山形大学が山形県の人を対象に行った研究結果が『PLOS One』(2022年12月14日付)に掲載された。
それによると、男性の性欲減退は、がんや循環器疾患など、あらゆる死因による死亡リスクを高めることが判明したそうだ。
性欲な関心の低さと死亡リスクが関係している理由はわからない。だが今回の研究によって、性欲と寿命とに興味深い関連性があるらしいことが世界で初めて示されたという。
山形大学医学部の櫻田香教授らは、山形県で健康診断を受けた40歳以上の約2万1000人(男性8600人、女性1万2400人)のデータをもとに、「性的な関心と死亡リスクとの関係」を分析した。
すると男性の場合、あらゆる死因が性的な関心の低さと関係していることがわかったのだ。
これは、年齢・糖尿病・高血圧・脂質異常症・喫煙・飲酒・BMI・教育・配偶者の有無・笑う頻度・心理的苦痛、もろもろの要因を考慮しても同様だったという。
一方、性的な関心が低いという女性は、男性よりも2倍以上多かったが、こちらでは死亡リスクとの関係は確認されていない。
なぜ性欲の低下と死亡リスクに関係があるのかは不明
一体なぜ、男性の性欲減退が寿命に関係しているのか? この研究でその原因の究明はされていない。
だがいくつかの仮説はある。
たとえば、性への関心の乏しさは、「不健康なライフスタイルと関連している可能性」がある。
そうした男性は免疫系・炎症・神経内分泌系にも問題を抱えており、夜の営みに関心が向かないのかもしれない。
あるいは、うつ病などの精神疾患は、性欲と死亡リスクどちらにも関連することが知られている。
だが、そうなのだとすれば、女性でも同じような傾向が見られなかった理由がわからない。
また、今回の研究は山形県在住の人だけを対象としており、それ以外の地域でも同じようなことが言えるかどうかも不明だ。
[もっと知りたい!→]十代の頃の性格や過ごし方と将来的な認知症のリスクに関連性があるという研究結果(米研究)
だがこの研究によって、興味深いつながりが世界で初めて明らかになった。
研究チームは、他国と同様に日本の保健当局も、公衆衛生を向上させる手段として、性的関心をうながすような取り組みを検討するべきだと述べている。
References:Association between lack of sexual interest and all-cause mortality in a Japanese general population: The Yamagata prospective observational study | PLOS ONE / Low Sex Drive Has Been Linked To All Causes Of Death Among Men In Japan | IFLScience / written by hiroching / edited by / parumo
コメント