新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種後の死亡例が各地で報告され、様々な波紋を投げかけています。

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 愛知県愛西市では11月5日、40代の主婦が4回目のワクチン接種直後、会場内で5分ほど待機していたところ、突如として容態が急変しました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/f5e885ff21ec9ebe7f44c9fa0a05d3c41fde4e56?page=1

 2時25分「息が苦しい」と訴え、泡沫上の「泡みたいな血痰」を吐き始め、明らかに重篤な症状、血中酸素濃度は54%に急落しており、酸素マスクが装着されました。

 しかし、特段の治療薬投与などの処置がないまま9分後の午後2時34分に呼吸停止状態となり、救急搬送された先の病院で午後3時58分に死亡が確認されました。

 この程度露骨なケースであっても「ワクチン接種との因果関係は不明」などと判断するのが、この関連の「専門家」の仕事になっている実情が見て取れるのは、本稿でも後半部分で具体的にデータをお示しします。

 元気な姿で、必ずしも打つ必要のないワクチンを「予防」のために接種に行き、あってはならない無言の帰宅となってしまった。

 家族・遺族はどんな説明をされても納得がいくわけがありません。

 ワクチン接種に対する急性症状としては「アナフィラキシーショック」という、重度のアレルギーを意味する言葉が周知されています。

 アレルギーの原因となる物質が体内に侵入することで、全身複数の臓器で症状が現れ、血圧低下や意識障害などを伴うケースを「アナフィラキシーショック」と呼びます。

「それに相当するケースであった」と明確に証明されない限り、「原因不明」「ワクチン接種との因果性は、情報不足により確認できない」と判断されてしまうルーチンが成立しています。

 本稿では本来、東京大学ゲノムAI生命倫理研究コアでの検討を経て2021年8月に公刊されていたはずの伊東乾「コロナワクチンと治療薬」に記した内容、特に1年以上経過しても日本国内で全く報道も普及もしない「最後の一藁」問題と、その原因として考えらえる「アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)」と血圧コントロールや肺の保護との関連を平易に説明したいと思います。

 同書は2022年12月時点でも、直ちに再版して日本社会に普及すべき重要な内容を多く含みますが、悪質な出版被害に遭遇し、社会に送り出すことができていません。

 現状は司直の判断を待つ状況にあります。喫緊の内容を含みますので、最近のデータに即して新たに稿を打ち直しています。

 なお、検討には多くの免疫研究者や公衆衛生医同僚の知見が反映されていますが、本稿はもっぱら研究コア統括である筆者の文責で取りまとめています。

「最後の一藁」とは何か?

 コロナワクチンの接種に関しては、「公式見解」としては当初から次のような議論が圧倒的に多数を占めています。

「ごく稀に発生するアレルギー症状や急性症状については、統計的に避けがたく、そのリスクをもってしてもワクチン接種の公衆衛生的、疫学的なメリットは大きいので、接種は推進すべき」

 ほかに方法のなかった菅義偉政権下では官邸も主導してブルドーザー型とでもいうべき「ともかく接種<率>の上昇を」というワクチン政策が推し進められました。

 これに対して以下のような異論を唱えたのは、東京大学ゲノムAI生命倫理研究コアなど、ごく少数の学識経験者にとどまりました。

 完全にアウトポイント、その第1は「全体が優先し、少数の犠牲はやむを得ない」という判断を社会教養を身に着け損ねているのでしょう、医師なども平気で口にしていることにあります。

「全体や過半数のメリットのためには、少数の犠牲はやむを得ない」という発想は「全体主義」と呼ばれるものです。

 ナチス・ドイツスターリニズム体制のソ連、現在でも北朝鮮などに見られる考え方で、日本国憲法は本来、これを厳しく戒めています。

全体主義」の落とし穴に落ち込まないためには「少数意見の救済にも真摯に取り組む」ことが必要です。

 日本の最高裁は少数意見をも判例の中につぶさに記します。社会全体から見れば少数者である高齢者や障碍者のために、バリアフリースロープや手すり、点字ブロックなどが敷設されている、それが現代日本、本来の社会の在り方です。

