たまにATMの上に明細票が残されていることがあり、つい残高を見てしまったりしたことがあるのは私だけだと信じたい。
だがこのATMは確信犯的に残高が上部に設置されたモニターに表示され、誰もが見ることができる。しかも残高が多い順にランキング形式になっている。
こんなATMを利用する人は、大富豪か超大富豪くらいだろう。だが安心して欲しい。これはアメリカ、フロリダ州で開催されている最大のアートフェア「アート・バーゼル・マイアミビーチ」に設置された、ある種のアート的試みなのだ。
【画像】 アートフェスティバル会場に設置された残高ダダわかりATM
この悪魔的ATMは、ニューヨーク、ブルックリンのアート集団「MSCHF」の最新作「ATM Leaderboard」だ。その名(Leaderboard=ランキング)の通り、ATMを利用した人の預金残高をランキング形式でモニターに公開している。
カードをATMに挿入したらすぐにその残高がモニターに表示される。
ご丁寧にカメラで利用者の顔写真まで撮影し、まるでゲームセンターのハイスコアのようにお金持ちランキングが作成されるのだ。
This is a real ATM at Art Basel that puts your bank account balance & photo on a leaderboard for all to see 👀 pic.twitter.com/ZaZ7evp5Hc
— Joel Franco (@OfficialJoelF) December 1, 2022
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ATM Leaderboardは、MSCHFとフランスのギャラリー「ペロタン」の共同プロジェクトだ。ペロタンといえば、2019年のアート・バーゼルで展示された「テープで留めただけのバナナ」が記憶に新しい。
そのペロタンは現在、ニューヨークでMSCHFの個展を開催中で、このアート集団について、「手の込んだ方法で、私たちの文化・政治・貨幣システムの不条理を暴いて利用するコンセプト集団 」と説明している。
お金持ちが続々その残高を晒していく
MSCHFの共同設立者ダニエル・グリーンバーグ氏はこの作品について、「ATM Leaderboardは富をひけらかしたいという衝動をえぐいほどに表現したものです」と語る。
ランボルギーニに乗り、ロレックスを身につけた人々が集まるマイアミの「アート・バーゼル」のような場所で展示することを、作品の構想段階から狙っていました。
そうした人々が暗黙のうちに示しているジェスチャーは、ATM Leaderboardが赤裸々に示すものと同じ類のものです
1位になるとセレブレーションモードが表示される
i just won art basel pic.twitter.com/2WVPtFwUHa
— diplo (@diplo) December 2, 2022
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グリーンバーグ氏によると、ATMの次回の設置場所は、これを入手したい人や借りたい人次第であるとのこと。
トップランキングは保存されるそうなので、次のユーザーにとってはまさに挑戦のようなものになる。
「カメラによって、利用者ひとりひとりの記録と、設置された場所ごとの記録が残されるので、できるだけたくさんの場所に持ち込めるチャンスがあるといいと思います」と、グリーンバーグ氏。
2022 年 12 月 2 日現在、暫定1位となっているのは、DJ Thomas “diplo” Pentzでその残高は、3,004,913.06 ドル(約4億1千万円)。
もしも自分の口座に4億1千万円以上の預金があるのなら、アート・バーゼルに足を運んで、チャレンジしてみるといいかもしれない。
References:ATM Leaderboard at Miami Beach Art Basel ranks users with most money / written by hiroching / edited by / parumo
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