北朝鮮国営の朝鮮中央通信は11日、同国人権協会が人権白書を発表すると伝えた。同白書は「人民大衆中心のわが社会主義制度の下で自由で幸福な生活を思う存分享受しながら、より明るくて輝かしい未来に向かって力強く前進しているわが人民の真の姿」を示すことになるという。

 同記事によると、朝鮮人権研究協会は1992年8月27日に、人権の研究を進め、各部門の人権専門家の活動を統一的に調整する目的から創立された。

 同協会は発足後、「人民大衆の自主的権利と要求を最上の境地で実現する」という朝鮮労働党と共和国政府の路線と政策に従って政治、経済、文化をはじめ社会生活の各分野において人権をより徹底的に保障するための研究を行ってきたという。

 記事は、協会が「人権に関する国際的な動きを了解、研究し、人権蹂躙(じゅうりん)に反対し、人権を保護、増進するための国際的協力を図るために努めてきた」と主張。

 北朝鮮の人権については「敵対勢力がわが共和国をそしり、謀略にかけて害するために虚偽と捏造(ねつぞう)で一貫した反共和国『人権騒動』に熱を上げ、世論をまどわそうと悪らつに策動している」ことが問題であり、同国は「共和国の人権実態を正確に知らせ、誤った偏見と誤解を正すのはきわめて重要な問題」と認識していると主張。

 同人権研究協会は、同国の「生存権と発展権をはじめわが人民の人権を深刻に侵害している米国などの敵対勢力の策動について包括的に研究」しており、その結果も報告書に盛り込まれる。

 朝鮮中央通信は「朝鮮人権研究協会の包括的で総合的な人権報告書が発表されれば、人民大衆中心のわが社会主義制度の下で自由で幸福な生活を思う存分享受しながら、より明るくて輝かしい未来に向かって力強く前進しているわが人民の真の姿を見せ、人権擁護の看板の下でわれわれの思想と制度を崩してみようと血眼になって狂奔している米国をはじめ敵対勢力の卑劣な策動を暴露、糾弾することに寄与するであろう」と主張した。

**********

◆解説◆
 朝鮮民主主義人民共和国には、「公民は、言論、出版、集会、示威と結社の自由を有する」(第67条)、17歳以上のすべての公民は性別、民族、職業、居住期間、財産と知識水準、政党、政見、信教にかかわりなく、選挙権と被選挙権を有する」(第66条)、「公民は、言論、出版、集会、示威と結社の自由を有する」、「公民は、居住、旅行の自由を有する」(第75条)など、人権を保障している部分がある。

 しかし、その前提として、「公民の権利と義務は、『1人はみんなのために、みんなは1人のために』という集団主義の原則にもとづく」、「公民は、人民の政治的・思想的統一と団結を断固として守らなければならない」と、集団主義を強調する部分がある。実際には、北朝鮮における人権の尊重は世界でも最も低い等級であり、憲法の「権利条項」は“無力化”されているというのが、普通の見方だ。

 人権問題については、批判されることの多い中国も、1998年以降、毎年、人権白書を発表している。8月に発表された2014年版の同白書は前年の2013年の状況を扱い、腐敗取締り、社会主義における民主の構築、労働教養制度の改革、コミュニティ内の矯正、公益事業のクレーム、農村部の留守児童、生態環境の向上などの分野における人権保障の進展などを紹介。国民が有する人権が憲法に盛り込まれた2003年からの13年までの10年間に中国国内で出版された人権に関する著書をリストにした。

 中国も憲法で、「中華人民共和国公民は言論、出版、集会、結社、行進および示威の自由を有する」(第35条)、「中華人民共和国公民は、宗教信仰の自由を有する。」(第36条)「中華人民共和国公民の通信の自由および通信の秘密は、法律の保護を受ける」(第40条)など、“西側諸国なみ”の人権保護の内容を盛り込んでいる。

 中国は外の世界との人や情報の行き来が進んできたため、北朝鮮と比べればまだしも、一般人の間での人権感覚は深まってきたと言える。時おり、現状が憲法の権利部分の定めに合致しないとの批判が発生し、当局は同批判を神経質に押さえ込もうとする。北朝鮮では同様の批判の存在が明らかにされたことがない。(編集担当:如月隼人)