自身も元サッカー選手であり、アーティスト界きってのサッカー好きとして知られるナオト・インティライミ。この日は日本がW杯3戦目のスペイン戦に勝利した直後ということで、ライブのお祭り気分にお祝いムードがプラスされている。本人いわく「もし予選敗退していたときの、アリーナ2Days。俺もみんなもテンション感暗い感じになりかねなかったよね」と笑っていたが、ライブが進むにつれ、果たして本当にそうだろうかと疑念が湧いた。案の定、この日のライブは大成功であり、ナオト・インティライミのブレないアーティスト性を目の当たりにできる内容だったのだが、たとえライブ直前に日本チームが負けていたとしても、また違う盛り上がりと感動を生むライブになったはずなのだ。そう確信できるほど、癒しとエネルギーに満ちた2時間半だった。

ナオト・インティライミ@ぴあアリーナMM ティライミワールド カーニバル2022~絶対に見逃せないLIVEがそこにはある~』という冠のついた、約6年ぶりとなるアリーナ公演2Days。初日の一曲目、ファンク色の強いパーティチューン「メガロポリス・ラプソディー」で会場中の歓喜を一気にステージに呼び寄せ、ラップ&ダンスビートの「FUNTIME」ではダンサーとともに花道の先にあるセンターステージまで躍り出て、今度は自分から観客の興奮の渦へと近づいていく。一旦、曲を静止させてゆっくりと場内を見渡したナオトの表情は、なんだか大好きな子にいたずらを仕掛ける少年のようだった。かと思えば、3日前に発売したばかりの最新アルバム『虹色∞オクターブ』に収録された「Rule」では、ファルセットを多用したボーカルと透明感あふれるシンセサウンドで、今までにないクールな世界観を提示する。何やら尋常ではない集中力を感じるのは、やはり特別な想いがあるからだと最初のMCでわかった。「ついにこの日がやってきました。6年ぶりのアリーナ公演!」そしてW杯日本チームの健闘を称え、「応援するためには、このインティスタジアムを盛り上げないと、日本が盛り上がらないから。ねえ!」と、日本中のサッカー熱とライブの熱気を掛け合わせて喜んだ。

最新アルバムからドゥーワップのリズムが心地いい「何度だってLalala」、今や国民的なラブソング「ありったけのLove Song」「君に逢いたかった」、この時期に聴くと効果倍増な最新アルバム曲「Sunny Christmas」など、新旧交えてナオト・インティライミの王道と多彩なポップスセンスを聞かせていく。中でも観客全員がスマホライトを使い、曲に合わせて振る参加型の演出は、ライトの美しさはもちろん、観客のナオトに対する想いの強さをリアルに感じさせ鳥肌が立った。とにかく選曲は、豪華すぎるほど豪華。「LIFE」「Brave」「いつかきっと」と人気曲を惜しげもなく並べ、すべての人が抱えるひとつひとつの想いに応えるように、歌で背中を押し、肩を組み、そっと手を握っていく。

「生きていればいいこともあれば嫌なこともある。でも、どんなにつらいことがあっても、生きてさえいれば、あがいてもがいて、その先に必ず何か光を見つけられるはずだから。うれしい楽しいという感情を、一緒に探す人生の旅を続けたいと思います。この日この場所を選んでくれて、いま目の前にいるあなたと、それができると信じています」

そうしてギターを爪弾きながら歌った「未来へ」の、どんなことが起きても未来を想像すれば前に進む力を手にできるというメッセージは、飾らずまっすぐな歌声とともに丁寧に届けられた。

ダンサーやバンドメンバーの紹介を挟み、なんとステージ床下からポップアップの登場で始まった「ピンチ」、ライブ終盤は、サンバのリズムを基調に「おまかせピーターパン」「Ballooooon!!」などアップナンバーを続け、本編ラスト「タカラモノ~この声がなくなるまで~」まで滑走。ダンサーに混じって踊り、花道を走り、天を仰いで叫ぶ。アグレッシブなバンド演奏とナオトの全力パフォーマンス、それに全身で応える観客が生み出す熱気は、まさにカーニバルだ。

6年ぶりのアリーナは、ライブタイトル通りに“見逃せない”シーンの連続だった。コロナ禍のため歓声が出せない観客のために、きちんとレクチャーがあった上で取り組む手足クラップや、隣の人にぶつからないダンスなど、“観客参加型演出”もたくさん用意されていた。そしてステージではナオト自身もギターを弾き、ピアノを弾き、センターステージに用意されたゴールにPKを決め、トロッコに乗って観客に限界まで近づいていった。2023年は怒涛のリリースラッシュになること、夏にはライブツアーが決定したことなどの報告も、ファンにはうれしいサプライズといえる。

W杯にしろ日々の生活の中にある葛藤にしろ、その結果が勝ちでも負けでも、大切なのはその自分を肯定すること。ナオト・インティライミという人が音楽によって提言するひとつの答えを、身をもって感じることのできるライブだった。

Text=川上きくえ
Photo=森好弘

<公演情報>
ナオト・インティライミ@ぴあアリーナMM ティライミワールド カーニバル2022~絶対に見逃せないLIVEがそこにはある~』

2022年12月3日(土) 神奈川ぴあアリーナMM(アリーナ公演2DAYS初日公演)

セットリスト
01. メガロポリス・ラプソディー
02. FUNTIME
03. Rule
04. 何度だってLalala
05. ありったけのLove Song
06. 君に逢いたかった
07. Sunny Christmas
08. LIFE
09. Brave
10. いつかきっと
11. 未来へ
12. 今のキミを忘れない
13. ピンチ
14. おまかせピーターパン
15. Ballooooon!!
16. タカラモノ〜この声がなくなるまで〜

■ENCORE
EN1. The World is ours!
EN2. Tokyo Summer
EN3. カーニバる↑?

<ライブ情報>
ナオト・インティライミ LIVE TOUR 2023 SUMMER』

■2023年
7月22日(土) 神奈川・相模女子大学グリーンホール
7月28日(金) 愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
7月29日(土) 兵庫・神戸国際会館 こくさいホール
8月5日(土) 新潟・新潟テルサ
8月10日(木) 大阪・オリックス劇場
8月11日(金・祝) 岡山・倉敷市民会館
8月13日(日) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
8月19日(土) 埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール
8月26日(土) 宮城・東京エレクトロンホール宮城
8月27日(日) 神奈川神奈川県民ホール 大ホール
9月1日(金) 東京・東京ガーデンシアター

詳細はこちら:
https://www.nananaoto.com/2023_tour/

<配信情報>
「ありったけのLove Song(feat.ばんばんざい)」

2022年12月21日(水) 配信リリース

関連リンク

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『ティライミワールド カーニバル2022』より