俳優としても活動している髙口真吾が館長を務める、大阪の小劇場「一心寺シアター倶楽」が、2022年から開始したプロデュース企画「七の会」。上質な「二人芝居」の上演を目指して、実際の公演だけではなく、クリエイター同士の交流や観客の創出などを通じて、多角的にバックアップしていくという企画だ。第二弾となる今回は『二人芝居3本立て Stay Home~あの時僕らは~』と題して、東西の人気劇作家たちの既成の短編3本を上演する。

『ここにおる』に出演する森本研典(左)と髙口真吾(右)。

『ここにおる』に出演する森本研典(左)と髙口真吾(右)。

「Plant M」の樋口ミユ作『ここにおる』と、「燐光群」の坂手洋二作『ランナーもマスクを』は、いずれも2021年に復刊した戯曲雑誌『せりふの時代』のために書き下ろされた作品。『ここにおる』は、最近知人を亡くしたばかりの西成の日雇い労働者たちの、『ランナーもマスクを』はウォーキング中の訳ありの男女の会話を通じて、コロナ禍の都市風景や社会情勢を浮き彫りにしていく作品だ。

『ランナーもマスクを』に出演する小安展子(左)と芦屋雁三郎(右)。

ランナーもマスクを』に出演する小安展子(左)と芦屋雁三郎(右)。

一方、「ままごと」の柴幸男作『くりばなし』は、2013年の初演以来、様々な組み合わせで上演されてきた人気作。4コマ漫画を描こうとする男とその妻の、滑稽だけど最後には深い哀愁に包まれる会話劇だ。10年前の作品ながら、偶然にも現在のコロナ禍に通じるかもしれないと思える内容になっている。

『つくりばなし』に出演する上海太郎(左)と小林みね子(右)。

『つくりばなし』に出演する上海太郎(左)と小林みね子(右)。

会話劇の最小単位のスタイルゆえに、非常に密度の濃いセリフの応酬と、俳優同士の演技の妙を味わえるのが、二人芝居ならではの楽しみ。同じ二人芝居でも、かなりテイストの違う3作品がそろっているだけに、その魅力に目覚めるのには、もってこいの公演と言えるだろう。あえてトライアウトの形式を取るため、いずれの回も席数は40席程度なので、予約はお早めに。

七の会 第二回公演『二人芝居3本立て Stay Home~あの時僕らは~』