大学を卒業しても、就職できず……そんな就職氷河期世代の人たちには、いまだかつてないほどスポットライトが当たっています。一方、そんな時代でも正社員になれた人たちからは「就職したあとが大変だった」という声も。みていきましょう。

就職氷河期…同世代で広がる、酷い給与差

先日、文部科学省厚生労働省が発表した2023年春に卒業を予定する大学生10月1日時点の就職内定率は74.1%。前年同期比2.9ポイントの上昇でした。コロナ禍3年目の就職活動、企業の採用意欲は回復傾向にあることが鮮明になりました。今年4月1日時点では大卒内定率は95.8%。最終的にこの水準を超えることは確実とされています。

景気を色濃く反映する内定率ですが、それが「最悪」だったのが、ご存じ、就職氷河期バブル経済が崩壊した1993年から2004年までの学卒者で、留年や浪人を考えなければ、高卒であれば今年37〜48歳になる人たち、大卒であれば41〜52歳になります。

バブル崩壊で日本経済は下降線をたどるも、ふんばり、持ち直しかけた矢先、消費税増税の緊縮財源、アジア通貨危機、不良債権処理失敗により大手金融機関の相次ぐ倒産……就職状況は一気に悪化します。そんな状況が2000年代半ばまで続きました。

せっかく大学に進学しても、就職できない……そんな人たちのなかには「正社員でなくてもいい」と、パートアルバイト派遣社員などで再起を狙う人もいました。その後、正社員になれた人もいましたが、その流れに乗れず、大学を卒業してからずっと非正社員……そんな人たちも多く、昨今、問題視されているのはこのな人たち。

男性・大卒正社員の平均給与は月39.4万円、年収は647万円。一方で非正社員だと、月29.2万円、年収は419万円。氷河期世代初期の50代前半だと、正社員なら月収は51.4万円、年収は833万円。それが非正社員だと月収は34.3万円、年収は463万円。同じ大卒でも、驚くほどの給与差が生じてしまっています(厚生労働省令和3年賃金構造基本統計調査』より)。

これらの人たちの支援を後回しにしてきたつけが、色々と顕在化し、「これはヤバい」と積極的な支援を打ち出してきたのが今日この頃。2019年に策定された就職氷河期世代を支援する「就職氷河期世代支援に関する行動計画」では、もともと3年間で氷河期世代30万人を正社員化するというものでした。コロナ禍もあり、その目標は遠く及びませんが、まったくスポットライトが当たらなかった世代に、少しでも注目が集まったのは、せめてもの救いだったかもしれません。

 就職氷河期世代「無事、就職できた」…これで終わりではなかった

もちろん、氷河期世代のすべての人たちが、「社員になれず……」という人生を送ってきたわけではありません。この世代、たとえば大企業の部長に上り詰めた人たちなんかは、明らか勝ち組といえるかもしれません。大卒・大企業勤務の部長の平均給与は月76.9万円。賞与も含めた年収は推定1,286万円と大台に達しています。同世代でも非役職者だと、月50.6万円、年収は810万円。月25万円、年収にして500万円弱の差が生じます。大卒・大企業の部長は、勝ち組の中の勝ち組といえるでしょう。

ただ当の本人たちは、楽な道を歩んできたわけではないことは確か。若手の頃は完全なる買い手市場。一度振り落とされたら上がってこれないという緊張感がありました。そして猛烈に働くバブルの余韻を残す労働環境。長時間労働が当たり前のように課せられた時代でした。さらにいまのようにハラスメントの対策はほとんどなく、大げさにいえば、職場に怒号が飛ぶのも当たり前。「嫌なら、やめっちまえ!」などと、いまのように優しくフォローしてくれる先輩方も上司もいませんでした。

そんななか、正社員であれば贅沢はいえないと、希望しない職に就く人も多く、ひどく苦労する人が続出。エン・ジャパン株式会社が35歳以上のユーザーを対象に行ったアンケート調査によると、「氷河期世代の3人に1人が、初職を3年未満で退職」。一方で、就職氷河期だったからこそ身についたもの・得られたものとして「精神面のタフさ」が最多の47%。「どんな局面でも対応できる臨機応変さ」が34%と続きます。

「就職するのも大変だったが、入社してからも、人員整理後で業務量は多い上、業務の転換も頻繁だったので、時間・内容ともに厳しかった」とは50歳を目前とした女性の声。入社するまでも大変だったけど、入社してからはもっと、もっと大変だった……この時代の成功者の声を凝縮しています。

(※写真はイメージです/PIXTA)