工具店

アメリカ・ノースカロライナ州のショッピングセンターで、万引きをしたとみられる男に声をかけた従業員が突き飛ばされ、命を落とした。正義感ゆえの悲しい事件であったことを、『WNCN-TV』『WRAL NEWS』など地元メディアが報じている。


■高圧洗浄機3台を万引き

事件は10月18日、同州ヒルズボロのハンプトン・ポワント・ショッピングセンターにある、建築資材などを扱う「ホーム・デポ/THE HOME DEPOT」で起きた。

亡くなったのは、この店の従業員であるゲイリー・レイザーさん(83)。高圧洗浄機3台を盗もうとした大柄の男に声をかけたことが発端だった。男はカートを手放し、白のヒュンダイ・ソナタに乗り込み現場から逃走。警察は今もその行方を追っている。


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■コンクリートに頭部を強打

天井に設置されている防犯カメラが事件の一部始終を捉えており、地元メディアが映像を公開。レイザーさんは黒いパーカーを着た男がカートを押しながら店を去ろうとしたところに右側から近づき、声を掛けていた。

レイザーさんはその直後に男に突き飛ばされ、サインポールの重石となるコンクリート部分に頭を強打。自力で起きあがろうとするも数秒後には倒れてしまった。


■「孫に会いたい」の言葉を残し…

頭部をはじめ体の複数ヶ所を骨折し、搬送先の病院で治療を受けていたレイザーさんは入院中に83歳に。医療スタッフや妻に誕生日を祝ってもらったが、骨折の合併症で体調が急変し、今月1日に死亡した。

レイザーさんは「孫に会いたい。そのためにも私は死ねない」と妻のヨヴォンさんに告げ、彼女も回復を信じ、誕生したばかりの孫に夫婦で会いに行く計画を立て、航空券も購入していた。


■増える高齢の従業員

アメリカのショッピングセンター業界では近年、高齢者の雇用がますます進んでいる。自分でお金を稼ぐ喜びと健康維持を目指し、志願者は後を絶たない模様だ。

長い人生において「自分はまだ社会に求められている。まだ貢献できる」という社会参加の意識は本人の生き甲斐にもつながるが、真面目で正義感が強いことも歓迎される理由だという。

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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ

80代従業員が万引き犯に突き飛ばされ死亡 正義感の強さが悲惨な結果に