手指の一部が変形し、自身の顔よりも大きな手を持つ少年がインドにいる。幼い頃はいじめられた少年だが、現在は架空のスーパーヒーローハルク」のような手を持つ自分を受け入れて、「幸せ」と思えるようになったという。

印ジャールカンド州ボカロ・スチール・シティ近くの小さな村に住むムハンマドカリームさん(Mohammad Kaleem、16)は、指が部分的に巨大化する「巨指症」という非常に珍しい病気を患っている。

ムハンマドさんは誕生時、手指の大きさが通常の2倍はあったそうで、両親は医師に「これは生まれ持ったもので、病気ではなく治療法もない」と言われたという。そして成長とともに手指がどんどん大きくなったムハンマドさんは、「呪われた子」「悪魔の子」などと呼ばれてあからさまに避けられたり、いじめられるようになった。また服を着たり、ご飯を食べたり、風呂に入ったりといった簡単なことが自分一人ではできず、学校に行く年になると「他の子供たちが怖がるから」と通学を拒否されてしまったという。

しかしムハンマドさんの両親は貧しく、「息子に普通の生活をさせてあげたい」と願いながらも大きな病院に連れていくことはできなかった。また地元の病院では病気の診断すらつかず途方に暮れた。

そんなムハンマドさんが初めて手指の縮小手術を受けたのは2014年のことで、英ロンドンを拠点とするメディア会社「Barcroft Productions」が両親を説得、タミル・ナードゥ州の形成外科医ラジャ・サバパシー氏(Raja Sabapathy)が執刀した。

ムハンマドさんは当時、手首から一番長い指先までの長さが33センチ、両手の重さは合わせて8キロもあったそうで、11月には左手に、翌年の1月には右手にメスが入り、術後のムハンマドさんは両手の重さが約半分になった。しかしながら手の神経を残したまま骨を削り、巨大な手を小さくすることは極めて難しく、家族や本人が納得のいく結果を得ることはできなかったという。

ただこの手術をきっかけにメディアに注目されたムハンマドさんは、小学校1年生として学校に通うことが認められ、父ムハンマド・シャミンさん(Mohammad Shamim)は学校長に「くれぐれも手のことでいじめられることがないように」と念を押したそうだ。

そうして手術から約7年経った昨年、ムハンマドさんは『Truly』のインタビューを受け、片手の重さが約2.5キロであること、今後は手術を受けるつもりはないことを明かした。映像ではムハンマドさんが友人らと外で元気に遊ぶ姿も紹介しており、母ハリーマさん(Halima)は「息子は今の自分に満足しているようですよ」と語っていた。

またムハンマドさん自身も「僕の手には問題はないよ。今でも大きな手を見て怖がる子供はいるけど、誰かに手のことを質問されれば『生まれつきなんだ』と答えるし、ジロジロ見られたら無視するようにしているよ」と前向きな姿を見せていた。

そして現在のムハンマドさんはというと、2020年6月に叔父ムハマド・アシフさん(Mohhamad Asif、以下アシフさん)のサポートで始めたInstagramにはまっているそうで、現在のフォロワーは16万8千人と絶好調だ。

コメディタッチの短い動画を頻繁に更新しているInstagramについて、アシフさんは「コメントが前向きなものが多いから、私たちの自信につながっているんだ。ムハンマドの未来は明るいよ」と笑顔で語り、一方のムハンマドさんも「Instagramでは大きい手のことをよく質問される。でもそれでいいんだ。ライブ配信の時は、みんなに僕の手を見せているほどさ」と述べ、このように続けた。

「神様が今の僕を作ってくれたし、僕はなんだってできる。僕の手はみんなの手と同じように素晴らしいし、何も心配していないよ。それに僕は何事も一生懸命しているから、きっと報われるだろうね!」

画像は『Born Different 2021年9月25日付Instagram「I Have India’s Biggest Hands」』『The Mirror 2015年8月14日付「‘Boy with the World’s Biggest Hands’ measuring 33cm has surgery to reduce their size」(Image: Barcroft)』『Mohhamad Asif Razwi 2022年7月16日付Instagram「Follow me friends and support me.」、2022年11月24日付Instagram「Follow me friends and support me.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

海外セレブ・芸能のオンリーワンニュースならテックインサイト