◆昨今のセクシー業界のギャラ事情

 前回はメーカーの看板的存在である「単体女優」のギャラについて解説した。ある程度給料の事情を知ると、今度は一か所に縛られず活動を行う「企画女優」のギャラが気になってくるのではないだろうか。

 よく「企画女優」と「企画単体女優(キカタン)」の差についても聞かれるため、その点においても触れておきたい。

 先に強調しておきたいのは、現在のセクシー業界の給与水準に関しては世間の人々が想像するよりも遥かに低いということ。そのことを前提にして、私の話を聞いてほしいものだ。

◆企画女優とは何か?企画単体女優との違いについて

 企画女優とは1つのメーカーに拘束されることなく、さまざまな作品への出演が可能な女性たちを指す。専属ではないことから1カ月あたりのリリース本数に制限がかけられず、オファーがあったらあった分だけ撮影をこなす。仕事を受けるか否かは個人の自由だが、単体女優よりも遥かに多くの作品へ出られるメリットがある。

 なおセクシー業界における「企画」とは、ナンパものなど、ジャンルカテゴリーのこと。メーカーは撮影前に会議を行い、企画内容にぴったりとハマる女優達をキャスティングする流れだ。

 一方の単体女優は出演する本人が主役。彼女たち主体で作品作りが進むが、企画女優に関しては企画がメインであり、女優たちがその内容に花を添えるイメージと言えよう。

 そして企画作品には女優が複数出演するものと、ピンで出演するものの2種類に分かれる。前者は芸名が出ないパターンも多いが、後者は女優名を大きく売りにしているケースも。これが「企画女優」と「企画“単体”女優」を見分ける方法だ。とはいえ現在の業界は、企画女優も企画単体女優(通称:キカタン)もほぼ一緒くたになっている状態だが。

 少し前は単体・キカタン・企画と明確に線引きされていたが、近頃は企画作品で単体を張れるレベルの人気者も、素人のていや別人のふりをしてその他大勢系のビデオに出演している。時代の途中で企画とキカタンの垣根はなくなったらしい。なので話をまとめると、企画女優と企画単体女優はほぼ同じと考えて構わないということだ。

セクシー界隈で多く存在する「企画女優」の給料システムは?

 単体女優が月給制であることに対し、仕事がある分だけ活動できる企画女優の給料は完全歩合制。固定給は一切用意されておらず、こなした仕事の数だけお金が入ってくるシステムだ。月に何本でも出演、そしてリリースできることから作品1本当たりのギャラは単体より低くなる。

 だいたいキカタンと呼ばれる女優は、1本につき15万~40万前後くらいのギャラをもらっている。内容がハードなものや、多くの時間を要するもの(宿泊込みの撮影など)だと金額がアップしやすい。最近は遠方での泊まり撮影やハードすぎる内容は減ってきているので、平均して20万円前後が相場となっているとか。

◆軽めの撮影のギャラは数万円程度

 企画女優に関しては芸名が表に出ず、拘束時間も短く、そう難しくない内容であれば1本5万~10万円前後くらいが平均的なギャラの相場だ。内容が軽くなればなるほど給料は下がり、なかには「ちょっと脱いだだけでカラミなし、ギャラ3万円」「セクシー作品のエキストラ担当、ギャラ2万」のような、プチお小遣い稼ぎ的な仕事が舞い込んでくることも。当然ながら仕事を受けた数が月収に直結するため、撮影があればあるほど稼げる仕組みである。なので、どんなに小さな仕事でも引き受けるタイプは非常に多い。

 1ヶ月あたりの撮影本数だが、オファーが殺到している人気企画女優は月に20日以上稼働する例も決して珍しくはない。ただし正直なことを言ってしまうと、相当な売れっ子でなければ安定したオファーをもらい続けることが難しい。企画女優は単体に比べると特に収入の波が大きいのだ。

◆稼げる企画、稼げない企画、その違いは

 オファー数に大きな個人差が出るのも企画女優の特徴だろう。売れっ子は月に何本も撮影が入り、数カ月先までスケジュールが埋まっているのはよくある話。反対に仕事がない女優は先の予定が決まらないどころか、1カ月に1本も撮影がないことだって十分に起こり得る。

