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10月31日歌舞伎座を訪れた寺島と眞秀

《試行錯誤の連続ですが、私自身が楽しんでやっているので、それが語りににじみ出ていたらいいなと思います》

こう胸中を語ったのは寺島しのぶ(49)。NHKは12月9日に、寺島が来年の大河ドラマ『どうする家康』でナレーションを務めることを発表した。

すでに同作では、寺島の長男・寺嶋眞秀(10)が主人公・徳川家康の息子である信康役を務め、わずか10歳で大河デビューを果たすことが発表されている。

寺島はこれまでに『龍馬伝』など6度大河ドラマに出演。寺島の両親である尾上菊五郎(80)と富司純子(77)の結婚は、菊五郎が主演した大河ドラマ『源義経』での共演がきっかけだ。寺島の弟・菊之助(45)も『葵 徳川三代』と『西郷どん』に出演しており、大河と音羽屋は縁が深い。

「眞秀くんは菊之助さんの長男の丑之助くん(9)より先んじて大河に出演します。年齢は眞秀くんのほうが1歳上ですが、音羽屋の惣領息子は丑之助くんですからね。寺島さんとしては“してやったり”でしょう」(歌舞伎関係者)

寺島が眞秀と比較して丑之助を意識するのには理由があると、後援会関係者は言う。

「もともと寺島さんは歌舞伎役者に憧れていて、幼少期には日本舞踊など歌舞伎の芸事を学んでいたそうです。しかし11歳のときに、女性は歌舞伎役者にはなれないと知って、涙をのんだといいます。自分がかなえられなかった夢を託すべく、“眞秀を最高の歌舞伎役者にしたい”という宿願があるのです」

女優業に加え、梨園の母としても奔走してきた寺島。そんななか歌舞伎界に悲報がーー。

「昨年11月に、菊之助さんの義父の中村吉右衛門さん(享年77)が亡くなったのです。吉右衛門さんには4人のお子さんがいましたが全員娘さんで、唯一の男の子の孫・丑之助くんを溺愛していました。

丑之助くんは吉右衛門さんの幼いころに似ていて、吉右衛門さんは、『自分の芸を全部丑之助に渡して死にたい』といい、晩年は菊之助父子にべったりでしたね」(前出・歌舞伎関係者)

播磨屋の中村吉右衛門さんと、音羽屋の菊之助一家。屋号は違えど親密な関係が築かれていた。

「結婚当初、菊之助さんは菊五郎さんの二世帯住宅で暮らしていましたが、ほどなく吉右衛門さん宅に近いマンションにご一家で引っ越していったんです。菊之助さん一家は、しょっちゅう奥さんの実家に顔を出していました。吉右衛門さんが亡くなられてからも、その習慣は変わりません。奥さんの瓔子さんにいわせると、菊之助さんと吉右衛門さんは『性格と歌舞伎に対する思いが似ている』のだとか。

ただ、菊之助さんたちが播磨屋と距離が近すぎることを、やはり富司さんは面白く思っていないそうです」(前出・歌舞伎関係者)

■吉右衛門の後継者候補は丑之助のみ

文藝春秋』’23年1月号で菊之助は、吉右衛門さんの逝去から1年たっての思いを語っている。

《そば近くいることを許され、有り難い言葉や指導を受けた身としては、岳父の存在がますます大きくなっているのを痛感するばかりです》

播磨屋と結びつきが強まる中で、菊之助夫妻の周囲である考えが生まれたという。

「瓔子さんをはじめとして、梨園の方々は吉右衛門の名前が空位になっていることを寂しく思っていることは間違いありません。しかし現在、後継者候補は丑之助くんしか残っていないわけです。本来、丑之助くんは将来の菊之助、菊五郎として、音羽屋の看板を背負っていくことが定めなのですが……」(前出・歌舞伎関係者)

寺島はそんな菊之助の葛藤を察しているようだ。

「仮に丑之助くんが吉右衛門を継げば、眞秀くんが尾上菊五郎の大名跡を継ぐ可能性が出てくる。そのチャンスがあるなら何でもするというのが彼女の腹づもりなのです」(前出・後援会関係者)

菊之助が“妻の実家シフト”をしく一方で、寺島と眞秀は菊五郎に接近しているという。

「寺島さんが女優業で多忙なため、眞秀くんが菊五郎さんたちのもとへ、お泊まりに行くこともあるようです。もともと菊五郎さんも富司さんも眞秀くんのことをかわいがっていますから、大歓迎だとか。

また菊五郎さんが元気なうちに直伝の芸をできる限り教え込んでくれればと寺島さんは考えているのではないでしょうか」(前出・歌舞伎関係者)

寺島母子の今後の青写真について、前出の後援会関係者はこう熱弁する。

「多様性を尊重する今の世の中において、父がフランス人で、ハーフの眞秀くんは歌舞伎界にとって、貴重な存在です。また坂東玉三郎さん(72)をはじめ、歌舞伎界の重鎮たちから眞秀くんはすこぶる評判がいいのです。

寺島さんが眞秀くんをドラマ現場に連れてきて、早くから俳優の仕事を経験させているのは、演技に幅が出ることを狙ってのことだといいます。そして知名度を上げて、チケットを売れる歌舞伎役者になってくれればと考えているそうです。眞秀くんが大名跡を継ぐ日が来ても恥ずかしくないような実力をつけるために、親子で鍛錬の日々だと聞いています」

『LEE』’22年12月号で、《こうやりたいという彼の気持ちを尊重しつつ、いろいろ決めています。でも決まり事だらけの歌舞伎をやりたいと思っている限り、致し方ない部分はあるんです》と、梨園の母の難しさを語っていた寺島。執念は実るのかーー。