 多数決に伴って、少数となった異見も常に尊重するのが「民主主義」の体制で、我が国の施策はこの原則に沿って、マイノリティのケアにも配慮が(本来は)欠かせないはずです。

 しかし、いったん有事、この場合は「コロナパンデミック」となったとき、その最前線で容易に民主主義の大原則が見失われ、2021年の夏から秋にかけ、あの愚かしい、いまや戦後最大の疑獄事件に発展しつつある「トウキョウ・オリンピック2020」に重なる時期、「ともかく接種率上昇、選挙前には何が何でも*割の達成を!」式の暴走があった。

 そのとき日本社会は冷静さを保ち沈着に、合理的な判断を下すことができたでしょうか。

「最後の一藁」というのは、中国からアジアに広く伝わることわざです。

「年老いたラクダが大量の干し草を背中に積まれ、よろよろしている。そのとき、たった1本の藁を、ラクダの背に足しただけで、老いたラクダは重さに耐えられなくなり、背骨が折れて死んでしまった」という状況を指しています。

 ここで「1本の藁の重さ」などに一見「科学的」にアプローチするポーズをとり、「この藁の重さでラクダの骨を砕くことは不可能」「よって因果関係は不明」などと詭弁を弄し、社会を煙に巻いたり、責任の所在をうやむやにしたりする悪習が長らくやみません。

コロナワクチン」接種と「接種直後の死亡例」については、「最後の一藁」現象を前提に、被害者救済と同時に「再発防止」のため、真摯な取り組みがなされる必要がある。

 2021年の早い時期から、私たち東京大学グループは一貫した主張を背景とともに公知しています。

 以下では「最後の一藁」現象の背後に考えられるメカニズムの一つをご紹介しましょう。

ACE2に結合するスパイクたんぱく質

 新型コロナワクチンに関しては大変残念なことですが、2021年までも、2022年1年間も、様々な「陰謀説」その他、ここで取り上げる意味のない、愚かな誤謬が社会に蔓延しています。

 なかには、大学に教職を持つはずの人間が、正気を疑う発言をしているらしいケースも目にしました。関わり合いにはなりませんので、具体的には言及しません。

 新型コロナウイルスワクチンに関しては、

1:統計的には、蔓延予防の効果は明らか

2:ただし、副反応が激甚な場合、確率は低いものの、絶対数ではかなりの数(後述するように1700件弱に及びます)が死に至るケースも報告されている。

3:長期的な影響を懸念する声も出ており、これについてはまだ白黒はついていない。

 ただし2020年年初のパンデミックからまる3年、ワクチン接種が始まって2年以上が経過しているが「ワクチン特有の長期的影響」は明確には確認されていない。

 逆に「コロナ後遺症」PACSについては莫大な症例が報告されており、ようやく社会の注目するところとなってきた。

 といったところが、社会的に妥当に共有される水準と思います。

 コロナ後遺症については秋以降「日経サイエンス」(https://www.nikkei-science.com/202211_029.html)、「日経ビジネス」(https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00513/111100004/)でも特集が組まれています。

 私の見解も引かれ、私たちが担当した東京都世田谷区の「第一次・第二次コロナ後遺症調査」結果も役に立っていますので、本連載でも回を分けて触れられればと思っています。

ワクチン死」に関して、厚生労働省11月11日付で発表した「安全対策調査会」資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/001013402.pdf)に即してデータを確認してみます。

 ファイザーの商標「コミナティ筋注」接種後の死亡として、令和3年2月17日から令和4年10月9日までに報告された全事例に対する「専門家の評価」は

総数:1683件

ワクチンと死亡の因果関係が認められないとされたもの:(ベータ判定)10件

情報不足等によりワクチンと死亡の因果関係が評価できないもの(ガンマ判定)1673件

ワクチンと死亡との因果関係が否定できないもの (アルファ判定)0件

 つまり「ワクチン無関係10ケース(0.6%)」「よく分からない1673ケース(99.6%)」

ワクチン死と思われるもの 0件=0%」という結論を出すのが、「専門家」の評価仕事であったことが分かります。あれこれ論評する気にもなりません。

 以下ではコロナワクチンの性質として誰もが認める内容を整理しておきます。

 あらゆるタイプ新型コロナウイルスワクチンは、ウイルスが私たちの細胞内に侵入する際に用いる「スパイクたんぱく質」をターゲットとして抗体形成を促します。

 ファイザーワクチンも例外ではなく、「mRNAワクチン」製剤が短期間に確立され、全世界で接種されて、マクロには大きな予防成果を挙げている。これはまぎれもない事実です。

