ベテラン俳優チェ・ミンシクの約26年ぶりとなるドラマ出演作『カジノ』。12月21日の配信スタートに先駆け韓国・ソウルで会見が行われ、チェ・ミンシク、ソン・ソック、イ・ドンフィ、ホ・ソンテ、キム・ジュリョン、ソン・ウンソ、リュ・ヒョンギョン、そしてカン・ユンソン監督が登壇。集まった記者たちの質問に答える形式で、約1時間にわたりドラマについて語った。

【写真】豪華!ホ・ソンテや“最旬”韓国俳優のソン・ソックら登壇者の集合カット

■約26年ぶりにテレビ界に戻ってきたチェ・ミンシク

金・名誉・成功などさまざまな欲望が入り乱れるフィリピンのカジノを舞台に、カジノに命を賭けた一人の男の波乱万丈な人生を描くドラマ『カジノ』。ディズニープラス スターで本日12月21日より第1話第3話が配信となる。

約26年ぶりにテレビ界に戻ってきたチェ・ミンシクは、「映画の撮影は密度が濃いものの、何か物足りない気持ちがいつもありました。伝えたいことを、余裕を持って表現できるドラマというプラットフォームが恋しかったです」と感慨深い表情。

演じたチャ・ムシクを「とても平凡な人間です。しかし、欲望をあまりにも追い求めてしまったがために、自分でも気づかぬうちにカジノという世界に足を踏み入れてしまい、多くの人と出会い、左衝右突※していきます。ムシクを演じ、彼の人生を生きる中で、人の人生とは、誰に会い、どこに行き、何に接するのかによって、知らぬうちにドラマティックに変わっていくのだと感じました」と説明した。(※韓国の四字熟語:四方八方にぶつかるように、いろんなことが起こること)

■22年最もホットな俳優 ソン・ソック

チャ・ムシクと対立関係を繰り広げる警察官オ・スンフンを演じるのは、「22年最もホットな俳優」と名高いソン・ソック。

「スンフンは警察本庁でデスクワークをしていたのに、なぜか犯罪率の高いフィリピンに派遣されることとなった警察官です。エンターテイメント作品によく出てくる、アクションがうまくて、捜査能力も突出しているような警察官ではなく、会社員マインドで警察官生活を送っている平凡な人間です。そんなスンフンがフィリピンに行き、人は自分の力で生きていかなければいけないということを知り、成長していきます。目の前にいる捕まえなければならない人間を捕まえるべく、全ての力を振り絞って走るところが見どころです」と自らの役の見どころをアピール。

「演じるのに苦労はありませんでした。なぜなら彼は“オ・スンフン”という名前ではありますが、僕自身だったんです。性格も似ているし、似たような状況で成長してきたこともあって。僕は警察官ではないですけどね。そのため、演技をしているという感覚がありませんでした。スンフンを通じて、多くの方に僕という人間をより分かってもらえるのではないかと、期待しています」と付け加えた。

“チャ・ムシクの右腕”ジョンパル役を演じるイ・ドンフィは「『カジノ』は、平凡な人々が出会い、様々な選択をしていく中で起こる出来事を見せるドラマです。ジョンパルは、視聴者の皆さんに自分だったらどんな選択をするのかと考えてもらえるような役だと思い、チャ・ムシクの右腕という存在に好奇心を持っていただけるよう演じました。個人的には、誰でもない“チェ・ミンシク先輩の右腕”として生きることができたのが人生において一番の幸せでしたし、家門の誇りではないかという思いがしました」とユーモアたっぷりにコメント。

他作品との違いを見せるため、外見的な差別化を図ったそうで、「“鼻ひげ”に挑戦しました」と話すと、ソン・ソックに「韓国のジョニーデップです」と言われ「すみませんが、水を飲んでもいいですか?」と慌てふためく一幕もあった。

