各報道機関の調査で支持率30%前後の低空飛行を続けている岸田文雄政権。今年は挽回できるのか
各報道機関の調査で支持率30%前後の低空飛行を続けている岸田文雄政権。今年は挽回できるのか

2025年まで国政選挙がなく、2024年秋の自民党総裁選まで政権の座は安泰、と余裕ぶっこいてはいられない。防衛費増額のための増税案などで内閣支持率が危険水域まで低下する中、4月の統一地方選で自民党が大敗する観測も出てきている。今年は岸田首相にとって試練の年になるのか? 現場を取材した。

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■逆効果になった「自民推薦」の文字

いずれの候補も有効投票数の4分の1に届かず、全国で7例目の再選挙となった昨年12月4日の東京・品川区長選。

結果は前都議で無所属の森澤恭子候補(4万695票)が2位の自民系候補・石田秀男候補(2万3208票)に大差をつけて当選した。

10月に行なわれた1度目の選挙結果が大接戦(森澤2万7759票、石田2万6308票)だったことを考えると、森澤陣営の圧勝だったといってもいい。この結果に、都議会の自民関係者は危機感をあらわにする。

「春の統一地方選が心配です。へたをすると、歴史的大敗を食らうこともありえます」

この関係者が憂えるのは石田陣営の〝負け方〟の悪さだ。

「旧統一教会問題で自民に逆風が吹いていたので、10月の区長選では石田陣営は無所属をアピールし、候補者のタスキに『自民推薦』の文字は入れませんでした。ただ、今回は統一教会を巡る被害者救済法案が成立確実だったということもあり、票の掘り起こしを狙って『自民推薦』の文字を入れて再選挙に臨んだのです。

なのに、当選するどころか、逆に1回目より3000票以上も減らしてほぼダブルスコアの大敗。『自民推薦』の文字が悪材料になったとしか思えません。有権者の岸田自民への批判は想像以上で、このままでは来春の統一地方選が思いやられます」

異変は統一地方選の前哨戦と目されていた茨城県議選(12月11日投開票)でも起きていた。「保守王国」と呼ばれるほど自民が強い土地柄にもかかわらず、出馬した45人の自民党公認候補のうち、県連幹事長をはじめとする現職10人が次々と落選したのだ。全国紙政治部デスクが言う。

「代わりに当選したのが保守系無所属候補たちです。牛久市選挙区では、野党で初となる維新候補の当選を決めています。

牛久市は先日更迭された葉梨康弘前法相の地元でもある。有権者が旧統一教会問題との不適切な関係や、このところの防衛増税の動きに不満を抱き、自民候補の代わりに保守色の強い維新候補に票を投じたと分析しています」

ジャーナリストの川村晃司氏が続ける。

「直近の世論調査でも岸田内閣の支持率はさらに下降気味で、自民への逆風は明らかです。防衛費財源のための年1兆円の増税は実施時期などの詳細決定を先送りしただけで、増税そのものは回避されたわけではない。

統一教会と接点のある都道府県334人のうち、自民議員が8割超を占めるなどの報道もある。年が明けても岸田自民の支持率が上向く材料は見当たらないのが現状です。

このままだと、春の統一地方選では自民の公認や推薦を欲しがらず、無所属で出馬する候補が増え、自民の当選者数は減ると予測しています。こうした統一地方選での体たらくを『大敗』と見なす声が高まれば、『岸田首相ではダメだ』と自民党内で岸田降ろしの動きが公然と起きてもおかしくありません」

■〝広島サミット後〟に注目すべし

とはいえ、岸田首相も手をこまねいているわけがない。政権延命に向けてあらゆる手を打ってくるはずだ。

「そのひとつが統一地方選後に予定されているG7広島サミットです。ここで高得点を取れるか。例えば、核禁止条約への日本のオブザーバー参加をG7の首脳の前で表明するなどの外交パフォーマンスを披露することができれば、被爆地・広島選出の首相ならではの決断として国民に共感されるはずです」(前出・川村氏)

今後5年間で増額される防衛費43兆円の大部分は、アメリカから安倍元首相が爆買いした兵器ローンの支払いに回る。

「アメリカからすれば、巨額の兵器代金が転がり込むわけで、そのことにバイデン大統領は満足している。G7ではすでにドイツ核禁止条約へのオブザーバー参加を決めていることもあって、バイデン大統領岸田首相の表明を認める可能性は高いはず。

それで政権支持率が上向けば、間を置かずに内閣改造などを断行してさらに支持率をアップさせて政権を維持し、翌2024年秋の自民総裁選で再選=長期政権を目指すというシナリオです」(川村氏)

ジャーナリストの鈴木哲夫氏もこううなずく。

「サミットの大舞台で外交ポイントを稼いでも支持率が上がらなければ、『岸田首相ではダメなので、サミットを花道に退陣してもらおう』という動きが表面化するはず。

また、計算どおりに支持率が上昇した場合でもそれに安心せず、岸田首相が解散カードを切ってくる可能性もあります。

解散・総選挙となれば、岸田首相に批判的な自民議員も一丸となって選挙を戦うしかない。それで自民勝利となれば岸田信任となり、サミット花道論は消えるでしょう。総選挙で勝った首相を辞めさせることはできませんから」

統一地方選は、知事・県議選が行なわれる前半戦が4月9日、一般市長・議員選のある後半戦が4月23日の投票となる。一方、政局の節目となる可能性大の広島サミットは5月19~21日の開催である。

果たして岸田政権は難局を乗り越えることができるのか。注目だ。

写真/共同通信社

各報道機関の調査で支持率30%前後の低空飛行を続けている岸田文雄政権。今年は挽回できるのか