スバルがクルマのランプスイッチの操作性を見直しています。オートライト義務化以降、消し方がわかりづらいという声を受けてのこと。独立した「OFF」ポジションが復活しました。

「OFF」がない車種も オートライト義務化でライトスイッチが変化

最近のクルマのライトスイッチには、全消灯する「OFF」ポジションがないものがありますが、そうしたスイッチ類の操作性を見直す動きもあるようです。

スバルは2022年11月24日、「レヴォーグ」と「WRX S4」の一部改良モデルを発表しました。改良点のひとつがライトスイッチで、「スモール(車幅灯/尾灯)&OFF」を1ポジションから、「スモール」と「OFF」に分け、2ポジションに変更したといいます。この改良スイッチはすでに「BRZ」や「アウトバック」にも採用しているそうです。

クルマのライトスイッチは近年、大きく変わっています。2020年4月から普通車でオートライトの義務化が始まり、その前後から、「AUTO」のポジションがデフォルト、というスイッチが導入されています。

従来のスイッチは、「OFF」がデフォルトで、「AUTO」「スモール」「前照灯」の4ポジションが一般的でしょう(車種により異なる)。それが、車種によっては「OFF」がない、あるいはスバルのように「スモール」「OFF」が一体というものが登場するようになっています。「OFF」があっても、スイッチをそのポジションに合わせると、自動でくるっと「AUTO」に戻るものもあるなど、操作性はメーカーにより異なりますが、いずれも、停車中など一定の条件下でないと完全消灯できなくなっています。

オートライトは、薄暮時の交通事故を防止するため、早めのライト点灯を促したり、つけ忘れを防いだりする目的から義務化されました。なお、保安基準上は「自動点灯に係る機能については、手動による解除ができないものでなければならない」こととされています。

このため、ライトをOFFにしたとしても、走り出せば自動点灯するようになっており、走行中は意図的に消灯することができなくなっています。ただ車種によっては、停車中の消灯方法もわかり難いという声があるようです。

「OFF」独立だけじゃない スバルが考えた新スイッチとは

レヴォーグなどが装備する改良型のスイッチについて、スバルは次のように話します。

「従来のスイッチは停車中に『AUTO』から下に1回ひねれば前照灯が消え、そのまま2秒間保持すると全消灯となりました。消灯に2段階のアクションが必要なのでわかりづらいという声があり、スモールとOFFのポジションを分けました」

改良型はポジションが下から「OFF」「AUTO」「スモール/AUTO」「前照灯」という配置に。「AUTO」がデフォルトで、OFFにひねると完全消灯するものの、自動でAUTOに戻り、走り出せば全点灯となります。「スモール/AUTO」ポジションにすると、スモールランプが周囲の明るさにかかわらず点灯し、走行すると前照灯も点灯します。

要するに、全消灯するポジションをわかりやすくし、「スモール/AUTO」で車幅灯だけをつけたいシーンにも対応しつつ、このポジションでも走り出せばヘッドランプを自動点灯させることで、法規に対応したというわけです。

「地下駐車場などで停車中にヘッドランプを点灯させているとまぶしいので『意図的に消したい』といった声がありました」とスバルは話します。オートライト義務化で変化したライトスイッチですが、こうした操作方法の見直しが今後進むかもしれません。

ちなみに、スバルの改良型ライトスイッチを採用しているBRZの取扱説明書には、ライトスイッチの操作方法を紹介している箇所にこう注意書きがあります。当たり前といえば当たり前のことなのですが。

バッテリーあがりを防止するために、エンジンが停止した状態で長時間ランプを点灯しないでください」

OFFのポジションがないライトスイッチの例(画像:kwangmoo/123RF)。