チャ・ムシクと親しい間柄から、互いに刃を向け合う関係となるソ・テソクを演じるのは、『イカゲーム』『アダマス 失われたダイヤ』で世界的に認知度を高めたホ・ソンテ。キャラクター紹介を促されると、グローバル俳優らしく「ジャスト・センシティブ・クレイジー・ギャングスタ―です」と英語で一言。

「長く説明する必要がないんですよ。複雑そうにみえて、複雑ではない人物なので」と短く話し、劇中のカリスマある姿とは似ても似つかないシャイな一面をうかがわせた。

ドラマの見どころについて聞かれると、チェ・ミンシクは「俳優のアンサンブルだと思います。後輩たちと演技をする中で、みんなプロフェッショナルだなと感じました。私も彼らの演技に大いに刺激を受けました」と回答。

キム・ジュリョンも「韓国の演技派俳優が大集結したと思っていただければ。俳優たちの演技を見る楽しみがあると思います」と続けた。

本作のもう一つの見どころが、フィリピンで撮影されたリアルな映像。海外ロケの感想を聞かれたソン・ソックは「フィリピンの宿舎で初めてドンフィと食事をしたとき、本人の覚悟のようなものを語ってくれたんです。”僕はこの作品に一身をささげて尽くす”という言葉に感動をしましたし、その時僕も覚悟を決めた記憶があります。いい思い出になりました」とイ・ドンフィとの秘話を紹介。

ソン・ウンソは「多くの俳優さんたちと同じ宿舎で生活をしながら撮影したのは初めての経験でした。おかげでより親密になれたと思いますし、自然に演技をすることができたと思います。当時は“早く韓国に帰りたい”と言っていましたが、今はあの現場が恋しくて、また行きたい気持ちもあります」と優等生的回答。だがチェ・ミンシクにすかさず「本当に?本気?」とツッコまれ、苦笑い。

フィリピンロケの一番の敵は暑さだったそうで、「暑さのせいでメイクをしてもすぐに落ちてしまうんです。そのため、俳優、女優問わず、みんな“すっぴん”なんですよ。そこまで含めてリアルです」とソン・ソック。

「予定外でしたが」と話すカン監督に、ホ・ソンテが「僕は3泊4日で5キロも減りましたよ」とかぶせると、カン監督が申し訳なさそうな表情を浮かべた。

共演者との呼吸について尋ねる質問には、チェ・ミンシクが「ソン・ソックさんとは初共演とは思えないほどしっくりくる感じがありました。キャラクターをしっかりと分析してきてくれたので、大いに助けになりました」と評価。

ソン・ソックは「ミンシク先輩と初シーンを撮った時、あまりにも演技が自然で、正直、演技をしていることに気づきませんでした。あまりにリアルで演技に見えなかったんです。それが不思議だったのと同時に、少し緊張感が走りました。先輩がこんなにリアルな演技をするのに、僕がウソの演技をして台無しにしてしまったらだめじゃないですか」とベテランならではの演技に感嘆した。

リュ・ヒョンギョンは「幼い頃から尊敬しているチェ・ミンシク先輩と自分が共演していることが信じられませんでした。どうすればかっこよく映るのか、たくさんアドバイスしてくださりました」とチェ・ミンシクに言及。

ホ・ソンテも「チェ・ミンシク先輩と監督をはじめ、同僚俳優の方々にも多くのアドバイスをいただきながら役を作りあげました」と感謝の弁を述べた。また会見の中盤には、カン・ユンソン監督から、来年シーズン2が配信されることが発表され、視聴者の期待を高めた。

■視聴者へのメッセージ

●チェ・ミンシク

どんな作品、どんな現場にも苦労はつきものです。ですが、どんな質の苦労なのかは、違います。本作は物理的な苦労だけではありませんでした。しかし、そんな悪条件の中でも、カン・ユンソン監督をはじめ、たくさんのスタッフ、俳優たちが、「いい作品を作ろう」「自分の役をうまく表現しよう」という強い思いで最後まで一丸となって作りあげました。期待していただきたいですし、いい結果が出てくれたらうれしいです。

