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 なぜ、恐竜の幽霊はいないのか? どうして、古代の穴居人の幽霊は目撃されていないのか?幽霊はどれくらい生きるのか?

 こうした問いがネット上で飛び交っている。果たして本当に遠い昔の幽霊を掘り起こすことができるのかどうか、その試みは興味深い。

 ここでは、比較的古い時代に存在したとされる幽霊の証拠、もしくは原始人の中に幽霊が存在していたのかどうかに関して見ていこう。

【画像】 1. ローマの幽霊(2000歳)

 英ナショナル・トラストによると、この組織が管理する建物や地所に出る最古の幽霊のひとつは、イギリス、ヨーク州にあるトレジャーズ・ハウスで見られるらしい。

 この歴史的建造物の地下室で、ローマ兵の集団が行進しているのが目撃されている。

 1953年、18歳の見習い、ハリーマーチンデールが、新しいセントラルヒーティングを取りつけているとき、兜をかぶったローマ兵たちが壁から現れたのを目撃した。

 兵士たちは、膝から上しか見えず、まるで、地面に足が埋まったまま歩いているように見えたという。

 兵士たちの後ろには馬が続き、19人ほどが反対側の壁を突き抜けてそのまま行進していった。

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 若いハリーは、この幽霊たちの光景に腰を抜かし、2週間仕事を休むはめになった。

 彼はこのことをずっと黙っていたが、1970年代のテレビのドキュメンタリーでインタビューを受けて初めて、幽霊と遭遇したことを明かした。

 イギリスの出ると言われている多くの場所で、ローマ兵の幽霊はつきものだ。

 チェスターにある昔のローマの要塞跡では、大昔の占領者の幽霊が、今日にいたるまでずっと目撃され続けている。

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2. バビロニアの幽霊(3500歳)

 2021年10月、大英博物館の中東部門の上級学芸員アーヴィング・フィンケル博士が、なんとも興味深い発見について語った。

 1800年代から大英博物館のコレクションのひとつだった、紀元前1500年頃の古代バビロニアの粘土板に、幽霊の姿が刻まれていることがわかったというのだ。

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バビロニアの粘土板に描かれた、恋人によって永遠の至福に導かれる孤独な幽霊 / image credit:The British Museum

 小さな粘土板の前半分は欠けているが、その裏には"人に憑りついて離さない"幽霊の取り扱い方が描かれている。

 つまり、幽霊を捕らえ、悪魔祓いするための指南書なわけだが、ちょっと見には、はっきりわからないため、長い間、こうした絵が描かれていることは見過ごされてきた。

 だが、ある特定の角度で粘土板に光を当ててみると、髭を生やした男の幽霊が、手を縛られ、女性らしき人物に引きずられている。

 なぜ、この男性が幽霊なのかは、裏面に書かれた文章を解読するとわかる。

 厄介な幽霊を鎮めるには、ほかの孤独な幽霊とペアにして、お互いを夢中にさせ、生きている人間を悩ませるのをやめさせる、という指示を詳細に説明している。

 幽霊同士を結びつけ退治する人には、"決して後ろを振り向かないように"という丁寧な指示までしている。

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左側が発見された粘土板。右側が描かれた絵の輪郭を白い線でなぞったもの / image credit: Photo c British Museum, line drawing c James Fraser and Chris Cobb for The First Ghosts

3. 原始人の中に幽霊は存在したのか?(6万歳)

 大昔の原始人の幽霊を見ないのは、なぜだろう? 本当はずっと長い間、目撃してきているのだという説もある。

 毛むくじゃらの人型生物は、ビッグフットイエティなどの未確認生物のを表すときに使われることが多い。

 二足歩行で、人間に似た姿をしていて、全身毛で覆われた生き物は、あるときは実体あるものに見え、また別の瞬間には幽霊のようにも思える。

 インドネシア未確認生物オラン・ペンデク」や、絶滅して久しい旧人類の「ホモ・フローレシエンシス」(ホビットとも呼ばれる)の類似点は、多くの人が指摘しているところだ。

