紙ストロー

近年、多くの飲食店で日常的に見られるようになった紙ストロー。とはいえ紙との相性が極端に悪いドリンク類も存在するため、拒否反応を示す人も少なくない。

なお以前ツイッター上では、スターバックス店舗で紙ストローを断った際、代打として現れたストローの姿に驚きの声が寄せられていたのをご存知だろうか…。

【話題のツイート】紙ストロー、必要ないのでは…?


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■ストローに書かれた「3文字」は…

まず注目したいのは作家、マンガ原作者、ブロガーとして活動するRootportさんが投稿した1件のツイート

こちらの投稿には「紙ストローが残念すぎるので泣く泣くスタバで『プラストローください』って頼んだら、スタバのプラストローはそもそも生分解される環境に配慮したストローだったと気づいたときの俺の感情」と、意味深な文章が綴られていた。

生分解性ストロー

添えられた写真には包装された状態のストローが写っており、包装紙の説明文をよく見ると…。そこには「生分解される環境に配慮したストローです」と記されていたのだ。


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■紙ストローの「存在意義」にツッコミ相次ぐ

こちらのツイートは、投稿から数日で2万件以上ものRTを記録するほど大きな話題に。他のツイッターユーザーからは「これがあるなら、紙ストローって一体…?」「最初からこれで良いのに、どうして紙に変えた…?」「環境に良いプラストローがあるなら、紙ストローいらないよね」などなど、疑問の声が多数寄せられていた。

中にはスタバの施策について否定的な意見も見られたが、ツイート投稿主・Rootportさんは何千杯ものスタバドリンクを飲んできた生粋の「スタバファン」であり、今回のツイート投稿の経緯については「プラストローを頼んだ場合もきちんと環境に配慮したものが出てきたため、その驚きをツイートしました」と、感動に基づくものであると説明している。

Rootportさんはスタバの環境対策に共感を覚えており、マイタンブラーを持参しての「タンブラー割引」が特にお気に入りな模様。「スターバックスの公式タンブラーはもちろん、他社の魔法瓶でも割引してもらえます。紙カップのような匂いがつかず、いつまでも熱いコーヒーを飲めて、おまけに割引までしてもらえる。QOL爆上がりです!! ぜひお試しください!!」と、太鼓判を押していた。


■そもそも「生分解」って何だ?

…と、ここまで当然のように「生分解」という言葉をスルーしてきたが、こちらの事象について改めて確認しておきたい。

生分解性ストロー

日本バイオプラスチック協会(JBPA)は、公式サイト内にて「生分解とは、単にプラスチックがバラバラになることではなく、微生物の働きにより、分子レベルまで分解し、最終的には二酸化炭素と水となって自然界へと循環していく性質をいいます。『生分解性プラ』の生分解度は、国際的に規定された試験方法と、定められた基準により審査されます。さらに、重金属等の含有物、分解過程(分解中間物)での安全性などの基準をクリアした製品だけが、生分解性プラマークをつけることができます」と、生分解性プラスチックについて定義づけている。

つまり、生分解性プラスチックは通常のプラスチックと同様に使うことができ、且つ使用後は自然界に存在する微生物の働きで、最終的に「水」と「二酸化炭素」に分解され、自然界へと循環するプラスチックのことを指すのだ。

聞けば聞くほど「こんなストローがあるなら、なおさら紙ストロー必要ある?」という疑念が強まってくるが、果たしてスタバはどのような経緯で紙ストロー、生分解性プラストローの導入を決めたのだろうか。

ことの経緯をめぐり、スターバックスコーヒー ジャパンに詳しい話を尋ねてみたが、残念ながら回答は得られなかった。そこで「現代のストロー事情」について理解を深めるべく、前出のJBPAに話を聞いてみることに。その結果「3種のストロー」に関する、様々な事情が明らかになったのだ…。

■スゴいぞ、生分解性プラスチック!

今回の取材で注目したのは、通常のプラストロー、生分解性プラストロー、紙ストローの「3種のストロー」それぞれの特徴について。

もちろん一言に「生分解性プラストロー」といっても、プラスチック自体の種類は複数存在し、且つ周囲の環境や条件によって生分解に要するため、一概に特徴を断ずることができないのだが、そうした条件の下でも、JBPAは質問内容に正面から向き合ってくれたのだ。

まず生分解性プラスチックの歴史について、JBPA担当者は「ストローに使用され始めたのは1年ほど前からではないかと思いますが、正確には承知しておりません。また日用品への展開は、ほとんどなされていないと思います」と説明する。

その上で、通常のプラスチック(石化系非生分解性プラスチックとする)と生分解性プラスチックの最も大きな違いについて「コスト(価格)と生分解性の有無です」「石化系非生分解性プラスチックに比べ、生分解性プラスチックは数倍の価格となります。また、生分解性という特質があるために『耐久性や強度が求められる製品や部品には採用されにくい』ということになります」と、コメントを寄せてくれたのだ。


■決して見逃せない「コスト」の存在

環境面で考えると「生分解性の有無」が重要な点となるが、企業としては生産に関する「コスト」も決して無視できない存在だ。

そこで「各ストローを大量生産した場合、最も費用がかかるのはどのストローか」について質問したところ、JBPAからは「大量生産上は、通常のプラストローが最も安価でしょう。次点で紙ストローが安いのではないかと思います」という回答が返ってきたのだ。恐らくスタバもこうした事情を考慮し、紙ストローをメインで採用しつつ、第二の矢として生分解性プラストローを準備している…というのが実情と思われる。

紙ストロー

FIFAワールドカップカタール大会にて、日本人サポーターらの「ゴミ拾い」に称賛の声が寄せられている昨今。国民一人ひとりが身近な「ゴミ問題」や「環境問題」に改めて目を向けてみる、絶好の機会ではないだろうか。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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