●ソン・ソック

『カジノ』は、一言で言うならば、リアリティ溢れるドラマです。既存のドラマとは違う何かを感じられると確信しています。

●イ・ドンフィ

インタビューを受けるたびに「チェ・ミンシク先輩の復帰作です」「ソン・ソックさんの最新作です」、そして僕のことは思いつかないので「イ・ドンフィが出る作品です」と話すのですが、本作が僕の代表作になったらうれしいです。

●ホ・ソンテ

監督をはじめ、俳優やスタッフたちの情熱がたっぷりと込められている作品です。「人生の喜怒哀楽」全てが入っています。期待してください。

●キム・ジュヒョン

22年、23年に配信されるドラマの中でも最高のドラマになるのではないか、という確信があります。年末から新年にかけて『カジノ』を観ながら幸せな時間を過ごしていただけたらと思います。

●ソン・ウンソ

今日この場にたくさんの方がいらしているのを見て「私たちの作品を待っている方がたくさんいるんだ」と、心が温かくなりました。何か月もの間、多くの俳優とスタッフ、監督とともに作った作品に今やっと光が当たるという思いで、緊張しています。シーズン1,2が終わるまで、関心を寄せ続けていただきたいです。

●リュ・ヒョンギョン

このようにステキな作品に参加させていただき、光栄です。『カジノ』を応援してください。ありがとうございました。

●カン・ユンソン監督

二年前くらいに、チェ・ミンシク先輩とこの作品の話を初めてしたときのことを思い出すと感極まるものがあります。今日のこの日を迎えられたことをうれしく思います。多くの応援をよろしくお願いいたします。

■これまでの人生においての最も大きな“賭け”とは?

これまでの人生においての最も大きな賭けを尋ねられたホ・ソンテは幼い頃からの夢だった俳優という職業に挑戦したことだと話す。

「外国の方にはあまり知られていないと思いますが、僕は35歳(数え年)までサラリーマンをしていたんです。それが人生で最も大きな賭けだったと思います」と、この賭けに出て良かったというホ・ソンテ。

一つのことを始めたら、最後まで歯を食いしばってやり遂げるタイプだという彼らしい、まさに人生の賭けを明かした。

一方の、イ・ドンフィは「僕はひどい猫アレルギーがあるにもかかわらず、猫を飼うことを決めたこと。正解でした」と茶目っ気たっぷりに告白。

猫と過ごすことで愛や生き方について改めて考えるきっかけをもらったというイ・ドンフィは、「飼い主、というより、“執事”ですね。(ホ・ソンテの方を向いて)ソンテさんも“執事”ですよね?」と、同じく愛猫家であるホ・ソンテに共感を仰いだ。

「(ホ・ソンテの飼い猫の名前は)“南韓(ナマン)”と“山城(サンソン)”でしたっけ?」と、韓国に“南韓山城”というお城があることにかけてふざけるイ・ドンフィに、呆れ顔で笑いながら「南韓とナジュです」と返すホ・ソンテ。

日本のファンに向けて、それぞれの意外な一面が垣間見える、エピソードを披露してくれた。

■『カジノ』あらすじ

大田(テジョン)の駅前で新聞を売りながら貧しい幼少期を送ったチャ・ムシク。時は流れ、30代で有名な英語塾の塾長となり、平凡な日々を送っていた。

ある日、故郷の後輩が訪ねてきてカジノ・ビジネスの提案を持ちかける。そして後輩と共に釜山(プサン)のカジノバーを訪ねたムシクは、カジノ経営に可能性を見いだす。

やがてムシクは本格的に経営を始めるために、大田の古びたバーを買い取り、カジノバーに改装する。優れた商材と並はずれ度胸のおかげで、韓国のカジノ界のトップまで上り詰めるが、とある事件をきっかけにすべてを失う。

それでもあきらめずに、人生をかけて再起を企てるムシクは東南アジアに陣地を移し…。「カジノ王」になる一人の男の人生波乱万丈物語。

ホ・ソンテ「カジノ」会見より/(C)2022 Disney and its related entities