 ホモ・フローレシエンシスの考古学的証拠は、2003年にインドネシア、フローレス島のリアンブアで発見された。

 その後、完璧な頭蓋骨を含む、少なくとも9人分の部分的な骨が現場から回収された。こうした骨の中でもっとも古いものは、6万年前にさかのぼると言われている。

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3Dデザイナー、シセロ・モラエス他によるホモ・フローレシエンシスの復元 / image credit:ATOR: Homo floresiensis

 スマトラ島のブキット・ドゥアベラスで、オラン・リンバの人々は、オラン・ペンデクのように見える生き物のことを、ハントゥ・ペンデク(背の低い幽霊の意)と呼んでいる。

 肉体や血をもつ生身の生き物とは対照的に、幽霊または悪魔だと考えられている。

 ヨーロッパの伝承では、トロール、ノーム、ファウヌスなど、森林、洞窟、荒野に住む神話上の生き物もまた、原始人または初期の人間と共通の特徴をもつ。

 毛むくじゃらで巨大なビッグ・フット(Wodewoseとしても知られる)は、中世盛期以降の文学や伝承で大きく取り上げられた。

 2018年、エクスターからブリストル・テンプル・ミーズへ列車で向かっていた乗客が、窓際の席から、ビッグフットを目撃したと報じられた

 2012年、ケントタンブリッジ・ウェルズで、同様の目撃例が発生した。複数の人たちが、身長2.4メートルもの猿人を見たという。

 アメリカやその他の森林の多い国では、いまだ未発見の毛むくじゃらの人型生物についての議論はいつでもあるが、イギリスでは、こうしたことはまったくありえない。

 それなら、世界中で起こっているこうした遭遇は実は、遠い昔に死んだ人類の祖先の幽霊が、現れているということなのだろうか? これは確かにひとつの仮説でしかない。

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4. 三畳紀の幽霊(2億2000万歳)

 ビバロンという名のヘビの悪魔は、世界最古の幽霊として、ギネスブックに登録されている。

 体長6~9メートルという巨大なガラガラヘビのような生き物の目撃例が、1500年代以降、アメリカ、ニューメキシコ州のリオ・アリバ郡の、今はゴースト・ランチとして知られる場所で報告されてきた。

 1940年代後半から行われた発掘調査で、1000体以上の恐竜の骨や、先史時代の爬虫類のサンプルが出てきた。その中に、三畳紀のフィトサウルスの骨があった。

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フィットサウルス / image credit: The National Park Service

 これは、体長9メートルもあるワニの先祖で、ヘビのような細長い体をしている。

 この地域で目撃された幽霊のようなヘビ型生物は、この先史時代の怪物の亡霊ではないかと推測され、やがて最古の幽霊だと言われているビバロンにつながったと言われている。

 2016年には、巨大な歯のついた顎の骨の破片が、このエリアで発見された。

 これは、フィットサウルスのものではないが、ほかのワニの先祖の仲間であることが判明した。

 この顎骨の一部は、未知のラウィスクス科の亜種のものであることがわかり、 Vivaron haydeniと名づけられた。

 Vivaronはヘビの幽霊の意、haydeniは、2002年にこの化石が出てきたニューメキシコ州の砕石場を発見したハイカーのジョン・ヘイデンにちなんでいる。

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発掘されたVivaron haydeniの顎骨 / image credit:Vivaron. From Lessner et al. 2016

結局最古の幽霊は?

 すべてではないにしても、幽霊といえば、ウーマン・イン・ブラック風のビクトリア朝の女性だという考えは、その時代の多くの幽霊物語からきているのは確かで、西洋の幽霊話の多くがそれを元にしているか、刺激を受けている。

 ゴースト・ストーリーの巨匠と言われるM・R・ジェームズは、エドワード朝や第一世界大戦中のイギリスで執筆していたが、多分にヴィクトリア時代に回帰するものだった。

 しかし実際には、幽霊は最初から、私たちと共にあったのかもしれない。最初の幽霊は、意識の黎明期とほぼ一致している。

 もし、幽霊が原始の森に現れても、それを目撃する人が誰もいなければ、それは幽霊と言えるのだろうか?

References:The World's Oldest Ghosts - The Daily Grail / written by konohazuku / edited by / parumo

 
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