代替テキスト

「消化吸収もコントロールしている自律神経が乱れると、十分な栄養が摂取できず、髪や肌のツヤやハリが失われます。また老廃物の排出機能も低下するので、下半身に余分な脂肪がついたり太りやすくなることも。自律神経が整っている人は、同じ年齢を重ねていても、見た目も若々しく、健康でアクティブに過ごせています」

こう話すのは、自律神経研究の第一人者である、順天堂大学医学部・小林弘幸教授。

心身の衰えを防ぐためには、自律神経を整えることが大事だが、ポイントは1日のなかでの自律神経のリズムを意識すること。

「朝から日中まではゆっくり交感神経が優位になり、午後からは副交感神経が徐々に上がり始めます。そこで、昼間は活動的に過ごし、夜は休息する、自律神経のリズムに沿った生活を意識しましょう。

交感神経が活発なときに副交感神経を高めるような行動をしたり、逆に副交感神経が高まる夕方以降に、交感神経を刺激するようなことをすることで、リズムを乱している人は多いのです」

その結果、自律神経が乱れ、睡眠の質が低下したり、代謝が落ちたりして、老化が進む。

「交感神経と副交感神経が切り替わる朝と夕方は、老化をリセットする大切な時間。何事も『ゆっくり』を心がけ、ゆとりを持って過ごしてください。ゆっくり動くことで、自然に深い呼吸ができ、血流も改善します。自律神経のリズムも崩れにくくなるのです」

そこで小林先生に「老化をリセット」するために始めたい、8つの生活習慣を挙げてもらった。

【1】30分早く起きる

1日のコンディションを左右する朝のギアチェンジは、ゆとりをもってスムーズに行うのがベスト。時間がないからとつい焦ってバタバタ起き出すと、たちまち自律神経が乱れる。30分早く目覚めることでゆとりが生まれ、好調な1日をスタートできる。

【2】朝、目覚めたら、1日の流れをイメージする

交感神経の働きが過剰に跳ね上がる想定外のできごとを減らすため、目が覚めたときに1日の予定を確認しながら、1分間だけ当日の流れを軽くイメージしよう。静かに車のアクセルを踏むように交感神経がゆっくり高まっていくことで、忘れ物などのミスも防げる。

【3】忙しい朝でも、せめて歯磨きゆっくり

自律神経にとって朝はゆっくり過ごすのが基本でも、どうしても慌ただしくなるもの。朝食、家事、身支度などがバタバタするのは仕方ないとしても、せめて歯磨きだけはゆっくりと。ふだんの6割程度のスピードで磨けば、ざわざわした心を落ち着かせる効果が。

【4】出かける前に鏡を見てニッコリ

笑顔は、たちまちのうちに自律神経のバランスが整い、心身の健康につながるアクション。つくり笑いでさえ、口角を上げることで筋肉の緊張がほぐれ、血流がよくなり、頭がスッキリする。天気が悪いとき、調子が優れないときは、とくに鏡の前で笑顔をつくってみよう。

【5】エスカレーターではなく階段を使う

階段の上り下りは、血流改善に効果的なだけでなく、自律神経の“大好物”であるテンポある運動ができる絶好のチャンス。平地よりも3倍の負荷がかけられる階段は無料のトレーニングジムだと思い、エスカレーターやエレベーターを使わない習慣を心がけたい。

【6】帰宅後はすぐソファに座らず、小さな片づけを

出先から戻って「疲れた~」とソファに直行すると、一瞬でリラックスモードに切り替わり、再び動き出すのに一苦労する。自律神経のリズムを守るためには、どこか1カ所を片付けて、気持ちをスッキリさせてから、リラックスモードに入る習慣を心がけよう。

【7】浴室の電気を消して、ぬるめのお湯に入る

脳内にたまった不安や悩みを排出して、気持ちをリセットするのには入浴が最適。副交感神経の働きを高めるには、就寝の3時間前に38~40度のお湯に15分つかるのが理想。ときには浴室の電気を消してプチ瞑想を。深い呼吸を意識することでスムーズに眠りに入れる

【8】発酵食品と野菜350gを毎日!

自律神経を強力にサポートするのが腸内環境を整える発酵食品ヨーグルトやチーズ、納豆など)と腸内細菌のえさとなる食物繊維が豊富な野菜。食物繊維は1日20gを目標に取ろう。野菜(きのこや海藻も含めて)ならば1食分で120g(=生なら両手で1杯分、ゆでたものなら片手で1杯分)をとれば1日350gになり、食物繊維の摂取量もクリアできる。ゆでたりすりおろしたり、みそ汁スープに加えたり調理を工夫して摂取しよう!