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 前回大会で日本を奈落の底へと突き落とした「赤い悪魔ベルギーが、カタールワールドカップから早々と姿を消した。世界ランキング2位の優勝候補は、F組グループステージ最終戦でクロアチアに0-0で引き分け、1次リーグ敗退が決まった。

 F組は、日本のE組と決勝トーナメント初戦で当たるグループとして注目されていた。ベルギーは日本にとって2018年ロシア大会の決勝T1回戦で2-3と逆転負けを喫した因縁の相手で、再戦の可能性もあった。ベルギークロアチアの2強グループとみられていたF組は、伏兵モロッコがトップ通過。波乱続きの今大会を象徴するように、ベルギーが敗れ去った。

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【F組】最終結果
1位 勝ち点7 モロッコ(2勝1分け)
2位 勝ち点5 クロアチア(1勝2分け)
3位 勝ち点4 ベルギー(1勝1敗1分け)
4位 勝ち点0 カナダ(3敗)

【E組】最終結果
1位 勝ち点6 日本(2勝1敗)
2位 勝ち点4 スペイン(1勝1敗1分け)
3位 勝ち点4 ドイツ(1勝1敗1分け)
4位 勝ち点3 コスタリカ(1勝2敗)
(※2、3位は得失点差)

 ルカクアザール、デ・ブルイネといったスター選手を擁し、2014年ベスト8、2018年3位と世界トップクラスへと飛躍を遂げたベルギーに何が起こったのか。

 今大会初戦のカナダには1-0で辛勝。第2戦でモロッコに0-2と敗れた後、司令塔デ・ブライネの不用意な発言が、引き金だった。英紙の取材に「僕らは年をとりすぎている。優勝はノーチャンス」とチームの高齢化を指摘。ベテラン選手の逆鱗に触れ、選手同士で口論に発展し、内部分裂を招いたといわれている。

 追い込まれた状況で迎えたクロアチア戦は、決勝T進出へ勝つしかなかった。後半から投入されたエースFWルカクは、再三の決定機をことごとく外した。故障明けで試合勘が戻らなかった世界的ストライカーは試合後、ベンチの透明のフレームを右手で殴って破壊。怒りを爆発させた。

 個々の技術は随所に見せても、バラバラになったチームの歯車はかみ合うことなく、3試合で1得点では勝ち目がなかった。まさかの結末に、ベルギー国内では暴動が起こった。世界をおそれさせてきた「赤い悪魔」が、まるで悪魔にとりつかれたようだった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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