世界の宇宙市場は年々拡大しており、2040年には今の3倍近くとなる110兆円の巨大市場に成長すると予測されています(*1)。特に小型サイズの人工衛星の需要が大きく伸びており、衛星を使ったインターネット通信の普及、衛星データを活用した「超スマート社会」の実現など、幅広い分野への波及効果が期待されています。一方、急拡大するニーズに対し、衛星を運ぶための唯一の手段となるロケットは、国内の打上げ回数が年数回と世界シェアの約2%(*2)にとどまっており、国内の衛星打上げ需要は海外に流出しているのが現状です。さらに、ウクライナ戦争の影響で世界の宇宙輸送の約2割を占めていたロシアのロケットを日本や欧米諸国は使えなくなるなど、宇宙輸送能力不足が宇宙利用拡大の世界的なボトルネックとなっています。経済安全保障の観点からも各国とも宇宙輸送の強化が急務となっており、日本では2022年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」でロケット打上げ能力を強化する方針が示されました。また、2022年12月23日の宇宙開発戦略本部「宇宙基本計画工程表改定」では、スタートアップによる研究開発を促すSBIR(Small Business Innovation Research)制度の活用や政府によるサービス調達等によりベンチャー企業の取り組みを促進することで、宇宙を推進力とする経済成長とイノベーションを実現することも明記されました。
*1 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 *2 Space Launch Reportより試算
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