多浪生は何かと目立つので、予備校内が敵だらけになってしまうケースがあるといいます。現役生も例外ではありません。受験を控えた周囲のギスギスしたなかでトラブルが生じることはよくあります。9浪して27歳で早稲田大学に合格した濱井正吾氏が著書『浪人回避大全 「志望校に落ちない受験生」になるためにやってはいけないこと』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

陰口をうまく勉強へのエネルギーに転換

▶「人間関係」人間関係の悩みを抱えている/重要度★★★★★

人間関係の悩みを抱えて勉強が手につかなくなる。これ、割とよくあります。

私のように毎年勉強をしていると、友人関係や予備校にいる学生との繋がりもコロコロ変わります。よくしゃべる年、無口な年、性格がよい人間が集まる年、逆に悪い人間が集まる年。仲がいい学年が受験を終えて卒業するときはものすごく寂しかったですし、仲が悪い学年が卒業するときは安堵しました。

残念ながら私は、よりによって受験の最終年だと決めていた9浪目にして「性格の悪い年」にぶち当たってしまいました。

毎日予備校の自習室に行っていた私は夏頃から、何かあるたびに聞こえるように陰口を叩かれるようになりました。すれ違う際の「チッ」という舌打ちに始まり、いろいろ言われたものです。

「あいつ27歳になって早稲田に入って何になんねん」 「昼休みくらい勉強やめろや、なんのための休憩やねん」 「単語テスト、何浪もしてるやつ(私)のせいでトップになれんかった」

多浪は何かと目立つので、私ではなくともこうして予備校内が敵だらけになってしまうケースもあるでしょう。現役生も例外ではありません。受験を控えた周囲のギスギスした雰囲気から、諍いが生じることはよくあるはずです。

学校という狭い場所で毎日決まった面々と顔を合わせていると、ほんの些細な発言や行動で人間関係がこじれてしまい、個人間に過ぎなかった軋轢がやがてクラスを巻き込み、集中砲火を受ける対象になることもあるでしょう。

では、このような場合はどうすればいいでしょうか?

残念ながら万能の対応策はありません。ひたすら無視しましょう。でも、やり方によっては利用することもできます。

私はこうした陰口から来るストレスを溜め込まずに予備校の職員さんに吐き出していましたが、それに加え、負の感情を勉強へのエネルギーに転換させていたのです。

「27歳で早稲田に入る意味を証明してやるし、休憩中も全部勉強して差をつけてやるし、単語テストでは絶対毎回1位を取ってやる」

陰口を叩いていた方々はほぼ私と同じ早稲田志望。学力はそこまで変わりません。それでも最終的に受かったのは私だけでした。わずかな意識と、勉強時間の差が明暗を分けたのだと思っています。

使えるものはなんでも使う。

それが負のエネルギーでも。人を見返すというハングリー精神が人一倍強かった私は、彼らの陰口をうまくエネルギーに転換できました。

自分の弱さを認め、人のすごさを認める

▶「友達」同じ属性の友達をネットで作ってつるむ/重要度★★★☆☆

人間は同じ属性の人間で集まりたがる習性があります。例えば、予備校に自分のような多浪がいないと、どうしても心細くなって同じような仲間をネットで探したがるでしょう。それ自体は辛い浪人生活をお互い乗り切るためにはいい手段だと思います。

ここで大事なのは「つるまないこと」です。人間にはさまざまなタイプがあり、一概には言えませんが、何回も浪人をする人は大概それ相応の理由があります。勉強法が間違っている、変なこだわりがある、サボり癖がある……など。そういう人同士でつるんだが最後、傷の舐め合いをしているうちに浪数を重ねることも想像に難くありません。

だから私はネットで友達を作るなら、(特に浪人生の場合は)自分より年下の受験生にすべきだと思います。

優れた受験生の薫陶を受けて、自分にないものを素直に認め、吸収していく姿勢こそが大事だと私は思うのです。10代・20代前半の1歳差は絶対的な差があるように錯覚します。年下の考え方や姿勢を吸収するなど、プライドが許さないかもしれません。

でも、その意固地な考えが多浪の原因になっている可能性も受け入れた上で、誰にでも教えを乞う姿勢を見せませんか。1浪の受験生も現役生、現役生も高校1年生や2年生の後輩から吸収できることがたくさんあります。

私はいつも10代後半で過酷な受験勉強をし続ける学生たちを尊敬し続けていました。なぜなら自分がこの年代のときなど、何も考えず、ただひたすら楽なほう、楽なほうへ行きたいと考えていたからです。

早稲田にいるときも自分よりも若い学生に囲まれる生活を送ってきましたが、自分が20歳前後のときに持たなかった能力や姿勢を持っているということに敬意を抱いていました。

自分の弱さを認め、人のすごさを認めること。これが浪人回避・脱却に必要な姿勢だと思います。

濱井 正吾 9浪はまい

(※写真はイメージです/PIXTA)