普及が進むトヨタの「ジャパンタクシー」は、東京だと統一感を出すため、黒に近い藍色が多いですが、なかには派手な緑色をしたフェンダーミラーを付けた車体があります。一見不釣り合いな色のミラー、実はタクシー会社が独自に開発したものです。

濃紺のジャパンタクシーに派手なフェンダーミラー

トヨタのタクシー専用車「ジャパンタクシー」が2017年に発売されて5年が経ち、東京の法人タクシーの多くが、この新世代タクシーへ置き換わっているようです。当初、東京オリンピックパラリンピックに向け、東京のタクシー業界が車体色を統一させた背景もあり、そのほとんどは深藍(こいあい)という黒に近い藍色が採用されています。

そうしたなか2022年12月現在、東京では深藍の車体に、フェンダーミラーの上部だけ、派手な緑っぽい色に塗っているタクシーを見かけるようになりました。一見して不釣り合いな色の組み合わせ、これを採用しているのは、東京エリア大手4社のひとつ、「kmタクシー」こと国際自動車です。

同社によると、「独自開発した“萌黄色”のフェンダーミラーです」とのこと。詳しく話を聞きました。

――なぜフェンダーミラーを開発したのでしょうか?

お客様から選んでいただく観点と、安全の観点からです。ジャパンタクシーのミラーは小さく、後付けで2段にしているタクシーもあるほどです。左側をこする事故も多かったことから、現場の声を受け、大きめのミラーを開発しました。横は13cm、縦(高さ)は25cmあります。

――というと、フェンダーミラーを付け替えているのでしょうか?

いえ、内蔵モーターなどは流用です。ミラーの回りを大きくしています。

タクシーのデジタル化ゆえ? 派手な萌黄色のワケ

――萌黄色なのはなぜでしょうか?

東京のジャパンタクシーはほとんど同じ色なので、お客様に区別がつきづらいことがあります。特に当社は、(スマートフォンを振ってタクシーを迎車料金不要で配車する)「フルクル」というアプリを運用しており、マッチングしてやってきたタクシーが、当該車かどうかわかりづらい、というシーンがあったのです。フェンダーミラーの色で、すぐに当社のタクシーか判別できるようにしました。

――それにしても萌黄色は、ちょっと派手なのでは……?

実は行灯のランプの色に合わせています。夜は行灯が萌黄色に光り、フェンダーミラーとの統一感が出ます。

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この萌黄色のフェンダーミラー「ミラクルミラー」は、5月に実証実験を開始し、いまやkmグループ全車両へ導入済みだとか。他社への販売も検討しているそうですが、その場合は萌黄色ではなく、黒が基本になるのではないか、ということでした。

フェンダーミラーが派手な色のジャパンタクシー(乗りものニュース編集部撮影)。