小宮璃央と井上想良がW主演を務めるドラマ「永遠の昨日」(毎週木曜深夜1:20~ほか、MBSほか)の最終話となる第8話が、12月8日に放送され、満(井上)の5年後の姿のあとに浩一(小宮)ターンが描かれた。この世にはもういない浩一の恋と愛が感動を呼び、さらに泣けてしばらく放心状態となった。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】切なげな横顔が美しい井上想良“満”

■“泣けて泣けて仕方がない”青春ラブストーリー

同ドラマは、交通事故に遭ってしまった高校生の浩一と同級生の満が心を通わせ、生と性を見つめて懸命に“生きた”二人の姿を描いた、榎田尤利原作のBL小説「永遠の昨日」が原作。

陽気でクラスの人気者の浩一と秀才で人付き合いが苦手な満。高校生の二人は正反対の性格ゆえに強く引かれあっている。しかしある朝、浩一は満の目の前でトラックにはねられてしまう。その場で起き上がり、いつものように笑ってみせた浩一は、確かに「生きて」いるけれど、クラスメートたちは次第に浩一の存在を忘れ始める。浩一が消えてしまうまでの限りある刻を懸命に輝かせた二人の姿に“泣けて泣けて仕方がない”青春ラブストーリーとなっている。

浩一と満のクラスメイト・鏡屋寿美子を大友花恋、橋本郁美を鳴海唯、クラス委員長を新原泰佑が演じる。また、浩一たちのクラスの担任・小河雅彦役で中村優一、生物学の教員・玉置役で朝井大智が出演するほか、浩一の母を北原里英、青海総合病院の内科医・香住遥を小林涼子、満の父・青海敏郎を松村雄基が務める。

■物語が収束したあとに始まる浩一ターン

浩一が逝って5年後、満は思い出のキャンプ場を訪れる。浩一を偲び、「今も一番、愛しているよ」と静かに優しく浩一に語りかける満に涙が流れる。

ここでこの物語は収束したかに思えた。しかし、この後暗転し「一昨年の春、みっちゃんと出会った」と浩一のセリフが入る。浩一ターンがまだ用意されていたのだ。原作に則った構成がありがたく、また切なくもあり、これだけでさらに泣けてくる。

雨の放課後、部活中の浩一は満との出会いを奇跡のように感じ、一瞬で恋に落ちる。浩一が満に恋心を募らせていく様子が描かれ、第1話目から見てきたシーンが、浩一視点で浩一の言葉で語られていく。体育館でのやり取り、プールサイドでの昼ごはん、キャンプでのキス…。恋の高揚感がくすぐったく、同時にもうこの世にいない浩一の気持ちが切なくてたまらない気持ちにさせる。

■誰かの一番になりたかった浩一

「特別な時間」を過ごした翌朝、裸でベッドにいる二人。浩一は腕枕している腕を抜き、寝入っている満を見つめる。満が浩一を一番と言ってくれたことに対し、浩一は誰かの一番になったことがなかったと心のなかでつぶやく。山田家の家族は本当の家族ではなく、本当の父親は浩一も知らず、本当の母親は浩一を捨てたのだった。

母の兄である伯父が浩一を引き取り、本当の子供のように育ててくれた。父も母も浩一に気を遣ってくれたが、浩一にはそれがうれしくもあり、さみしくもあった。そのため浩一は一番好きだという人が現れることを願い、自分もその人が一番好きなら本当に奇跡だと思っていたのだ。

眠る満の頭を撫でながら「みっちゃん、奇跡をありがとう」と語りかける浩一。片方の手で満の頬を撫でてほほ笑む浩一の顔は、涙でにじんでよく見えないほどに泣けてしまう。

浩一は満に迷惑をかけないように、満が眠っている間に去る決心をし、「みっちゃん、一番愛してる」と優しく告げてキスを落とす。まるで宗教画のように美しく尊いシーンに心が洗われる。満も浩一も最後のセリフは「一番愛している」で締められ、ベターハーフというべき二人の固い絆に震えるほど感動してしまう。ドラマが終わってもしばらく放心するほどただただ涙が流れ、“泣けて泣けて仕方がない”青春ラブストーリーであることが証明された。

◆構成・文=牧島史佳

「特別な時間」を過ごす小宮璃央“浩一”と井上想良“満”/「永遠の昨日」第8話より (C)「永遠の昨日」製作委員会・MBS