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でんぱ組.incの単独公演「スペシャルワンマンライブ『でんぱぁかしっくれこーど』」が12月16日神奈川・KT Zepp Yokohamaで開催された。

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12月14日に5曲入りのEP「でんぱぁかしっくれこーど」をリリースしたでんぱ組.inc。本作で彼女たちは畑亜貴Aiobahn、けんたあろは、サイレンジ!、玉屋2060%(Wienners)、まふまふ前山田健一ARM(IOSYS)MOSAIC.WAVを作家陣に迎え、グループ名の由来である“電波ソング”を令和の時代にアップデートした。そんな「でんぱぁかしっくれこーど」をタイトルに冠した今回のワンマンは、古川未鈴、相沢梨紗、藤咲彩音鹿目凛、天沢璃人、小鳩りあ、空野青空、高咲陽菜、12月いっぱいで卒業する愛川こずえにとって9人体制最後のライブでもあった。

ステージに飾られた「でんぱぁかしっくれこーど」の巨大な幕が強烈な存在感を放つKT Zepp Yokohama。開演時刻を迎えるとミニアルバムの表題曲「でんぱぁかしっくれこーど」が流れ始め、そのサウンドに合わせて照明がフロアの四方八方を照らす。そんな観客の期待感を高める演出中、でんぱ組.incが静かにポジションに着くと、1曲目「Future Diver」でオーディエンスを歓迎。「アキハバライフ♪」では軽快にステップを踏んだり手を振ったりしながら、仲睦まじげに歌い踊った。横1列に並んだメンバーは自己紹介を終えたあと、今回のワンマンが愛川のラストライブであることに触れ、悲しげな表情を見せる。鹿目は「今日のライブは楽しみだったけど寂しさもあって、泣きながら笑ってたよ」と素直な思いを口に。しんみりした空気を変えるように古川は「秋葉原にまつわるEPを出せてうれしく思います」、藤咲は「これからは秋葉原を代表していかなきゃいけないんですよ。これからも歴史を紡いでいきましょう」と声を張り上げた。そして、でんぱ組.incの真骨頂であるハイテンションな高速ナンバー「でんぱせいばぁ☆」「MIKATAせずにはいられないっ!」が投下され、瞬く間に熱気が広がった。

Kiss+kissでおわらない」や「バリ3共和国」でめくるめくフォーメーションダンスが繰り広げられ、あっという間にライブは中盤へと突入する。藤咲が「次はヤバい曲を用意してきたから!」と自信たっぷりの表情を見せると、いよいよ「でんぱぁかしっくれこーど」の収録曲「接吻~らぶらぶ♥ちゅ~」のパフォーマンスへ。彼女たちは投げキスと「らぶちゅ」のループで、オーディエンスをカオスな世界へと誘った。さらに「でんぱぁかしっくれこーど」からの「我ら令和のかえるちゃん!」ではメンバーがキュートなかえるに“変身”。にぎやかな歌とダンスに呼応するように色とりどりのペンライトが激しく揺れ動いた。

ライブ定番曲「くちづけキボンヌ」「でんでんぱっしょん」のあとには、切ないバラードソング「秋の葉の原っぱで」の歌唱へ。横1列に並んだ彼女たちはマイクを握り締め、ピアノを主体としたサウンドに柔らかな歌声を重ねた。会場が深い余韻で満たされる中で古川は「最後と言ったらやっぱりこの曲でしょ!」と威勢よく叫ぶ。このひと声をきっかけに本編ラストに届けられたのは、「でんぱぁかしっくれこーど」の中でもひと際異彩を放つ「オーギュメンテッドおじいちゃん」。“おじいちゃん”となったヲタクたちに捧げる新曲だ。彼女たちはラジオ体操ヲタ芸を盛り込んだメンバー考案のダンスを、“おじいちゃん”へのリスペクトを込めるように披露。ハイカロリーなパフォーマンスを終えて息が上がりながらも、笑顔を絶やさずステージをあとにした。