 コロナウイルスの「スパイクたんぱく質」が細胞内に侵入するにあたって、「鍵穴」のように利用しているのが、先ほどから幾度か言及している、細胞表面に分布する「ACE2アンジオテンシン2変換酵素というパーツです。

 2020年、ごく早い時期の報告例を紹介しておきましょう(https://www.cyagen.jp/community/newsletters/issue-20200323.html)。

 中国の武漢で感染爆発が発生したごく初期から、ACE2が細胞感染のキーであることは知られていました。

 各国製薬大手はこぞって、このメカニズムを活用するワクチン確立に尽力、我が国ではファイザーhttps://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00069248)、アストラゼネカ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_astrazeneca.html)のワクチンが使用されました。

 なお、血栓症のリスクが報じられているアストラゼネカ製品(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210823/k10013218211000.html)は9月末をもって接種が終了(https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000995820.pdf)しています。

 mRNAワクチン新型コロナの「ウイルス全体」ではなく、その表面に並ぶツノツノ、つまり「スパイク」部分だけを体内で作り出す遺伝子が主要な成分です。

 この「ツノツノ」だけであれば、新型コロナウイルス<肺炎>などを引き起こす可能性がなく「無害」だから、これを接種して抗体を作れるようになれば、コロナパンデミックを抑え込むことができる・・・。

 これが、コロナワクチンの主要なサクセスシナリオだった「はず」でした。

 さて、コロナ流行初年、2020年夏の時点で、ある種の「降圧剤」(血圧が上がらないようにする薬)「レニン-アンジオテンシン系阻害薬(ACE阻害剤)」を服用していた患者で、新型コロナが重症化しにくいこと(https://www.yokohama-cu.ac.jp/news/2020/202008matsuzawa_rasi.html)が指摘され始めていました。

 コロナウイルスは「ACE2」酵素に感染すると酵素ごと細胞内に取り込まれてしまうので、酵素の働きは抑制され、結果的に血中の「アンジオテンシン2」が増加、活性化し増強を起こすとされています。これが肺炎などの急性症状を激甚化させてしまう。

 アンジオテンシン2の活性増強は血圧の上昇を招き、また炎症性反応を引き起こすことから、重症の肺炎などでは「サイトカインストーム」を引き起こし、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を促すことが示唆されています。

 これに対して降圧薬であるACE阻害剤はアンジオテンシン2系を抑制する薬なので、新型コロナで炎症性の反応や重症化を抑制する可能性が、早い時点から指摘されていました。

 冒頭にご紹介した愛知県愛西市の主婦の方が犠牲になった症例について、仮に「アナフィラキシーショック」を疑った場合、血圧が低下し意識障害などが発生する可能性が考えられます。

 しかし実際の臨床所見は典型的なそれらとは、やや異なっているかもしれません。

 逆にスパイクたんぱく質RNAの注射によりアンジオテンシン2が活性増強する急性炎症性反応が出た場合、血圧は急上昇する可能性があります。

 血圧は上がり、サイトカインにより血管は傷つき、また肺に著しい負担が掛かるリスクも考えられます。

 愛知の主婦の方は元看護師で、また持病があったとこのこと。若い方でもあり慎重を期されたはずですが、ワクチンストレスが「最後の一藁」として引き金を引いた可能性も、想定できるでしょう。

 ただ「可能性」は考えられるものの、それが直接、生命に係る症状を引き起こしたと「実証」することは、いまだ困難な場合が多い。

 病理解剖などでもそこまでメカニズムを精査できる保証はなく、もし遺体が荼毘に付されてしまえば検証は永遠に不可能になります。

 しかし、です。

 科学的実証は脇に置くとして、「転ばぬ先の杖」として、そのような危険性、リスクを前提に、ワクチン接種の可否や急性症状が現れた際の対策を綿密に整えておくのが、生命倫理の本分に照らした医の在り方なのではないか?

