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12月に入り肌寒い日が続くが、元気いっぱいの子供たちにとっては屋外で遊びやすい気候でもあるだろう。そんななかネット上では、“子供たちの声がうるさい”との苦情から公園の廃止が決定されたとして物議を醸している。

「信濃毎日新聞デジタル」は12月2日公開の記事で、長野県長野市青木島町にある「青木島遊園地」が来年3月31日をもって廃止になると報じた。同公園は児童センターや保育園が隣接されており、数多くの児童が遊びに訪れていたという。

記事によると、同公園は地元の要望を受けて’04年4月に開設されたが、直後に一部の近隣住民から「うるさい」などと苦情が寄せられるように。市は公園内に植栽を施し、出入り口を移動させるなど対策を講じてきたが、苦情は収まらなかったという。

そして、ついに昨年3月、児童センターが公園を利用中止とする方針を決め、今年1月に地元区長会が「廃止もやむを得ない」と市に伝えたというのだ。

深刻な少子化が進むなか子供たちが“加害者”扱いされるような事例に、ネット上では《悲しい》《残念だ》《日本終わってんな》といった反響が続出。同記事が掲載されたYahoo!ニュースでは、1万2000件を超えるコメントが寄せられた(3日17時現在)。

Twitterでは著名人たちも関心を示している。タレントのフィフィ(46)は、《モンスタークレーマーに屈してどうする…》と同記事に反応。脳科学者の茂木健一郎氏(60)も、《ダサい一部住民。まったく共感できない。子どもたちかわいそう。行政の判断もおかしいよ。無視しろよ。無視。にんげんの全体を見ろよ》と痛烈に批判した。

■「ある意味、皆が被害者。この状況を終わらせる必要がある」

さらに《悪しき前例を作るんじゃありませんよ!》《子育てに向かない地だと公表したようなもの》と市の対応にも批判が集まるなか、長野市議会議員の小泉一真氏(56)は次のように問題提起した。

《遊園地を潰せば解決するでしょうか?  遊園地に隣接して児童センター、保育園があり、はす向かいに小学校。実際、これらの施設もウルサいとクレームを入れてます。遊園地廃止は苦渋ではなく、安易な選択です。クレーマーに成功体験を与え、エスカレートさせることには慎重になるべきかと存じます》

さらに小泉氏は、情報公開請求によって入手したという今年8月25日付けの「青木島遊園地の廃止について」と題する市長説明資料も公開。「廃止に至る経緯」の項目には、苦情を申し入れた側の“事情”も綴られている。

その一部を抜粋する。

《児童センター、遊園地の建設に関し、●●(編集部注:苦情を申し入れた住民)に対し説明がなかった》
《●●へのボールの飛び込み、植栽の踏み荒らし等が重なり、利用者への不信感を募らせるようになった》
《児童館の40人~50人の児童が一斉に、指導者の拡声器の号令の下に遊ぶ(開設当初)》

この「廃止に至る経緯」には《1日100台の車がお迎えに来る》とも記されており、苦情を申し入れた住民はこうした状況に18年間悩まされてきたという。

いっぽう「利用者の声」の項目には、《子供を遊ばせることで、●●からの叱責や注意が子供に与える影響を考えると、今の状況では児童センターの児童は遊園地を利用できない》とも記されている。そして「廃止の考え方」の項目には、《ある意味、皆が被害者。この状況を終わらせる必要がある》との一文があった。

この資料を読んだユーザーからは、《公園廃止の説明文読んだら印象違うんだが》《これ自分の家だったら耐えられるか自信ない…》《「クレーマーを追い出せ」みたいなこと言ってる人は、落ち着いて、思いとどまってほしい》との声も上がっている。

住民と子供たちのどちらかが泣き寝入りしないよう、互いに歩み寄れる解決方法が見つかることを願うばかりだ。