護衛艦を含む海上自衛隊の艦艇は出港前に数多くの物資を積み込みます。無補給でも活動できるように計算して備蓄するようですが、その行為が家族にも波及すると意外にも「ありがた迷惑」になるようです。一体どういうことでしょうか。

家族は消費するのに必死

海上自衛隊では、日夜さまざまな艦艇が洋上で任務に就いています。港を離れると何日、何か月と海上勤務が続くことになるため、艦艇の出港前には、乗員の生活を支える物資の積み込みが行われます。そのときには燃料はもちろん、真水や生糧品(野菜などの保存がきかない食品)、貯糧品(米など保存がきく食品)など、十分に確保し、長期航海になっても問題ないよう備えます。

これらの積み込み作業、海上自衛隊ならではの“業界用語”が存在しており、たとえば「貯糧品”搭載”」ならチョリト、そして「貯糧品”残量”」になると「チョリザ」と略されます。相変わらずクセが強…いえ、合理的な呼び方ですが、実は我が家でも「チョリト」が発動することがあるのです。

海上自衛官の夫、やこさんが艦艇勤務だった頃は出港が多く、長く家を空けることがありました。私は車の免許を持っていないので、買い出しは常に必要最小限。しかしやこさんは、自分の出港中に災害が発生した場合、妻のささやかな機動力(徒歩 or 自転車)では間に合わないと「気を回して」くれて、出港前には保存のきく貯糧品を備蓄として買い込みます。

結果、この貯量品買い出しはいつもカートに山盛り、段ボールにして数箱分。もはや我が家も出港するんじゃないかというレベルです。そもそもやこさんは、私が風邪をひくたびに救援物資としておかゆスポーツドリンクを買い込むので、家には常に貯糧品がたくさん。そこにまさかの“追いチョリト”。もはや、完全に自分の留守中に大災害が起きる前提になっていると思えるほど。

艦乗りといえば、「スマートで目先が利いて、几帳面」のはず。しかし、やこさんは目先が効きすぎる……。

そんなわけで、出港前になるとやこさんは家族の貯糧品の心配をし、私はやこさんが買い込んだ貯糧品の消費の心配をするという、見事な夫婦間思考の「立体交差」ができ上がります。

しかしながら、保存のきく食糧を使いながら備蓄する「ローリングストック」は災害の備えに有効です。ということで、やこさんの「思いやり」に感謝しつつ程よく備えて、万一の際に家族が長期間、離れ離れになっても安心して過ごせる準備にまい進しようと思います。

海自艦船に手作業で物資を積み込む乗員たち(画像:海上自衛隊)。