朝晩、冷え込みが厳しい日が増え、暖房器具を使い始めた人も多いと思います。さまざまな暖房器具の中で、電気こたつは「火を使わないから安全」と思いがちですが、電気こたつが原因の事故が毎年発生しており、死者もほぼ毎年出ているそうです。電気こたつの事故事例と使用上の注意点について、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)製品安全広報課の担当者に聞きました。

洗濯物を乾かさない!

Q.電気こたつで火災などの事故が毎年発生し、死者も出ているのは事実でしょうか。

担当者「事実です。NITEに通知された製品事故情報のうち、電気こたつの事故は、2017年度から2021年度の5年間で29件に上ります。その多くが発火事故で、うち4件が死亡事故です」

Q.亡くなったり、負傷したりといった被災者は、どういう人が多いのでしょうか。

担当者「40代以上の被災者が多く、80代が最も多くなっています。死亡事故だけを見ていくと、高齢者が際立って多いです。理由としては、長年暖房器具を使ってきての『慣れ』があって誤使用をしてしまったり、あるいは身体的な衰えがあって逃げ遅れたりといった影響があると思われます」

Q.電気こたつは火を使わないのに、なぜ火災が起きるのでしょうか。

担当者「電気こたつの中に座椅子を押し込んで、こたつ布団がヒーターユニットに接触したり、洗濯物を乾燥させようとこたつの中に入れておいたりして、放射熱(電磁波の形で製品から放出される熱)によって過熱し、火災が発生することがあります

電源コードが損傷していて、火花が出て、発火した事例もあります」

Q.電気こたつを使用する際の注意点を教えてください。

担当者「次に挙げる点にまず注意してください。

(1)可燃物と接触しないようにし、こたつの中で衣類などを乾かさない
(2)就寝時や外出時は、電源プラグをコンセントから抜いておく
(3)電源コードの破損がないか、点検する。電源コードは踏まない、引っ張らない、折り曲げない
(4)定期的に清掃を行い、ほこりを取り除く
(5)リコール対象になっていないか確認する(※NITEが提供するアプリや、消費者庁経済産業省、NITEなどのホームページで、最新のリコール情報が入手できます)

電気こたつの取扱説明書もよく読んでおきましょう」

Q.この冬は電気料金の高騰もあり、節電を心掛ける人も多いと思います。節電を意識しつつ、安全に電気こたつを使うコツがあれば教えてください。そのほか、注意点があればお願いします。

担当者「先ほど、『就寝時や外出時は、電源プラグをコンセントから抜いておく』と注意事項を挙げましたが、使用しないとき小まめに消すことは、節電にもつながります。安全のためにも、節電のためにも、心掛けていただければと思います。

また、コロナ禍でテレワークが増えたためか、1人で使うこたつが人気だそうです。足元を温めるのによいとは思いますが、つけっ放しにしたり、誤った使い方をしたりして事故を起こさないよう、注意してください」

オトナンサー編集部

電気こたつの発火=いずれも製品評価技術基盤機構(NITE)提供