
愛媛県で4歳の双子と生後3ヶ月の双子を育てているmiyacoさん(31)。YouTubeチャンネル『ちむほげちゃんねる / ダブル双子』では、双子育児について発信しています。
「産後3年間は寝られない」とも言われる双子を2組育てているmiyacoさんに、双子育児のリアルをお聞きしました。(全2回の1回目/後編を読む)
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双子用ベビーカー「乗車拒否」――先日、元バレーボール選手の大山加奈さんが双子用ベビーカーでバスに乗り込もうとした際に、「乗車拒否」されたとブログやインスタグラムにつづったことに注目が集まり、大きな議論を巻き起こしました。双子のお子様を持つ親としてこのニュースをどのように見ていましたか。
miyaco リアルタイムで見ていて、もし私たちがあの状況にいたらどうするか、すぐに夫婦で話し合いをしました。私たちも双子用ベビーカーを使っているので、他人事とは思えず。
率直に、もっと優しい社会になればいいなと思います。双子用ベビーカーだけの問題ではなく、困っている人がいたら運転手さんを含めて周りの方が積極的に手を差し伸べ、それを周りの人たちが許容できる社会になったらいいなと。
バスに限らずですけど、私たちは人の多いところでは延々とエレベーターに乗れないなど、日常生活において大変なことはいろんな場面であります。
――たしかに双子用のベビーカーだと幅が広いため、困り事は多そうです。
双子用ベビーカーを使うとできないことmiyaco 上の子たちは歩けるようになりましたが、下の子たちはまだ生後3ヶ月なので、双子用ベビーカーと1人用ベビーカーを駆使しています。双子用ベビーカーだと通れないお店や道路などもあるので、そういう時は1人はベビーカーで、もう1人は抱っこをして対応しています。
小さなお店や病院だと通路が狭くて通れないこともありますね。神社やお寺などはバリアフリー化が進んでいないところも多いため、たどり着くのが困難です。
その他にも首や腰が据わるまでは2人同時に抱っこができないため、1人ではタクシーに乗れないですし、普通のトイレだと双子用ベビーカーが入らないので多目的トイレがない場所では1人でトイレに行けないですね。
――数年前に通路が狭いという声が多かったお店が、ベビーカーや抱っこ紐でも通れるよう通路を広くしたというニュースもありましたね。
miyaco そうですね。ベビーカーのために対策してくださるお店も増えましたし、ショッピングモールなどではバリアフリーが進んでいます。ただ、小さなスーパーやコンビニだと通路が狭くて入るのを断念することがありますね。お店に備え付けの子ども用カートは基本1人用なので、1人は抱っこして買い物をしています。
――双子の場合、対応できる大人が2人以上いないと困難な目に遭う場面が多いんですね。
miyaco そうですね。先ほどの大山さんのニュースのコメント欄で「なんで出かけるの?」とか「自分たちでどうにかできないならでかけるな」というコメントを目にして、とても悲しくなりました。
双子用ベビーカーだと幅をとるし、子どもたちが急に走りだしたり、赤ちゃんが泣き出すと、周りに迷惑をかけてしまうこともあります。でも、だからといって出かけずに家にこもりっぱなしなのも子どもや親の健康に良くないと思っていて。
もちろん“誰かに手伝ってもらう前提で出かける”なんてことはありませんが、自分たちで精一杯頑張ってもどうにもならない時に、助けを求めることはあると思います。このニュースをきっかけに社会全体で育児について考えてもらえたら嬉しいですね。
――miyacoさんたちは移動する際にバスや電車を利用しているのでしょうか。
ジュニアシートとチャイルドシートが4つある車内miyaco 私たちは地方に住んでいるので、移動する際に公共交通機関を使うことはあまりないです。その分、車での移動が多いので、車内はすごいことになっていますね。
――車移動になると、チャイルドシートの準備など大変そうですが。
miyaco 今は上の子たちがジュニアシート、下の子たちがチャイルドシートを使っているので、車の中に4つのシートを置いています。子どもたちをそれぞれ乗せるだけでも結構時間がかかりますね。でも、車の中だと周りの人に迷惑を掛けてしまうこともないので、その意味では安心感があります。
――4つのシートの配置はどうされているのでしょうか。
miyaco 上の双子は何でも平等じゃないと喧嘩になるので、2列目のシートにジュニアシートを横並びに置いて、下の双子は1人が助手席で、もう1人が3列目のシートで私の隣に座っています。
この前、車で少し離れた場所にある公園に行ったんですが、下の双子が泣き続けている中、上の双子がぐずり始めてしまって。その上、渋滞に巻き込まれて身動きが取れなくて。その時は少しパニックになりましたね。夫は運転をしているので対処できませんし、私も一番後ろのシートにいるので、後ろから話しかけるくらいしかできなかったので。
――車を停められればいいですが、渋滞となるとそうもいかないですよね。
miyaco そうなんです。その時に、やっぱり遠出の外出はしばらく無理かなと思いました。上の双子はいろんなことを楽しめる年齢になってきたので、いろいろ連れていってあげたいという気持ちがあるけど、下の双子もいるのでなかなか難しくて。
今年の春、コロナに感染――コロナ禍で、自治体が運営する子どものための施設が利用できないなど、育児の孤立化も問題視されていました。
miyaco たしかに、子どもの施設が感染対策のために休業しているのを見て不安になりましたね。それに下の双子はコロナ禍での出産だったので、いろいろと心配でした。
私の親は少し離れたところに住んでいるので、産後3ヶ月経ちますが、まだ里帰りできていません。夫の両親も離れたところに住んでいるので、頼れる場所が身近になくて不安でした。ましてコロナにかかってしまったらという心配もあって。
気をつけてはいたんですが、今年の春、コロナに感染してしまいました。最初は子どもたちから症状が出て最後には私と夫がダウンしてしまって。幸い、軽症だったので、入院するようなことはありませんでしたが、家に寿司詰め状態で子どもたちも外に出られず、食料品も買いに行けないという状況は想像以上にしんどかったです。
――現在、上の双子のお子さんは幼稚園に通っているとのことですが、スムーズに入園することができたのでしょうか。
miyaco 途中入園が希望だったのですが、なかなか空きがなくて苦戦しました。園から「入れます」と連絡があったけど、1人だけ入れるとかで……なかなか2人同時に入れるところがなくて。私1人で子ども2人を連れて保育園の見学に奔走するのは、かなり辛くて泣いてました(笑)。
下の双子は来年4月からの入園を希望していますが、家庭状況を考慮して優先的に入園させてもらえるみたいです。
――現在は愛媛県在住とのことですが、子育てする環境としていかがでしょうか。
miyaco 田舎すぎることもなく、都会すぎることもないので、育てやすい環境だと思います。自治体からは第二子以降、満1才未満に1人5万円分のオムツ券をもらえるんです。双子だと2人分もらえるので助かっていますね。
それに近くにショッピングモールもあって、子連れで行くには最高です。公園もたくさんありますし、子育て支援も充実しているのでとても住みやすいですね。
公園で遊んでいると知らない方が話しかけてくれたりもします。「あれ、双子ちゃんが2組もいるのね」って。ダブル双子は珍しいみたいで二度見されることも多いですね。
「もしかしたら出産で死んでしまうかもしれない」遺書も準備…2回連続で双子を自然妊娠した母親(31)が語る、リスクの高い出産までの道のり へ続く
(「文春オンライン」編集部)

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