歌手の愛内里菜さんと専属契約を結んでいた芸能事務所が、「契約中だけでなく契約終了後も、事務所の承諾なしに芸名を使用してはならない」との契約条項に基づき、芸名の使用差し止めを求めた訴訟の判決が12月8日、東京地裁であり、飛澤知行裁判長は事務所の請求を棄却した。

判決は、契約条項のうち、契約終了後も無期限で会社側の承諾を必要とする部分について「公序良俗に反するもので無効」と指摘した。

判決後、芸能事務所「ギザアーティスト」(大阪市西区)の担当者と代理人弁護士が都内で記者会見を開き、「判決は希望通りではなく、上級審で判断してもらうべき内容」と控訴する方針を明らかにした。

●契約条項の意図「アーティストブランドイメージコントロール

事務所代理人の吉羽真一郎弁護士によると、愛内さんは2010年に病気のため活動休止を発表。2017年に愛内さん側から事務所に活動再開の打診があったが、交渉は決裂したという。

その後、2019年に愛内さんが事務所に無断で「愛内里菜」としてディナーショーを開催したため、弁護士を通じて警告を発したという。2021年3月にも同様に「愛内里菜」として活動を再開したが、愛内さん側から明確な回答が得られず、訴訟提起に至ったとしている。

「契約期間中はもとより契約終了後も、芸名および名称を事務所の承諾なしに使用してはならない」という契約条項の意図はなにか。吉羽弁護士は「アーティストブランドイメージコントロール、価値の維持」にあるとし、以下のように説明した。

「名前にパブリシティ権が認められるくらい、命名には価値がある。名前に価値が与えられたのは事務所側の有形無形の貢献によるところもあるので、芸名というものに加えられた価値は、事務所側がコントロールできるべきものである。

ブランド価値が既存されるようなこともあるため、事務所が管理しているタレントに対して芸名を使わせることで、名前からブランド価値の維持を達成するためにこのような条項を入れている」

●「愛内里菜として堂々と活動できることを大変嬉しく思います」

愛内さんは代理人を通じて、以下のコメントを発表した。

「胸を張って、愛内里菜として堂々と活動できることを大変嬉しく思います。応援してくださる方々、支えてくださる方々があっての愛内里菜です。ここからもみなさまに感謝の想いを込め活動ができるよう精進していきたいと思っています」

愛内里菜さん「事務所の承諾なしに芸名使用不可」は無効の判決、事務所が会見