今の仕事に楽しさややりがいを感じられない人におすすめなのが「起業」することです。35歳で独立して「ひとり社長」となり、起業20年目にして年商1億円に迫る勢いの松尾昭仁氏が、著書『ひとり社長になっていきなり年収を650万円にする方法』から、ひとりで起業して成功するための秘訣について解説します。

最初の2年間は我慢の時…しかしひとり社長はレバレッジが効いて50代の平均年収をはるかに上回る現実

「ひとり起業といっても、苦労なく稼げるはずはないのでは?」と聞かれることがあります。実際その通りです。ただ、投資のように考えて下さい。

投資には、ローリスクハイリターンのような商品はありませんよね?

リスクに見合ったリターンを得られるのが投資です。不動産投資のように、ハイリターンを得たいのであれば、大きなリスクが付きまといます。ノーリスクで大きく儲かる投資商品は存在しないのです。

起業も一緒です。勝負をしなければ、リターンは望めません。そして、同じように、リスクを上げれば、大きなリターンを得られる可能性があります。

ひとり起業というのはまさに、低リスクで始めて、堅実なリターンを得ることができる起業法です。

では、リターンを得られるまでにどのくらい時間がかかるのか?

だいたい2〜3年で、会社員時代の年収に戻り、その後、4年目くらいで年収650万円を超え、5〜7年目くらいで、1000万円を超えていく人が私の周りでは多いです。

さて、ここで私の話をさせて下さい。

私の起業1年目は、インプットに7割近くの時間を割きました。どうやって食べていくかをしっかりと見定めるために、ビジネス書を購入して読み漁りました。

そして、ビジネス系のセミナーにもたくさん出席し、自分のビジネスモデルを築くためにロールモデルとなる先生を探しました。人脈をつくるために、懇親会にも積極的に参加しました。

たくさんインプットするなかで、一つのビジネスアイデアが浮かんだのです。

それは、セミナーをやろうとする士業の方に向けて、「セミナーのやり方」「セミナー開催ノウハウ」を教えるコンサルタントになるということです。

ですから、セミナーはどういった形で開催されているのかなどつぶさに見て勉強しました。そして、セミナー運営のノウハウをためていき、次年度で売るためにパッケージ商品にしていったのです。

起業するために、中小企業診断士やMBAなどの専門的な知識を年月をかけて勉強する人もいます。たしかにそれも悪くはないのですが、起業家になるために資格はいりません。必要なのは実績ですから、そのためにもセミナーなどに参加して成功パターンを見てインプットするのが、一番の近道です。フットワークを軽くして、日々成功パターンを見続けましょう。

会社員を辞めたら早く稼がなくてはという気持ちも分かりますが、研究は絶対に必要ですし、勝利の方程式もつくっておかなくてはいけません。

1年目に市場調査を徹底して行い、2年目から収益を上げるために全力投球していきましょう。

仕事はどうやって獲得していく? ひとり社長体験記

最初の仕事は、ある有名コンサルタントのフォローアップセミナーでした。2005年当時、私はライブドアブログをやっており、月間のアクセスランキングで「総合」の10位くらいに入る月があるなど、人気を集めていました。

そのアクセスの集め方やブログのライティングの仕方を、フォローアップセミナーで講演し、「人気ブログの作り方マニュアル(CDセット)」を販売したのです。

セミナー自体は無料で行いましたが、1万円のブログマニュアルはセミナーに来て下さった方々が全員買って下さいました。

また、人脈を駆使して、当時、時代の寵児ともてはやされていた堀江貴文氏が社長をしていたライブドアの主催セミナーで講師もやりました。そして、しっかりと自分のプロフィールにも「ライブドアセミナー講師」と書いたのです。

コンサルタントで集客をするためにも、自身にブランディングが必要です。

講師の依頼はまずは安くてもいいので受けて、「セミナー講師」という経歴をつくりましょう。また、現場ではセミナー開催者と人脈をつくり、他にどのようなセミナーを開催しているのかをチェックしましょう。

あなたの顔が売れるチャンスも広がります。

もう一つの手としては、有名な方とのジョイントセミナーを開催するという方法があります。売り出し中のあなたには知名度がありません。ですから人のブランドを使わせてもらうのです。

業界の有名人の見分け方ですが、メルマガ読者数、SNSのフォロワー数、過去のセミナー実績、著書があるかどうかなどで判断してみて下さい。業界の有名人ですので、そのセミナーにはお客さんが多数くるでしょう。

そこで前座でもいいからセミナー講師をやらせてもらえれば、その場のお客さんはあなたのことを知り、ファンになるかもしれません。

自分の力だけではなく、他人の力も使い、ビジネスを拡大させていくのです。

コンサルは家庭教師、スクールは集団授業、数のレバレッジで稼ぎは10倍以上になる

ひとり社長になって、自分のノウハウを売るコンサルタントになろうと伝えてきました。

たとえば、それが個人のお客様へのアプローチだとしたら、個人レッスンと変わりません。そこで収入を上げていくためには、一人ひとりのコンサル料を上げていくことがベストです。

その後は、ビジネスの幅を拡大することを考えなくてはなりません。セミナーなどの開催ももちろんそうなのですが、それでは単発で終わってしまう可能性もあります。

また、世の中のトレンドの変化などもあり、毎年同じセミナー数を開催できるか分かりません。

「スクールビジネス」という次のステップ

そこで、私が紹介したいのは、スクールビジネスです。つまり、お客様ではなく、「受講生」という形で自分の作り上げた組織に在籍してもらい、成果を出してもらう仕組みです。

もちろん、様々なノウハウが必要なので、いきなりこの形態にすることはおすすめしません。まずは個人コンサルをやって、人脈とノウハウをためていきましょう。

その後に、そのノウハウをもっと多数の方々に提供して効率よくお金を稼げるようにしていくのです。

スクール制にすれば、参加者同士の競争も生まれるので、自然と結果も良くなります。もちろん競争というのは、切磋琢磨をするということです。

私の出版スクールの事例を挙げます。私が教えているスクールでは受講生すべてを出版社に送り出すべく、プレゼンの練習や、企画書の書き方を教えています。10人いたら、10人すべての出版を目指しています。

これが、10人いてチャンピオンの1人しか出版できないという限定性ならどうでしょう?おそらく切磋琢磨とはいかず、争いが起きてしまうことは想像に難くありません。

私は自分の出版スクールに入ってくれた受講生すべてに著者になってほしいと考えています。多くの人の夢を叶えたいのです。

ですから、あなたもスクールを運営する時の鉄則として、自分のノウハウを惜しみなく注ぐことはもちろん、なるべく多くの人の夢を実現させる方法を選んで下さい。

また、スクールの良いところは、面倒見のいいリーダーが参加者の中から現れることです。

私のスクールでは、講座以外に「フリー勉強会」を設けています。そこでは私は講義をせず、受講生同士で企画書の読み合わせをしたり、プレゼンの練習をしたりしています。その際にリーダーがファシリテートしてくれるのです。

私がいないことで、自由な視点で勉強ができたり、受講生同士の連帯もより深まるのです。

さて、最後にそんなスクール運営ですが、これは10〜20人規模が良いと思います。これ以上増えてしまうと、一人ひとりに目が届かなくなったり、主催者が多忙になり、コンテンツの質が落ちてしまいます。それでは、本末転倒です。

松尾 昭仁

ネクストサービス株式会社

代表取締役

(※写真はイメージです/PIXTA)