今年の流行語大賞は「村神様」に決定。

やく 野球好きの私は当然のこと、野球に興味のない方も選考委員にいますけど、その方でも社会現象として評価してましたから、まったく異論はなかったですね。

 これを発表したのがワールドカップの最中で、なんと間が悪いなと思って。

やく 発表がクロアチア戦の当日。これは流行語大賞の冒頭の各選考委員のコメントで実情を話しましたけどね。昨日一昨日に決まったわけじゃないわけですから。

 豪ちゃん、どうですか「村神様」は?

 野球の知識ゼロなんで、正直言って誰の話をしているのかすらわからない(笑)。

やく 断トツでしたけどね。

 「そんなの使われてたっけ? 初耳だけど」ぐらいの感覚なんですよ。

 このギャップ!「国内野球」について、なかなか興味のある若い奴は少ないんじゃないかという。

 野球の情報は村田兆治が空港で暴れて逮捕とか、スキャンダルぐらいしか流れてこないんで。

 そう、愛甲猛ぐらいしか入ってこない。選定基準として、式場に来てくれる人から逆算しているんじゃないか、という批判もありますけど。

やく それはないですね。去年も大谷でしたしね。来てくれたらうれしいなというのは、当然ありますけども。それは必要条件ではないです。

 候補が2つあって、その場合、来てくれそうな人のほうを選ぶということもないの?

やく 2つあったら2ついきますね。実は今年は、「知らんけど」はダブル大賞に肉薄したんですけど、そこまでいかなかったですね。

 あと、ゲスな言葉は入らないんですか? 例えば「けつあな確定」とか。

やく それはアサ芸に任せとけばいいと思いましたね。

 下品なやつはこっち(笑)。

やく なんせ通信教育の会社が勧進元ですから。

 ネガティブだったり、コンプライアンスに抵触するような言葉はダメなんですか?

やく ネガティブでもありですよ。例えば政治的なところで出たネガティブな言葉とか。そんなのはいくらでも入りますけども、やはり「けつあな確定」は、NHKの7時のニュースでも報道するような国民的な行事ですから。

 確かになあ。

 女子アナが読めないような言葉は入らないっていうことですね。

 一生、俺はそこには入らないということだな(笑)。

やく 「#ちむどんどん反省会」は、自分は流行語大賞のトップ10に入るだろうと、見ている時に思ってたんですよね。実際、選考会でもかなり主張したんですけど、入りませんでした。

 不評でしたね、あのドラマ自体。

やく ドラマから何かセリフが流行するんじゃなくて、あまりの不出来で、その炎上がむしろ社会現象になるというのは今日的だなあと思いました。私はそんなに見てるわけじゃなくて、時々かみさんがつけてるのを見てたら、時代考証が甘い。昭和50年代の杉並で赤い丸いポストがあって、路地は未舗装、生け垣の家があって、アルミサッシもなくて木の戸。ドラマの作り手が、50年代と30年代の区別がついてないんですよ。50年代って、ITの関連グッズがないだけで、家並みは変わらないですよね、今と。

 それは、たぶんボクが映画「東京タワー」で感じたのと同じやつですよ。頼まれてエキストラで出演したんですけど、リリーさんが大学時代の話だから80年代半ばの話なのに、衣装とかが全部昭和初期。バカボンパパみたいな格好させられて、美大の仲間がこんな格好で麻雀やるわけない。「ノスタルジー=戦後間もない」ぐらいのイメージなんですよ。

 坂本勇人の「けつあな」スキャンダルが、全スポーツ新聞にスルーされたのは?

やく これは私も忖度している側で、坂本のネタを週刊ベースボールには書きませんでした。ポストにはちゃんと書きましたけど。コロナ禍もあるし、とうの昔に「野次る文化」というのがなくなってますよ。最新のコンドームの厚みは0.01ミリですが、それで「三笘の1ミリ」じゃなくて「坂本の0.01ミリ」みたいなネタも考えてはあるんですけども、これはまだ。

 生でヤってたんですよね。

やく 「0.01ミリを怠ったがゆえにアウト」みたいな。こうなってくるとポストにも書けない。

<選考メンバー>

やくみつる1959年3月12日生まれ

吉田豪1970年9月3日生まれ

玉袋筋太郎1967年6月22日生まれ

アサ芸プラス