日本マイクロソフトは、Q&Ahmedシリーズの最新エピソードにて、SMBCグループの執行役専務でグループCDIO(チーフデジタルイノベーションオフィサー)を務める谷崎 勝教氏にデジタル トランスフォーメーションとデジタル パーシビアランスについてお話を伺い、同社の抱負について詳細を語っていただいた内容を公開しました。

*デジタルにおける忍耐力

SMBCグループ CDIO 谷崎 勝教様とマイクロソフトアジア プレジデント アーメッド マザーリの対談

SMBCグループ CDIO 谷崎 勝教様とマイクロソフトアジア プレジデント アーメッド マザーリの対談

マイクロソフトアジア プレジデント アーメッド マザー

https://news.microsoft.com/ja-jp/exec/ahmed-jamil-mazhari/

どの業界よりも急速に変化しているのが金融業界です。テクノロジが銀行業務に革命をもたらし、フィンテック プレーヤーやデジタル チャレンジャーといった新たな分野も生まれています。こうした状況を背景に、伝統的な銀行もDX(デジタル トランスフォーメーション)に取り組んでおり、効率を高めてお客様により良いサービスを提供しようとしています。

三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)は、日本最大かつ最古の商業銀行のひとつで、40カ国以上で事業を展開しています。そのSMBCグループが、伝統的な銀行もイノベーションリーダーになることができるというすばらしい事例を示しています。

SMBCグループは、革新的な製品やサービスを開発し、日本や海外のお客様だけでなく、業界全体に利益をもたらそうと、トランスフォーメーションへの取り組みを加速しています。こうした目標の実現に向け、SMBCグループは日本の大手銀行として初めてマイクロソフトと複数年にわたる戦略的クラウドアライアンスを締結し、マイクロソフトを戦略的クラウドプロバイダーおよびDXパートナーと位置づけることになりました。

谷崎氏は次のように述べています。「SMBCグループは、ITインフラのモダナイゼーションにより、スキルアップや文化の変革を目指すとともに、最終的にはお客様や従業員にすばらしい体験を提供してビジネスをグローバルで成長させたいと考えています」

SMBCグループでは、クラウドを活用することで、世界をリードするデジタル銀行となり、アジア最大のB2Bエンベデッド ファイナンス(組込型金融)ソリューションプロバイダーとなることを目指しています。また同時に、未来の世代に向けてサステナビリティとグリーンファイナンスに対する長期的な取り組みも追求しようとしています。

SMBCグループのデジタル戦略とマイクロソフトとのパートナーシップ

SMBCグループは、マイクロソフトと同様、パートナーシップによって成功する組織です。そのデジタル戦略は、お客様の成長とビジネス成果の達成を支援したいという思いに基づいています。

SMBCグループのDXにより、海外149拠点のグローバルネットワークを通じ、世界中のお客様に向けて多様で革新的なサービスが構築できます。信頼性の高いマイクロソフトの包括的なクラウドプラットフォームは、同グループの既存業務プロセスを合理化し、新たなビジネスモデルを創造する上で重要な役割を果たすことになります。

今回のパートナーシップで推進する主なイノベーションのひとつが、B2B2Cプラットフォームの確立によって消費者事業と法人事業を統合するエンベデッド ファイナンス(組込型金融)です。エンベデッド ファイナンスにより、カスタマイズされた「プラグインアンドプレイ」を使って非金融プラットフォームを金融ツールとシームレスに統合することが可能です。それがコスト削減やパーソナライズされた顧客体験の提供を実現し、新たな収益モデルの推進にもつながります。例えばSMBCグループでは、サプライチェーンの課題に対応しようと、クラウドベースのデジタルサプライチェーン金融ソリューションをアジアで立ち上げ、お客様の財務リクエストを数分で処理できるようにしたほか、クラウドベースのAIエンジンを採用して貿易金融処理をデジタル化し、クロスボーダー取引に対するお客様の需要増に対応しています。

「当社の法人のお客様は、サプライチェーンのデジタル化を加速させ、複雑なグローバルサライチェーン業務に対応しようとしています。こうした動きにより、当社のような銀行業は、システムとシームレスに連携し、ペーパーレスでリアルタイムなトランザクションを提供することが求められるようになりました」と、谷崎氏は述べています。

