オリジナルアニメREVENGER』(リベンジャー)が、1月5日よりTOKYO MXほかにて放送スタート。本作でストーリー原案・シリーズ構成を担当するのは、『魔法少女まどか☆マギカ』や『PSYCHO‐PASS サイコパス』などで心揺さぶる人間ドラマを生み出してきた虚淵玄ニトロプラス)。信じていたものに裏切られ、帰る場所をなくした繰馬雷蔵が、力なき人たちの復讐を代行する殺し屋「利便事屋(りべんじや)」に拾われて活動していくダークヒーローアクションが展開される。アニメの放送スタートを控えたいま、主人公・雷蔵役の笠間淳と、「利便事屋」の一員である惣二役の葉山翔太に本作の魅力について語ってもらった。

【写真】『REVENGER』の見どころを語る笠間淳&葉山翔太 撮り下ろしショット

■生き方を突き詰めていくと「透明」になっていく

――虚淵氏がストーリー原案・シリーズ構成を担当する本作。初めて台本を読んだときの印象を教えてください。

笠間:最初は「利便事屋」の面々が依頼を受けて使命を果たしていく、ヒーロー活劇ものという印象が強かったんです。ですが、収録を重ねるごとに決して予定調和ではない、運命に翻弄されて苦しみながら進んでいく登場人物たちの姿を見られるようになってきて。今では、人の生きざまや心の動きがすごく緻密に描かれている作品だと感じています。

葉山:僕も最初はアクションシーンがすごく魅力的な活劇ものという印象が強かったですね。また、登場するキャラクターがすごく面白くって。少ししか喋らないモブのキャラクターたちも鮮やかな色を放つんです。メインキャラクターたち以外の人間性にも注目して欲しい作品ですね。

――おふたりが演じるキャラクターの紹介をお願いします。


笠間:雷蔵は侍としての生きざまを突き詰めている若者です。外見は立派な大人ですし、あの世界では侍の社会的地位も高いのですが、侍としての生き方しか知らないがゆえに精神的には幼く純粋という印象を受けました。彼を演じていて思ったのは、生き方を突き詰めていくと「透明」になっていくということでした。「純粋」と聞くと白を思い浮かべますが、白って何かの色と混ざって違う色になるじゃないですか。でも透明って、他の色には染まり切らないんですよね。だからこそ、何者も受け入れることができるけれども、周りに染まることはできない。彼のパーソナリティはとても透明に近いと感じています。見る人によっては「もっとこうすればいいのに」「こう生きればいいのに」と思ってしまうかもしれません。


葉山:惣二はぶっきらぼうで粗雑な物言いをする人間です。金と酒に目がない博打打ちで、勝っても負けても酒を飲むという自堕落な生活をしています(笑)。「利便事屋」の面々のなかでは少し知能指数が低めだと思いますが、勘が働くタイプで、決して単純バカという感じではないんですよ。情にもろいところもあって、雷蔵の兄貴分みたいな立ち位置ですね。さっき笠間さんのお話を聞いていて考えていたのですが、惣二は何色なんだろう? 生き方としてはグレーな気もします。

笠間:俺のイメージだと赤かな。情熱的で、人の心に影響するし、されることもある。ただ、金に目がないから金色な気もする(笑)。

葉山:確かに(笑)。さまざまな色を持ち合わせているのかもしれません。

■感情や内面にまでこだわられた演技

――お互いが演じられているキャラクターへの印象も教えてください。


笠間:惣二ってバカと表現されることが多いキャラクターですが、僕はかなり高いインテリジェンスを彼に感じているんです。それは人の心を読み合う博打の世界で生きていることが関係している気がしています。実は簡単に物事をとらえてはいないんですよね。葉山くんが言っていたように、決して単純ではないというか。一方で、悩みを抱えていてもシンプルに処理できる軽快さも持っていて、兄貴肌として頼りがいのある一面もある。とあるシーンで雷蔵は惣二に「そなたの方がよっぽど武士らしい」って言うときがあるんですが、それくらい彼の迷いのなさに憧れているんだと思います。

