代替テキスト
(写真提供:テレビ朝日

「(長嶋)一茂さんと(石原)良純さんが、『徹子の部屋』(’18年)に出演したとき、『漫才みたい』と大絶賛されて、異例の2日連続放送になったことがありました。そこでもう1人、“言いたいことを言って嫌みにならない女性”がいたらと思い、高嶋ちさ子さんに白羽の矢を立てたんです」

“ザワつく!トリオ”結成秘話をそう語るのは、『ザワつく!金曜日』(テレビ朝日系)の植田弘樹プロデューサー兼演出。同番組は、長嶋一茂(56)&石原良純(60)&高嶋ちさ子(54)の3人が、好き勝手に喋りまくる姿が人気となり、今や、テレビ朝日の看板番組だ。 ’21年大晦日特番は、ゴールデンプライムタイムで、テレビ朝日史上初の民放1位(第1部、12.1%。第2部、9.3%)の視聴率を記録(ビデオリサーチ調べ・関東地区)。’22年の大晦日にも、4年連続で特番5時間SPを放送することが決定している。

同番組の新田良太プロデューサーは言う。

「バラエティを10年やっていますが、出演者さんから企画に対して意見をハッキリ言われるのは初めての経験で(苦笑)。でも話し合いは前向きにできていますし、3人の芯の強さはすごいなと尊敬できます」

今回、2人のプロデューサーが、番組の歴史&舞台裏を明かした。

’18年に番組がスタートするとき、僕は3人について『混ぜるな危険』と思ったんです(笑)。ちさ子さんと良純さんは、この番組が初顔合わせだったと記憶していますが、一茂さんとちさ子さんは、以前同じマンションの同じフロアの向かいに住んでいて、お子さんも同じ学校と親交がありました」(植田さん)

番組は、3人の台本なしの言いたい放題のトークがメイン。収録中も、どう転ぶか予測不能だそう。

「思っていることを言えない時代に、本音でハッキリ言いたいことを言える爽快感が、視聴者の共感を呼んでいるのでしょう。毒舌発言をされたときは、放送したらどうなるかとヒヤヒヤしながらも、積極的に使っています。ちさ子さんが、収録中に『おなかすいたすき焼き食べたい!』と、急に言いだしたこともあって(笑)。スタッフにすぐ買い出しに行ってもらいました」(植田さん)

■3人の注文に対応できる“走れるスタッフ”を準備

「何を言われても対応できるよう、実は収録中は“走れるスタッフ”を準備しています。見栄えのいいケーキなどが出てくると本番中でも『写真撮りたい』と言われるので、僕もスマホをすぐ手渡せるように、ちさ子さんのマネージャーの居場所は必ずチェックしています(笑)」(新田さん)

高嶋は以前から、俳優の竹内涼真を「カッコいい。番組に呼びたい!」とラブコール。念願かない8月にゲストで登場したときは、「イケメンすぎてVTRに集中できない!」と、乙女心をのぞかせた。

「ご一緒に記念写真を撮っていました」(新田さん)

’22年にデビュー25周年を迎え、「ザワつく!音楽会」も開催された。

「4年たっても、正直で言いたいことを言う女性で、毒舌も嫌みにならない唯一無二の存在。僕らスタッフ皆大好きです」(植田さん)

いっぽうの長嶋はコロナ禍で年間100日過ごしてきたハワイに行けなくなり、元気をなくしていたという。番組ではハワイの映像とスタジオを合成する企画もあった。

「ずっと『ハワイに行きたい』と呟いていました。外務省の渡航情報に『もうすぐ行けるかも』『まだダメだ……』と一喜一憂して寂しそうで、ようやく今年ハワイで気分転換できたようです」(新田さん)

11月の放送ではハワイで、元祖韓流スターのペ・ヨンジュンに「4回も会った」と、ドヤ顔で告白。すっかり元気を取り戻したようだ。昨年は番組内で銀座のクラブの若い女性から家賃の支払いを懇願されていると暴露される場面も。

「そのことも否定しないで『いいよ、いいよ。払ってあげても』と言う一茂さんにちさ子さんが仰天。3人からは突発的な話が飛び出すことも多く、それが番組の魅力になっています」(植田さん)

石原も’21年、突如、ミニロトで1千万円当せんしていたと初告白。

「ゲストの有田哲平さんがゴルフでホールインワンを決めた話をされた際、『俺、宝くじに2回あたってるのよ』と良純さんが突然、対抗して話し始められて皆びっくり。真偽確認のため、すぐ事務所に連絡して、放送していいかどうか確認を取りました」(新田さん)

■一触即発のような雰囲気になることも

’22年2月、89歳で死去した父・石原慎太郎さんの思い出を語り、番組内で追悼したことも。

「良純さんは『しめっぽくじゃない。思い出を話すだけでいいよね』と。かつて長嶋茂雄さんの人気ぶりに嫉妬していたなど『大人じゃないんだよね。面白い人ではあったよ』と笑い飛ばすように、話してくださったんです」

視聴者は感動しても収録中に3人が泣いたことは一度もないのが“ザワつく!トリオ”ならでは。

「一触即発のような雰囲気になることはあります。一茂さんと良純さんは、すぐに口ゲンカをはじめますが、それが2人の“じゃれ合い”だと気づくまでに時間がかかりました(苦笑)」(新田さん)

“ザワつく!トリオ”は、物欲や勝負欲も強く、競い合いやお買い物も大好きだ。

「昨夏、最新家電のサーキュレーター扇風機が紹介されると、『これいいね』と3人とも、数個ずつ爆買いしていました」(新田さん)

この3人をまとめているのがサバンナ・高橋茂雄(46)だ。

「毎回、3人に突っ込まれハンカチ片手に大汗かきながら一生懸命やってくれます。ナイスフォローはもちろん、ちゃんと言うことは言う出し引きが絶妙」(植田さん)

「高橋さんは、サッカーでいうと名ボランチ。3人じゃ成り立たない」と新田さんも信頼を寄せる。

「最初のころ、『高橋さんが3人に追いつめられている困った顔を撮りたい』とお願いしました。1年後、一緒に飲みに行った際、酔った高橋さんから『あの言葉が印象的で、常に心がけている』と、教えてもらいました。今では4きょうだいのようです」(植田さん)

だが3人の「“混ぜるな危険”は変わっていません」と植田さん。

「危険な3人を混ぜているので、実は毒だらけ。つくる側も見ている側も、毒は強いのに、やめられないんです(笑)」(新田さん)

大晦日、“ザワつく!トリオ”の毒が、一年たまった“ザワつく”気持ちを吹き飛ばしてくれそうだ。