アンコールでは鹿目の「こずこずを呼んじゃいまーす」というひと声で愛川が元気よく登場。彼女を歓迎するようにサイリウムが愛川のメンバーカラーであるライトグリーンに染まった。9人がそろったところで愛川は「10月からお休みに入ってしまって、皆さんにはご心配とご迷惑をおかけして本当に申し訳ありませんでした。ゆっくりお休みをして、皆さんの温かい言葉をいただいたおかげで、こうして直接皆さんと会うことができました。約2年という短い期間でしたが、たくさんの思い出があります。振り返ると、でんぱに入ってよかったな、幸せだなという気持ちが一番大きいです。短い時間ですが、みんなと一緒に歌いたいと思います」と胸の内を語る。愛川のラストステージが刻々と迫る中、メンバーは「スタンバイしなかったらライブ終わらないよね」と舞台上に座り込む。なかなか準備を始めないメンバーに対して愛川は「みんなも疲れてるだろうし、お客さんもずっと立ちっぱなしで終電もあるだろうしやりましょう!」と気遣いを見せ、9人は悲しみを振り切るように「千秋万歳!電波一座!」ではつらつとしたパフォーマンスを披露した。

その後、愛川、小鳩、藤咲がステージに残ると、察しのいいファンからどよめきが起こる。でんぱ組.inc内ユニット・チャペの泉の3人は「愛♡舞☆ミライ!」でチャーミングな魅力を存分に発揮した。息の合ったパフォーマンスをステージ袖で見守っていた古川、相沢、鹿目、天沢、空野、高咲の6人。メンバーは愛川を囲んで順に声をかけていき、藤咲は「“踊ってみた”やろうね」、小鳩は「いつでもいいけど……チャペの泉の復活祭やろうよ」、鹿目は「ぬいぐるみで遊ぼうね」と約束した。それぞれの思いを受け取った愛川が「こんなにてんやわんやなMCになると思ってなくて(笑)。みんなと出会えてホントに幸せです。今日という1日がでんぱ組.incの歴史として輝き続けますように」と語ったあと、彼女たちは「でんぱっていこーぜ」を元気いっぱいに歌い踊り、9人体制最後のステージをにぎやかに締めくくった。すべての曲目を終え、メンバーから花束と色紙をプレゼントされた愛川は会場に集まったファン1人ひとりに手を振り、「完全燃焼です!」と感無量の様子で叫んだ。

でんぱ組.inc2月22日にライブBlu-ray / DVD「お前らDEMPARKまで行くんだろ?乗りな! / 電電電電電電電電電!!!!!!!!!+でんでん!! in 日比谷野外音楽堂」をトイズストア限定でリリース。3月から4月にかけて全国ツアー「ONE NATION UNDER THE DEMPA TOUR」を開催する。

でんぱ組.inc「スペシャルワンマンライブ『でんぱぁかしっくれこーど』」2022年12月16日 KT Zepp Yokohama セットリスト

01. Future Diver
02. アキハバライフ♪
03. でんぱせいばぁ☆
04. MIKATAせずにはいられないっ!
05. Kiss+kissでおわらない
06. キラキラチューン
07. バリ3共和国
08. 接吻~らぶらぶ♥ちゅ~
09. くちづけキボンヌ
10. 我ら令和のかえるちゃん!
11. まもなく、でんぱ組.incが離陸致します♡
12. でんでんぱっしょん
13. 秋の葉の原っぱで
14. オーギュメンテッドおじいちゃん
アンコール
15. 千秋万歳!電波一座!
16. 愛♡舞☆ミライ! / チャペの泉 from でんぱ組.inc
17. でんぱっていこーぜ!!

ONE NATION UNDER THE DEMPA TOUR

2023年3月5日(日)東京都 J:COMホール八王子(※声出し可能公演)
2023年3月19日(日)大阪府 GORILLA HALL OSAKA(※声出し可能公演)
2023年3月24日(金)富山県 MAIRO
2023年3月26日(日)石川県 金沢EIGHT HALL
2023年4月1日(土)香川県 高松MONSTER
2023年4月2日(日)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
2023年4月9日(日)新潟県 NIIGATA LOTS
2023年4月15日(土)静岡県 SOUND SHOWER ark

でんぱ組.inc「スペシャルワンマンライブ『でんぱぁかしっくれこーど』」アンコールの様子。(撮影:チェリーマン)