokoron)