脳卒中で倒れた飼い主の男性を救った犬が12日後、男性と一度も面会できないまま死亡していたことが明らかになった。犬は飼い主と離れたことで食事も水も喉を通らなくなったという。中国からの悲劇のニュースを『South China Morning Post』などが伝えた。

中国、浙江省杭州市のアパートで先月下旬、一人暮らしをしていたヤンさん(Yang、78)が脳卒中で倒れた。

最初に異常に気付いたのは隣人で、ヤンさんの愛犬、“アワン(Awang、9)”がけたたましく吠えるのを聞いて「これは尋常ではない」と玄関の戸を叩いてみたという。

ところが玄関は施錠されており、ヤンさんからの反応はなかった。それどころかアワンの声はますます激しくなり、不安になった隣人は地元警察に通報、駆け付けた警察官が椅子の下敷きになって倒れているヤンさんを発見したのだった。

アワンはヤンさんが子犬の頃から飼っているゴールデンレトリバーラブラドールのオスのミックス犬で、普段は大人しく、吠えることは滅多になかったという。

ヤンさんはその後、病院に搬送されて一命を取り留めており、警察官のシェン・ジェンファンさん(Shen Jianhuan)は当時のことをこのように語った。

「現場に到着後、我々は吠え続けるアワンにこう言葉を掛けました。『私たちは君の飼い主を助けにきたんだよ』とね。するとアワンは、まるで私たちの言葉を理解したように吠えるのを止め、その場に横になったのです。」

なおヤンさんは、アワンのこの必死の鳴き声により救われて快方に向かっているが、アワンはヤンさんが倒れてから数日後、地元の福祉活動を支援するコミュニティワーカーによって野良犬専門のシェルターへと送られていた。そしてヤンさんと二度と面会をすることは叶わず、離ればなれになったことで憔悴し、ヤンさんの事故から12日後に息を引き取った。

シェルターのマネージャー、ジンさん(Jin)は、アワンの悲劇の死についてこのように述べている。

シェルターに到着後、アワンは他の犬たちとは別にされ1頭のみでケージに入れられました。しかし飲食を拒否し続け、今月2日に死んでしまったのです。」

「アワンは人間が他の人を救うように、飼い主の命を救いました。そんな勇敢なアワンのことをスタッフは注意深く見守っていたのに残念でなりません。」

シェルターに移動してくる多くの犬は、新しい環境に適応できずストレスで亡くなってしまいます。狭いシェルターで犬たちは、鍵がかかったケージに閉じ込められ、自宅でできるような運動ができないばかりか、人間とのかかわりもそれまでと同じようにはいかなくなるのです。」

なおこのニュースには「飼い主を救ったのにこんな対応をされるなんて。犬をシェルターに送った人間は感情や理解力がないのだろうか」「この世界で犬ほど人間を愛してくれる動物はいないだろう」「なぜこの犬と飼い主を対面させることができなかったのか」「中国ではいまだに病院での規制が厳しいに違いない。かわいそうに」「注意深く見守っていた? だったら犬が死んでしまうことはなかっただろう」「犬の気持ちを思うと胸が締め付けられるね」「こんな死に方をするなんて…。この犬こそ病院に連れていくべきだった」といったコメントが寄せられている。

ちなみに今年10月にはスリランカで、民家で行われた男性の葬式にメスザルが現れ、男性が呼吸をしていないのを確かめると涙を流してそっとキスをしたという。サルは男性に毎日餌をもらっており、周りの人間と同じように男性の死を悲しんでいたように見えたという。

画像は『South China Morning Post 2022年12月18日付「He refused to eat or drink」(Photo: SCMP composite/handout)(Photo: 163.com)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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