山口道宏[ジャーナリスト]

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「これって、現代版の姥捨て山だぜ」は本当か!? 世論づくりか。ここにきて国による「棄老政策案」が続々と打ち出されている。

年金では、国民年金保険料の納付期間延長が議論され現行の20~59歳の40年間を64歳までの45年間にする考えという。となったら自営や60歳までに退職した人の負担は大きい。5年延長で100万円の負担増になる勘定で、納付総額は796万円(40年間)が896万円(45年間)の計算になる。といって受給額が増えるわけではない。受取額は上限でも僅か1ケ月6万5000円はそのままだ。「生きてるうちに取り返せない。これって国がする詐欺だよ」は、オーバーな表現ではない。

介護保険でも、国はこんな改悪を企んでいる。自己負担2割、ケアプラン作成の有料化、要介護1.2は保険外、公的老人施設多床型の室料負担など。

自己負担が2倍になって、「軽度」は介護保険の対象外となれば、家族の介護離職はさらに進んで共倒れは必至。だから介護悲劇の頻発は言うに及ばない。即ちこれら改悪は「あとは自治体さん、適当によろしく」という国による堂々の自治体への丸投げだが、ここで矢面に立つ自治体側がなんら抗議しない理由が分からない。

[参考]統一教会の傘下が自民党という国辱

アプラン作成の有料化では、介護サービスを得るに際して、利用そのものの「入り口」を狭くする。その手口は、誰もが生命に関わる公的なサービスに辿り着ける精神とは誰の目にも違う仕組みだ。ついては利用控えが予測され、重度化を誘い、かえって介護の必要性が高まるという悪循環をもたらす。当然だが国庫負担も高まる。さらに「差額ベッド」に似た徴収は、ようやくはいれた相部屋にも及ぶというから恐れ入った。それらを仕掛ける施政者は悪代官としかいいようがない。

さらに、福祉用具でもレンタル廃止から買い上げが検討されている。当事者にとっては「たかが歩行器、されど歩行器」だけに、あまりに罪深い。介護保険は3年に一度の見直しだが、その度に保険料は上がり、その度に使い勝手の改悪が続く。

「これって、もう保険制度じゃない。保険料をとっておいて、いざ使いたいときに使えないんだから。介護保険、これも国のする詐欺だよ。」

もともと保険制度に依拠する我が国の社会保障制度は脆いか。老後生活の不安は払しょくされないか。年金、医療、介護も、すべては「保険」だった。医療は世界に冠たる「国民皆保険制度」ゆえに建前上は他の2つとは差異がある。とはいえ75歳以上の健康保険料の増額も始まっている。

GOTOも旅行補助金も、生きるに精一杯のかすかすの私たちの暮らしには関係がないよ。」

「コロナで年寄りは搬送されず自宅放置。防衛費増額の犠牲か、まるでバターか大砲かの選択だよ。」

明日は我が身だ!! メディアによる老後貧困の究明が急がれる。