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 サウジアラビアで進められる未来都市計画「NEOM」は、全長170kmにも及ぶ長い鏡張りのメガシティを砂漠の中に作り上げるというもので、前回カラパイアでもお伝えしている。

 その建設予定地で暮らす先住民3名が、立ち退きを拒否したことから死刑を宣告されたそうだ。

 英国に拠点を置く人権団体「ALQST」によると、10月2日サウジアラビアの特別法廷でハウェイタット族(Howeitat)の男性3人に死刑判決が下された。

 彼らは、5000億ドル(約68兆円)の巨額の予算が投じられるメガプロジェクトの建設予定地からの立ち退きに抗議して、2020年に逮捕されていた。

【画像】 先住民への圧力を強めるサウジ当局

 映画『アラビアのロレンス』にも登場するハウェイタット族は、サウジアラビア北西部にあるタブーク州で暮らす先住民だ。

 一族が当局に取り締まられるのは今回が初めてではなく、9月にも王国への反対派を裁く特別刑事裁判所で50年の懲役を言い渡されたハウェイタット族がいた。

 また今回死刑判決を受けた男性の1人の兄弟アブドゥル・ラヒム・アル・ハウェイタットは、SNSで強制立ち退きを批判し、サウジアラビアを「テロ国家」と呼んだことから、2020年4月特殊部隊によって射殺された。

 アブドゥルの死について、サウジ政府は、治安部隊との銃撃戦の結果であると説明。アブドゥルは「家にバリケードを築き」、治安部隊に「火炎瓶」を投げたため、「無力化」せざるを得なかったと主張している。

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 一方、目撃者の証言を引用するとある報告書は、アブドゥルの死は「超法規的処刑」だったと述べている。

 サウジアラビア政府は、詳細を発表することなくこの一件を打ち切り、地元民を買収してアブドゥルの行動を非難させようとすらしたという。

 こうしたやり方に抗議する声は、すぐに封殺されている。当局は抗議する人たちを取り締まり、2万人のコミュニティから推定150人が逮捕されたという。

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砂漠の未来都市プロジェクト「NEOM」

 「NEOM」は、アウジアラビア皇太子ムハンマド・ビン・サルマンが発案した未来的なユートピア都市だ。

 総工費推定5000億ドル(68兆円)が投じられる同プロジェクトは、その一環として紅海から内陸の砂漠までの170キロを、鏡のような壁でまっすぐつないだ直線都市「The Line」の建設などを予定している。

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NEOM | What is THE LINE?

 ムハンマド皇太子は、このNEOMによってサウジは石油への依存から脱却できるとともに、外国からの投資先や観光地にもなるとして、プロジェクトを強力に推進する。

 しかし、NEOMに実装されるという技術のほとんどはまだ開発されておらず、その実現性を疑問視する声もある。

 またこの未来都市が「ゼロカーボン都市」を謳っている一方、砂漠を分断し、生態系を破壊してしまうのではとの懸念もある。

 ムハンマド皇太子は当初、女性の運転を認めるなどの自由化政策で歓迎されたが、反体制派ジャーナリスト、ジャマル・カショギの暗殺を指示するなど、そのイメージは一変した。

サウジアラビアは死刑執行の多い国

 サウジアラビアでは、王室へ反対に対しては、いかなるものであっても死刑か長期の懲役刑が下される。

 死刑執行の多い国としても知られており、国際人権団体アムネスティインターナショナルがまとめた2020年リストによると、サウジアラビアの死刑執行数は世界第5位だ。

 それを上回るのが1位から中国、イランエジプトイラクとなっている。

 人権団体「ALQST」によると、サウジアラビア当局は2022年だけで122人を処刑したという。3月には104人が処刑され、そのうち81人の処刑はたった1日のうちに実行された。

 サウジアラビアの国営メディアは、こうした裁判の判決についてほとんど報道せず、皇太子が関与する事件も黙殺されるのが常だ。

References:Saudi Arabia Sentences 3 Men to Death For Refusing to Vacate NEOM Development Site / written by hiroching / edited by / parumo

 
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サウジアラビアの未来都市計画で、立ち退きを拒否した男性3人が死刑を宣告される