吉沢亮が主演を務めるドラマ「PICU 小児集中治療室」(毎週月曜夜9:00-9:54、フジテレビ系)の第11話が12月19日に放送された。大地震による事故に巻き込まれた子どもたちの前に立ちふさがったPICUの課題。武四郎(吉沢)ら医師の葛藤と奮闘に感動し、深く考えさせられる最終回となった。(以下、ネタバレがあります)

【写真】患者を移送する武四郎(吉沢亮)たち

■大規模地震による患者に対応する武四郎

同ドラマは「大規模なPICUの運営は極めて困難」とされる広大な北海道で、吉沢演じる“しこちゃん先生”こと新米小児科医・志子田武四郎が先輩医師らと共に、どんな子どもでも受け入れられるPICU(Pediatric Intensive Care Unitの略称で小児専門の集中治療室のこと)を作るため、そして、1秒でも早く搬送できる医療用ジェット機の運用を実現するために奔走する姿を描く。

“子どもの命”をテーマに「生きるとは」「命とは」「家族とは」という問いに、真正面から向き合うメディカル・ヒューマンドラマとなる。

日本各地でPICUの整備を推し進めてきた小児集中治療のパイオニアである植野元を安田顕、武四郎と同時期にPICUに配属された救命医・綿貫りさを木村文乃看護師・羽生仁子を高梨臨、武四郎の幼なじみの救命医・矢野悠太を高杉真宙、同じく幼なじみの小児外科医・河本舞を菅野莉央、武四郎が子どものころから好きだった涌井桃子を生田絵梨花が演じる。

最終話は、北海道で大規模な地震が発生し、震源地近くのトンネル崩壊事故に巻き込まれた子どもたちがPICUにも運ばれてくることに。そこで、あらためてPICUの課題が浮き彫りになった。

■葛藤する医師たちの思い

PICUでは事故にあった子どもたちを受け入れていくと決めたものの、ベッド数には限りがある。地震の影響で補助人工心臓植え込み手術が延期になってしまった圭吾(柊木陽太)、さらに一般病棟に移った急性リンパ白血病の日菜(小吹奈合緒)が戻ってくることになり、十分な管理のためには医師や看護師スタッフの数も足りていなかった。

これ以上受け入れないという植野の決断に、異を唱える舞と武四郎。武四郎は「僕は人の命を預かる医者なので、なにもできなくても、たとえ目の前で命が失われるのを見ることになったとしても、それでも他に受け入れ先がないなら僕はその瞬間まで何かしたいです。悪あがきでも、あがいてあがいて、どうにか命をこの世界につなぎとめておきたい」と静かに、でも熱い思いを語った。

武四郎の成長に頼もしさを感じる一方で、経験で状況を速やかに判断するベテラン医師も“命をつなぐ”仕事に向き合い続けているのは同じ。そんな医師たちの葛藤が露わになった。

■武四郎、生まれ変わっても医師に

もっと大きなPICUをつくるべきだったと悔いた植野。事故に巻き込まれた子どもたちの搬送がひと段落し、武四郎らを集めて開いたミーティングでは、残念ながら失われてしまった1人の少女の命をどうやったら救えたのかを考えるなかで、ドクタージェットが常駐されていれば…との思いが浮かび上がった。

そこで植野は、ドクタージェット常駐に必要な近隣病院との連携のため、自分ではそれが難しいので退職し、札幌共立大学病院から新たに科長を招くことを明かした。

武四郎は「そんなくだらない事情で先生がいなくなるのはおかしいです」とはねつけ、悠太らも賛同した。すると、札幌共立大学病院の渡辺(野間口徹)が現われ、自分たちで新たにPICUを立ち上げると告げた。分かりにくい言い回しをしたものの、植野たちのPICUと自分たちのところで協力関係を作るということだった。

その後、思いをあらたにした植野は「面白いなぁ、医者って仕事は」とつぶやいた。そして、無事に手術が行われて命がつながれた圭吾に会いに行った武四郎は、「生まれ変わったらどんな仕事したい?」と聞かれ、「まぁ、やっぱり医者かな」と答えた。ラストの武四郎ら幼なじみたちの集まりで、舞や悠太も医師としての未来を語った。

医師たちの思いを吉沢や安田たちが細やかに表現し、丁寧に描いてきた本作。課題はまだまだあるが、それを解消し、葛藤しながらも命をつなぐべく奮闘してくれている武四郎たちのような医師がいることに敬意の念を抱く。

SNSには「しこちゃん先生の熱い思いが胸を打った」「命の大切さをいっぱい考えさせる深いドラマ」「濃密な最終回だった」といった感想が。また、続編を熱望する声も上がり続けている。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

医師として頼もしく成長した吉沢亮“武四郎”/(C) フジテレビ