長年、競馬ファンに親しまれてきた競馬専門紙が、絶滅の危機に瀕している。

 現在、中央競馬の予想に欠かせない競馬専門紙は全国では「優馬」「競馬エイト」「競馬ブック」「研究ニュース」の4つ。関東のみで発行されている「馬サブロー」「勝馬」「競友」「日刊競馬」の4紙を含めても、8紙しかない。

 かつて関東のみの発行で人気のあった「ケイシュウNEWS」は、南関競馬版を残して01年3月限りで休刊。全国規模で発行されていた「ホースニュース・馬」も事業者が倒産したため、08年2月17日をもって廃刊となるなど、競馬新聞は減少の一途をたどっている。だが、今後はさらに整理される方向へ進むという。さる競馬専門紙のベテラントラックマンは、現状を次のように明かすのだ。

「今、黒字になっているのは『競馬エイト』だけじゃないかな。競馬専門紙の雄『競馬ブック』でも、関東版は苦しい。その他はどこも青息吐息だ。廃刊、休刊がウワサされるところは一つ、二つではないですよ」

 新型コロナウイルス感染症の影響で競馬場の入場者は減少しているが、売り上げは好調だ。ネット投票が数字を伸ばし、21年度の売得金は前年比3.6%増の3兆911億1202万5800円。10年連続で前年比増を達成しているほどだ。

 だが、その売り上げと競馬専門紙の部数は反比例している。理由は中央競馬会(JRA)が、競馬ファンのかゆいところに手が届くサービスを行っているからだ。前出のトラックマンが嘆く。

「以前はベテランのトラックマンが時計を片手に調教タイムを計り、掲載していた。当然ながら各紙で経験や技術の差があり、誤差は生じますね。これが部数に直結していたわけですが、今はJRAが調教タイムを自動計測して、各紙に流すようになった。トラックマンたちは独自の人脈で調教師や厩務員のコメントを取っていたのが、今はコロナの影響で各紙の代表者がコメントを取り、全体に流す。これではどの新聞も同じようなものだよ」

 加えてJRAは23年3月下旬から全レースの動画を無料で、しかも会員登録なしで配信するサービスを開始する。

 競馬文化を引っ張ってきた専門紙にとって、さらに厳しい冬の時代がやってくることになりそうである。

アサ芸プラス