葉山:何を言ってもなびかないし、返ってくる言葉も予期せぬもののことが多い。惣二にとって、雷蔵はそういう存在なんですよね。演じている側からすると、そのちぐはぐな会話がすごく面白かったです。なかなか周りに染まらない雷蔵ですが、物語が進むにつれて惣二との距離は縮まっていきます。徐々に最初の頃は見せなかった表情を惣二もするようになるんですよね。ふたりの距離感に注目しながら作品を見ると、また違った面白さを感じてもらえるんじゃないかなと思います。

――アフレコではどのようなディレクションがありましたか?


笠間:今になって思うと、雷蔵を演じる際は「透明」さを最初から求められていた気がします。死と隣り合わせの時代で生きている侍だからこそ出てくる言葉や感情についてのディレクションが多かった気がしますね。だからこそ、俺もそうですし、恐らく葉山くんもそうだったと思いますが、演じるうえでの感情表現が一筋縄ではいかなくて。息ひとつにもこだわって収録しました。

葉山:笠間さんがおっしゃっていた惣二の「インテリジェンス」という面は、最後まで演じ方に悩み、スタッフさんと相談しながら作っていきました。序盤では今の状況を整理するようなモノローグが入ることがあるのですが、それは惣二が自分で言葉を発することで、状況を理解できるように喋っているんだよと教えてもらったんです。一方で物語が進んでいくと、今度は「今の惣二はそこまで馬鹿じゃない」というディレクションがあって。「インテリジェンス」のさじ加減が難しかったですね。最初はムードメーカーという側面が強い彼ですが、物語が進むにつれてちょっとずつ見え方が変わると思います。

■1話あたりのボリュームがすごい! 「見た後はたぶん疲れます(笑)」「じっくり堪能して」

――アフレコ現場はどんな雰囲気でしたか。

笠間:みなさんプロとして素晴らしいお仕事をされているなという印象は残っていますが、この芝居がよかった!というのがパッと思い浮かばないんですよね。それはなぜかというと、各々がこの個性的な『REVENGER』のキャラクターを全うしていたからこその現象だと俺は思っていて。

葉山:確かに、そうだったかも。僕はブースの外でみなさんのお芝居を聞いているときに「すごいな…!」と思うことがありました。

笠間:そうだよね。ブースの中で演じているときは全員が作品の世界に入り込んでいたんだと思います。当たり前のように惣二が惣二で喋っている、という感覚でした。

――最後に第1話の見どころをお願いします。


笠間:振り返ってみると、あれが1話分だったのかと思うくらい、情報量と人の心の機微がたくさん詰め込まれています。こうやって取材を受けていても葉山くんと「あれは、第1話だったか、いや第2話だったか…」とあやふやになっちゃうことがあって。それくらい1話あたりのボリュームがすごいんです。目まぐるしく変わるストーリー展開だけれども、没入できるゆえに見た後はたぶん疲れます(笑)。楽しみにしていてください。

葉山:笠間さんがおっしゃっていた通り、本当にボリューム感がすごくて。「あれ、1話で雷蔵と惣二って出会っていたっけ?」と分からなくなったくらい色々な出来事が起きます。出会うかどうかは、ぜひみなさんの目で確かめてみてください(笑)。カッコよくて、時に面白さも混じったアクションシーンも魅力で、気軽に見られる作品です。一方で、この作品は頭から終わりまでこだわり抜いた演出が詰まっているので、細部までチェックしながら見るのも楽しいと思います。セリフや、主題歌の歌詞ひとつひとつに注目しながら、じっくり作品を堪能してみてださい。

(取材・文:M.TOKU 写真:高野広美)

(左から)葉山翔太、笠間淳  クランクイン!