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アウディ内燃車も、あと10年

電気自動車(BEV)のボリュームゾーンと言える、CセグメントのSUV。日本でもすでに日産アリア、トヨタbZ4X/スバル・ソルテラ、テスラ・モデルY、フォルクスワーゲン(VW)ID.4などが販売されているカテゴリーに、アウディもQ4 e-tronで参入した。

【画像】「Q4 eトロン/スポーツバック」「ID.4」 VWグループの中核EV【デザイン/内装を見る】 全107枚

アウディ2050年までに、生産から廃棄に至るまでのライフスタイル・アセスメントでのカーボンニュートラルを目指しており、2026年以降の新型車はすべて電気自動車とし、2033年には中国以外で内燃機関を生産停止すると発表している。

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アウディQ4 スポーツバック40 eトロンアドバンスト(グレイシアホワイトM)    アウディジャパン

もっとも安いモデルでさえ日本では1000万円以上という従来のBEVラインナップでは、目標達成は困難だろう。

エンジン車のA3やA4から乗り換えできる車種がないのだから。Q4 e-tronの投入は、彼らのカーボンニュートラル戦略のうえでは必然と言える。

とはいえQ4 e-tron、100%アウディの独自開発ではない。

フラッグシップのe-tron GTが、同じVWグループ内のポルシェ・タイカンと基本設計を共有した手法を、今度はID.3/ID.4とのペアで実現した。

フロアに薄くバッテリーを敷き詰め、リアにモーターを置くというテスラ式プラットフォームは共通で、2765mmのホイールベースは5mm短いだけ。

4590×1865×1630mmというスリーサイズは、ID.4比で5mm長く、15mm幅広く、10mm低い。

スペック/デザインについて

モーターの最高出力は、ID.4では2種類あるが、Q4 e-tronは高出力の150kW版のみとなる。最大トルク310Nm(31.6kg-m)だ。

満充電での後続距離は594kmとなっている。このあたりの数字はアリアB6と同等だ。

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アウディQ4 スポーツバック40 eトロンアドバンスト(グレイシアホワイトM)    アウディジャパン

特筆すべきはこのモーターがリアのみに置かれること。

VWはビートルなどがリアエンジンだったので先祖返りと言えるが、アウディは他のBEVはすべて4WDクワトロであり、ミドシップスポーツR8のRWDモデル(日本未導入)を除けば、このブランドではアウトウニオンPヴァーゲン以来の後輪駆動ではないかと思われる。

ボディはハッチバックと写真のスポーツバックの2タイプで、後者は外寸では全高が15mm低くなるだけ。デザインもグラスエリアから下は共通だ。

パッと見て多くの人がアウディだとわかる姿であるが、プロポーションはノーズが短くキャビンが長いBEVルックになっている。

近年のアウディは、かつて和田智さんが在籍していた頃に比べると、デザインはやや煩雑に感じる。Q4 e-tronも例外ではなく、VWとの差別化を図るためかもしれないが、もう少しすっきりしてほしいと感じた。

車内は? 気に入ったところ

運転席に乗り込んでまず感じたのは、フロアが高くないこと。

日本仕様の最低地上高の数字は未発表なので、欧州仕様を参考にすると180mmとなっており、アリアやbZ4Xと同等だが、体感的には明らかに高めのbZ4Xだけでなく、アリアより低く思えた。

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アウディQ4 スポーツバック40 eトロンアドバンストの前席(内装色:ブラック/ローズグレーステッチ)    アウディジャパン

インパネは操作系をVWほどタッチ化してないのはいい。

レバーを前後にスライドさせるドライブセレクターはシトロエンに似ており、使いやすかった。

メーターは最近のVWアウディに共通する仕立てで、外観同様BEVとしての新鮮さよりも、ブランドとしての統一感を重視しているようだ。

リアシートの座り心地は?

後席も床は低めで、しかもフラット。身長170cmの僕なら足は楽に組めるし、ルーフがスロープしたスポーツバックながら頭上も余裕がある。

535Lの容量を持つラゲッジスペースを含めて、パッケージ効率の高さを教えられた。ただし座面は傾斜があまりなく、背もたれは張りが不足していて、長時間ドライブは控えたいと思った。

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アウディQ4 スポーツバック40 eトロンアドバンストの後席(内装色:ブラック/ローズグレーステッチ)    アウディジャパン

走りはじめてエアコンがオンになっていないことに気づいてスイッチを入れたら、メーター内の航続可能距離の数字がガクッと下がった。他のBEVと同じ現象だが、それでも500km近い数字なのは心強い。

加減速に唐突感はなく、テスラのように“BEVらしさ”を前面に押し出したタイプではない。

力はエコモードでも問題なく、ダイナミックではその名のとおり俊敏なダッシュが得られる。回生ブレーキの程度はBレンジのほかパドルでも調節できて便利だ。

後輪駆動の走り どんな感じ?

低速ではウォーンという電動車独特の警告音がキャビンに届くのが気になるものの、スピードを出してそれが消えれば、ロードノイズの遮断も秀でていて、静かなクルージングが堪能できた。

乗り心地はややゴツゴツする。リアはシートがいまいちということもあり、特に感じる。

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アウディQ4 スポーツバック40 eトロンアドバンスト(グレイシアホワイトM)    アウディジャパン

不快になるほどではないが、最近のアウディはまろやかな方向にシフトしつつあったので気になった。とはいえもうひとつのグレードであるSラインよりは快適だろう。

ハンドリングは、低速ではリア駆動ならではの旋回感が印象的。これまでのアウディではなかったフィーリングで、同様のドライブトレインを持つホンダeを思わせる。

戦略価格 アウディEVの強みに

速度を上げるとその感触は控えめになり、代わりに低重心で前後の重量バランスに優れるという、多くのBEVに共通する利点が味わえる。

狭い道では1850mmを超える幅が気になるし、リアドライブでありながら小回りが効くわけではないものの、同等のボディサイズのエンジン車と比べると、はるかに素直な身のこなしだ。

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アウディQ4 eトロンの2022年導入時の価格は599万円~。12月より620万円となったが、そのタイミングで航続可能距離も18kmプラスの594kmとされた。写真はQ4 スポーツバック40 eトロンアドバンスト(709万円)だ。    アウディジャパン

同クラスの日本勢に匹敵する620万円からという価格は、クルマの出来を考えれば魅力的だ。テスラのような新鮮さは薄いけれど、ジャーマンプレミアムブランドであることを重視すればお買い得と言える。

アウディメルセデス・ベンツBMWの対抗として、クワトロによる安定性をアピールしてきた。

逆にエンジンへの依存度は低かった。なので電動化はアウディに合っていると感じた。

VWグループのスケールメリットを活かした価格は、その魅力を多くの人に伝えるきっかけになるかもしれない。

Q4 スポーツバック40 eトロン・アドバンスト スペック

価格:709万円(標準ボディは620万円~)
全長:4590mm
全幅:1865mm
全高:1615mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
航続可能距離:594km
CO2排出量:0g/km
車両重量:2100kg
パワートレイン:モーター
最高出力:150kW(204ps)
最大トルク310Nm(31.6kg-m)
ギアボックス:1速固定式
乗車定員:5名

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アウディQ4 スポーツバック40 eトロンアドバンストの荷室    アウディジャパン

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