各地の「領土問題」を筆頭に、長年議論が続いているものの、解決の兆しが一向に見えない問題は決して珍しくない。身近な例をあげれば、小学2年生で学習する「かけ算」においても、このケースが適応されるのをご存じだろうか…。
■答えは合っているのに減点が…
今回注目したいのは、ツイッターユーザーのブルームさんが投稿した1件のツイート。
「子供のテスト。どっちでもいいことで減点しないでほしい」と綴られた投稿には算数のテスト用紙の写真が添えられており、「色紙をくばります。子ども5人に6枚ずつくばると何まいいりますか」という設問が確認できる。
ブルームさんの子どもは「30まい」と解答して丸をもらったのだが…「5×6=30」という式にはバツと三角が付けられ、10点中8点しか獲得できなかったようだ。
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■長年決着がつかない「かけ算」論争
こちらの「かけ算の式」論争は毎度波紋を呼んでおり、「順番はどちらでも問題ない」陣営と「後々の学習のため順番の重要性を理解しておくべき」陣営が激しい激論を繰り広げるのが常である。
件のツイートも投稿から数日で多数のRTを記録しており、やはり「何が間違っているのか分からない」「こんな採点されたら、子どもは算数嫌いになるだろな…」「厳密にいえばこの問題でこの式はアウトだけど、学校の先生がどんな指導をしたのかが気になる」などなど、様々な意見が寄せられていたのだった。
■「親として」疑問に感じた点は…
ツイート投稿主・ブルームさんも件の減点には大いに疑問を感じており、「数が先にこなければならない数学的な理由がなく、文中と式に登場する数字を逆にし、ひっかけ問題として考えを押し付けたい意図が感じられたため、ツイートを投稿しました」とも振り返っている。
またかよ・・・
この4問を間違いとされて100点逃した子供の気持ち考えたことあるのか?
うちの子以外にも間違いが多くてこの単元のテストを何度もやり直させてるようで、子供たちに理解させれない説明しか出来ないならこれをやる意味って・・・ pic.twitter.com/6b3w9IcNPF— ブルーム@FIRE達成 米国株 x 太陽光 (@Bloom202004) November 28, 2022
またツイートに寄せられた多数の声にも目を通しているようで、「順序が大切なのももちろん理解しますが、減点やバツにするものではないかなと。実際に我が子のクラスでもこの手の問題で間違える子が多く、やり直しをたくさんさせています」「要するに、子供たちが理解できる説明を先生ができていないのです。教育現場では算数がもっと好きになって、やる気が出るような柔軟な指導をして頂きたいです」と、疑問を口にしていたのだ。
■「担任教師ガチャ」次第では丸になるケースも…?
子供のテスト。
どっちでもいいことで減点しないで欲しい。。。 pic.twitter.com/mlhMCuNAKb— ブルーム@FIRE達成 米国株 x 太陽光 (@Bloom202004) November 22, 2022
件の「かけ算の式」の順番の正誤判定については現場の裁量に委ねられており、言ってしまえば「順番を気にする教師」もいれば「気にしない教師」もいる…ということで、もはや一種の「担任教師ガチャ」のようになっているのが現状である。
ちなみに、文部科学省が平成29年(2017年)より告示した「小学校学習指導要領」の「第2学年の内容」における「A 数と計算」の項では、こうした数式の表記法における「順序」の重要性について触れており、「ここで述べた被乗数と乗数の順序は、『一つ分の大きさの幾つ分かに当たる大きさを求める』という日常生活などの問題の場面を式で表現する場合に大切にすべきことである」と言及。
一方で式を求めるのでなく、かけ算(乗法)の「計算結果」を求める場合は「数字の順番は問わない」とされており、文部省の定義する「大切にすべきこと」との矛盾が感じられるのも事実である。
なお記者は以前にも同様の話題がツイッター上で波紋を呼んでいるのを目撃し、「数学のプロ」に詳しい話を尋ねたことがあり…。
■「身近なもの」に例えると納得!
その際、コメントを寄せてくれたのは「関数アーティスト」として活動し、過去にも「数学的なマスク」など多彩なアイデアで注目を集めていた「CHARTMAN」こと、東京大学大学院生・レオンさん。
学習塾でアルバイトをしていた経験もあるレオンさんは、こうした出題者の「ひっかけ」の意図を感じさせる問題に対して「よくない問題」という印象を抱いているそう。自身は「式の順番にこだわらない派」と明言しているが、同時に「順序が重要視されている点」には、心当たりがあるとも語っている。
以前の取材時、レオンさんはホワイトボードに「ホットケーキの作り方」と題した図を記し、「料理のレシピやレシートなどをイメージしてもらうと分かりやすいのですが『×』を使用して表現されるものは、基本的に左側に『項目』や『まとまっている物』が、右側に『変動する数値』が表記されるようになっています」と説明してくれたのだ。
併せて大人気ゲームソフト『スーパーマリオ』シリーズにおける「マリオの残機数」や「コインの獲得数」もそのように表示されている旨補足しており、多くのネットユーザーから「分かりやすい」と称賛の声が寄せられていた。
■義務教育としての「目的」は…
最終的にレオンさんは「『算数の問題』というよりは、社会生活を営む上で重要となってくる考え方を『算数の数式を通して伝える』という点が、義務教育としての目的だと思います」と結論づけている。
だが前出の通り、レオンさん自身は数式の順序にこだわる問題を「よくない」と感じているため「テストに出題したとしても、減点の対象にすべきではないと思います」とも補足していた。
「現場の裁量に委ねる」という現状が、泥沼のような論争を生み続けている小学校のかけ算事情。現場を任せられた教育者たちは、責任をもって生徒たちが「理解」し、「納得」するような授業を心がけてほしい。
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