またSMBCグループは、お客様の財務オペレーションの効率化に向けて非金融デジタルツールも提供しています。例えば、CFO業務のデジタル化のために、Power BIによるキャッシュ コンバージョン サイクルやFXエクスポージャーといったKPIのデータ分析ダッシュボードや、請求書処理、支払い自動化ツールなどを提供しています。

■環境への目標を支えるDXの役割

こうしたDXに着手するSMBCグループの取り組みは、お客様がサステナビリティ目標を達成するにあたってのサポートにおいても、メリットを提供しています。

SMBCグループは、お客様にデジタルツールを提供することで、データを取得して排出量の動向を分析し可視化するといったお客様の負担を軽減し、排出量削減に向けた実用的な手段を提供しようとしています。法人のお客様を支援するSustanaというクラウドベースの独自ソリューションを立ち上げたほか、アジアで急速に拡大する小規模な再生可能プロジェクトを支えようと、プロジェクト金融プラットフォームも地場企業と共同開発しました。

SMBCグループは、今後もマイクロソフトと協力してグリーンデジタルソリューションの変革を実施し、お客様の持続可能な成長と環境分野への取り組みをサポートしていきたいと考えています。

サステナブルファイナンス分野をリードする金融機関として、当グループはグリッド最適化やエネルギー市場管理などのデジタル技術を活用し、お客様のエネルギー転換を支援する責任を担っています。マイクロソフトと共同でグリーンデジタルソリューションの変革を進めていくにあたり、チームメンバーにはより大きな視点を持つよう伝えています」と、谷崎氏は述べています。

SMBCグループが進めるトランスフォーメーション(ショートバージョン)

https://youtu.be/T0L8MZewfBI

■人材の強化と文化の構築

DXにおいては、テクノロジだけでなく、マインドセットと文化を変えることも重要です。特に文化については、SMBCグループも真正面から取り組んでいます。

同グループは、グローバル規模でパートナーシップを構築するため、日本、シンガポール、米国に共同イノベーション拠点を設置しています。また、非金融デジタルソリューションを推進する社内起業家ベンチャーをいくつも立ち上げて若い人材をCEOに任命し、彼らに大きな意思決定の権限を与えています。谷崎氏自身、過去2年間でプロジェクトを20件以上承認したといいます。

「オンラインでもオフラインでもさまざまな手法を試し、マインドセットと文化のトランスフォーメーションを加速させようとしています」と谷崎氏は話します。

さらに、SMBCグループではオンラインで従業員の再教育やスキルアップを図るため、社内でデジタルユニバーシティを運営しており、マイクロソフトもこの取り組みを全面的に支持しています。というのも、マイクロソフトは世界中の人たちがデジタル経済でチャンスを掴むためにスキルアップできるようにするというミッションに引き続き取り組んでいるためです。

■前例のない変化に対応するリーダーにとって重要なポイントとは

マイクロソフトは、SMBCグループのような組織と提携することを誇りに思います。同グループは、マイクロソフトのコアバリューの多くに共感しているだけでなく、テクノロジの変化は文化の変化なしにはありえないという点を根本的に理解しています。

今回、谷崎氏のお話を伺うことができて光栄でした。同氏は、DXやデジタル パーシビアランス(デジタルにおける忍耐力)を実現するテクノロジの力を明確に把握し、金融サービス業界のリーダーに適切なアドバイスができる人物でした。

「デジタル パーシビアランス」は、組織にとってDXという概念を超えた継続的な道のりです。デジタル パーシビアランスによって、組織は適切な技術を揃えるだけでなく、その可能性を最大限活用してより少ないリソースでより多くのことを実現し、不確実性に対応できるようになります。それがSMBCグループが取り組んでいることなのです。

「われわれはリーダーとして、地政学的環境や事業環境がかつてないほど変化する中でビジネスを推進する必要があります。すべてのシナリオを想定することはできませんが、突然の変化にも適応できるよう準備を整えておかなくてはなりません」と、谷崎氏は話します。

最後に谷崎氏は、企業は常にお客様第一の視点で考えるようにとコメントしています。これは、SMBCグループとマイクロソフトの継続的なパートナーシップの中でも、引き続き優先的に取り組んでいきます。

SMBCグループが進めるトランスフォーメーション(フルバージョン)

https://youtu.be/W46jwqWkMH8

SMBCグループ CDIO 谷崎 勝教様とマイクロソフトアジア プレジデント アーメッド マザーリの対談