 私たち東京大学グループ、ゲノムAI生命倫理研究コアでは厳密に考えています。しかし残念なことに、2022年末時点の現実は、必ずしも十全を尽くすものになっていない。

 また、ワクチンが盛んに接種されるようになった2021年初夏の時点で、ワクチン接種後にクモ膜下出血などの脳出血や解離性大動脈瘤破裂などの血管障害の発症が、統計的に有為な形で報告されます(https://www.npojip.org/chk_tip/No96-f06.pdf)。

 こうした「状況証拠」と、免疫学的な分子メカニズムから「転ばぬ先の杖」として私たち東京大学ゲノムAI生命倫理研究コアが想定した「リスク」は、以下のようなものでした。

 ワクチン接種により体内で急速にスパイクたんぱく質が生産され、それがACE2と結びつくと、生理的にACE2が果たしている通常の役割が突然阻害され、さきほど触れたように、急性症状としてアンジオテンシン2系活性増強の可能性が考えられます。

(今回は十分原稿が長くなっているので図などは載せませんが、読者反響があれば、より詳細な解説はいつでもリリース可能です)。

 その結果、「血圧の上昇」や「血管を傷つけるストレスの上昇」などが起きる可能性が上昇する、ここまでは確立された基礎医学的な知見です。

 さて、高齢者や既往歴のある人にとって、こうした「急激な血圧の上昇」や「「急性の炎症性反応やサイトカインによる血管への攻撃」あるいは「肺を保護する機能の低下」などが突如として襲いかかったとき、そのストレスが「最後の一藁」の役割を果たして「解離性大動脈瘤破裂」などを引き起こす「危険性」が上昇することが強く懸念されます。

 しかし、それが直接原因になったと「因果性を立証できるか」と問われると、曖昧なことになってしまいやすい。

 それで、1700件にも及ぶ前後関係からは明らかな「ワクチンを打ったら死亡した」というケースが、救済不可能な状況に置かれてしまっている。

 では、どのようにすれば、「ワクチンを打ったことで死んでしまう」ような状況を回避できるのでしょうか?

再発防止は「まともな事前診断」に尽きる

 結論を簡潔に記しましょう。

「接種会場」などでの、ワクチン接種前の事前診断を、まともなものにすること。それに尽きると思います。

 逆に言えば、現状の事前診断は「接種ありき」的だったり、「稀に起こる副反応など、まず起こるわけがない」的な前提で、緊張感を欠いて実施されていることが、報道内容など見る限り強く懸念されてしまいます。

 接種後に死亡例が出た会場でも、あらかじめアレルギー関連の対策に経験がなかったといった報道が見られます。

「ともかく接種、目的の数字を達成」ありきの、ブルドーザー型流れ作業、これは非人間的で危険、と私達は2021年度前半から一貫して主張している通りです。

 一人ひとりのケースをもっと丁寧に見て、危ない場合はいつでも「今回は見送りましょう」と取りやめる慎重な事前診断が行われている保証が、およそないことを恐れます。

 何より、私自身、過去の接種はすべて大学内で受けましたが、ほとんど形式的で、人手が足りないこともあり、アルバイトドクター諸君が形式的な問診で、流れ作業を進めていた実際の現場を幾度も見ています。

 ワクチンに関して、おかしな風聞を掻き立てるのは言語道断ですが、何が本当にリスクなのか、すでにかなりの取り返しのつかないケーススタディが蓄積されているのですから、その知見を踏まえ、より精緻な接種マニュアルの整備など、誠実な対策が講じられるべきと考えます。

 2023年初、かなりの確率で次の「冬のピーク」来襲が予想されるなか、過去の事例を踏まえ、二度と同じ轍を踏まない、人道的な疫学政策が実施されるべきです。

 そのことを学のセクターから強く警鐘を鳴らさねばなりません。

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