 この違いは結局「作品が売れる女優か・否か」、ここに尽きる。売り上げにおいて結果を出す人間は安心して起用(オファー)できるが、そうでない場合や、売上が未知数のド新人はギャンブル度が高い。メーカーも予算が限られた中で撮影を行うため、できることなら失敗は避けたいのである。よって、数字を持っている女優へ仕事が集中しやすくなっているのが、現在のセクシー業界だ。

 企画女優の数は単体に比べると遥かに多いため、全員に仕事が行き渡らないのも稼ぎの波が出る理由の1つだろう。瞬間的に大金を手にすることが出来ても、稼ぎ“続ける”ことが最も難しい。セクシー女優に憧れを持ってデビューしても結局お金にならず、泣く泣く業界を去る企画女優が多いのは紛れもない事実だったりする。

◆企画女優は撮影のほかにどう稼ぐのか

 単体女優編でも書いたが、企画女優も人気があればイベントオフ会の開催、Vシネマや衛星放送で放映する番組への出演など、あらゆる仕事が待ち受けている。リリースする作品数が多いと人目に触れる機会が増えるため、自然とファンがつきやすくなるもの。それがフォロワーへと直結し、SNS等の活動を盛んに行いやすいのも企画女優の利点だ。

 しかしこれは売れっ子のキカタンに限った話で、上記に当てはまらない場合は撮影以外のオファーが滅多に入ってこない。撮影会を開催しても全ての予約枠が埋まらず、思うように稼げない現実と向き合わねばならないのだ。

 仕事がないと毎月の生活に困るため、仕事がない企画女優は大抵アルバイトをしている。それが夜職と呼ばれるものなのか、一般職と言われるものなのかは人によって違うものの、別口で何らかの収入を得ていることは確かだ。なかには会社員を軸とした「副業女優」なんてのも存在するくらいなのだから。

◆稼げなくても女優を続けたい人も多い

「そこまでして業界にいる必要性は?」と多くの人が疑問に思うはずだろう。けれども、セクシー業界に留まりたい事情は人それぞれ。女優として有名になりたい人も多ければ、女優の肩書を活かして風俗業に主軸を置きたい人もいるし、持病やらの問題で一般職への復帰が厳しい、そんなパターンさえある。

 企画女優は大きく跳ねれば単体女優以上の収入を得られる可能性を秘めているが、その分競争は激しい。今活躍する女優たちはそんな戦いを生き抜く、とても逞しい存在と言っても過言ではないと思う。

 セクシー女優たちがギャラ事情について尋ねられるのを嫌うのは、ただ単に質問内容のデリカシーのなさに嫌気が差しているだけではない。真実を教えれば業界外の人間に「安すぎる」「もっと稼げるかと思った」に加え、「なんでわざわざこの仕事をしているの?」と言われがちだからである。

◆作品はお金を払って観てほしい

 先ほども軽く説明したが、この仕事を続ける事情や理由は人それぞれであることはご理解いただきたい。そして業界を潤わせ、どの女優も満足するギャラを生み出すためにはユーザーの協力が必要不可欠ということだ。

 現在は無料で作品を観られるサイトが増えてしまったために、どのメーカーも売り上げが落ち、以前のような予算感で撮影を組めなくなっている。AV新法の件もあり、作品を乱発することが不可能になれば、より一層ギャラに関しても厳しさが増す可能性が高い。

 このままでは業界が枯渇していく一方だ。メーカーが潤わなければ、当然ながら作品も女優も消えていく。もしかするとこれはそう遠くない未来なのかもしれない。この記事を読んで少しでも同情心が湧いたのなら、ぜひ無断転載ではなくお金を出して作品を購入してほしいと思う。

文/たかなし亜妖

【たかなし亜妖】
セクシー女優フリーライター2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。

―[元セクシー女優のよもやま話]―


元セクシー女優で現在はフリーライターの「たかなし亜妖」さん