2022年度の年末年始期間は、事前の渋滞予測とは裏腹に混雑が例年よりも大幅に緩和されました。その背景に社会の変化と、“次の3連休”こそがUターンラッシュになる可能性が見えてきます。

年末年始の渋滞予測 精度「73%」?

2022年から23年にかけての年末年始、高速道路では最大50km以上にも及ぶ激しい渋滞が予測されていました。しかし、年明け1月5日(木)にNEXCO3社(東日本、中日本、西日本)と本四高速が発表した実績では、意外なほど混まなかったことが明らかになりました。

12月28日1月4日の8日間で、10km以上の渋滞が発生したのは124回。この数値は昨年度と比べ64%、2019年度と比べても61%という結果でした。うち、30km以上の長い渋滞は、東北道の上りで1月2日に発生した1回(久喜白岡JCT付近、最大31.5km)のみ。最大50km以上の渋滞が予測されていた東名高速の上り線ですら、1月2日の25.4km(横浜青葉IC付近)が最大でした。

「事前の渋滞予測では、期間中に10km以上の渋滞が全国で169回発生するとされていました。実績は124回なので、(これを指標にすると)予測精度としては73%といったところです」。NEXCO中日本はこう話します。

期間中の1日平均交通量は3万5200台で、コロナ禍前の2019年度と比べると90%となりますが、昨年度と比べれば同程度です。上下線合わせた交通量のピークは例年通り1月2日だったものの、「特に上りのピークとされていた1月3日にヤマが来なかった」(NEXCO中日本)ことが、予測と大きく乖離した点だといいます。

渋滞予測の公表は、「ピーク(の期間や時間帯)を外していただくことが目的」だというので、その点では大きな効果を発揮したと言えなくもありません。それにしても、なぜここまで大きく予測が外れたのでしょうか。

雪のため? それとも社会の変化

NEXCO中日本は、「こうです」と言えることはないとしたうえで、次のような要因が考えられるといいます。

今シーズンは年末年始の前に多くの地域で降雪があり、年末年始期間も降雪が予測されていました。「それを見て、早め早めに行動された方が多かったのではないでしょうか」とのこと。

そしてもう一つが、働き方の変化です。「仕事始め1月4日ではなく5日とするなど、休みをしっかりとる動きがあります。5日(木)、6日(金)も休みとして、7日(土)から9日(月・祝)の3連休とつなげる方も少なくないでしょう」といいます。

帰省先からのUターンラッシュが、成人の日の3連休に分散する可能性も考えられる、ということです。

このほか、車線増設などの渋滞対策が進んだことで、混雑期に発生していた渋滞がゼロになった、という箇所もあります。さらに交通の分散が進めば、渋滞はますます緩和されていくのかもしれません。

渋滞のイメージ。2022年度の年末年始は予測ほどの混雑が発生しなかった(ドラレコ画像)。