ベネディクトカンバーバッチにエディ・レッドメイン、いい感じに歳を重ねたコリン・ファース、ヒュー・グラントなどなど。確かな演技力と風格で観る者を魅了する“英国俳優”たち。映画や海外ドラマを嗜む人にとって根強い人気があるジャンル(と呼んでいい?)として熱い盛り上がりを見せてきた。そこで本稿では、2023年に注目したい英国俳優を映画ライター3人が一人ずつピックアップ。それぞれの惹かれる理由や推しポイントを語ってもらった。

【写真を見る】アフリカ系俳優として史上初めて、「ドクター・フー」のドクター役に抜擢されたチュティ・ガトゥ

■「ドクター・フー」に新風を巻き起こす予感のチュティ・ガトゥ

Netflixオリジナルシリーズ「セックス・エデュケーション」で主人公の親友で明るいゲイのエリック役で注目を集め、その演技力が絶賛されて英国アカデミー賞にもノミネートされたチュティ・ガトゥ。1992年ルワンダで生まれた彼は、94年に勃発したルワンダ虐殺を機に一家で国を脱出し、スコットランドで育つ。デヴィッド・テナントをはじめ、数々の英国俳優を輩出している英国王立スコットランド音楽院を卒業。「セックス・エデュケーション」のオーディションに合格するまでホームレス生活を送ったこともあるそうだが、同作で一気にチャンスをつかんだ。

英国の国民的番組「ドクター・フー」の15代目ドクター役に抜擢され、2023年から始まる最新シーズンではアフリカ系俳優としてシリーズ史上初めて主演を務めることになる。また、ゲイのドクターを演じるとあって、ご長寿シリーズに新風を巻き起こすのではと期待されている。さらに23年は、グレタ・ガーウィグ監督でマーゴット・ロビー主演の話題作『バービー(原題)』にも出演するなど、売れっ子街道まっぐらの予感。そのほか、ファッショニスタとしても知られているガトゥだけに、今後の活躍に大いに注目したい。(前田かおり)

マーベル作品やSF大作にも出演する未来の大スター、フローレンス・ピュー

英国出身で、いま最も勢いのある俳優は誰かと聞かれたら、真っ先に頭に浮かぶのがこの人。日本でも予想外のヒットを記録した『ミッドサマー』(19)で主演を務め、ルイーザ・メイ・オルコットの名作小説を新たに映画化した『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(19)でも錚々たるベテランを相手に堂々の演技で、第92回アカデミー賞助演女優賞にノミネート。その後も『ブラック・ウィドウ(21)や『ドント・ウォーリーダーリン』(22)と話題作が途切れない。

現在27歳だが、どの作品でも“貫禄”を感じさせるのは、生まれ持った性質なのだろう。サスペンスやスリラーでも常に輝きを放つ陽性の魅力、劇的なシーンでの多彩な表情、そしてインパクトの強い声質で、観ているこちらの心を鷲掴みにしてしまう。キュートさと意思の強さ、その両方を軽やかに演じ分ける才能も豊かなので、多くの作品に引っ張りだこなのだろう。壮大なSF作品の後編『Dune: Part Two(原題)』や、巨匠クリストファー・ノーランの『オッペンハイマー(原題)』、さらにマーベル作品『サンダーボルツ(原題)』と、待機作の豪華さにも驚くばかり。演技力にさらに磨きをかければ、英国出身の俳優として、ヴィヴィアン・リー、エリザベス・テイラーといった映画史に残る往年の大スターと肩を並べるポテンシャルを持っている。(斉藤博昭)

■舞台で培った抜群の演技力で見せるジャック・ロウデン

ジャック・ロウデンを初めて知って、彼と対面したのは、2017年の『ダンケルク』。推しのケネス・ブラナーとトム・ハーディが出ているからこそ期待値爆アゲだったのに、本編を観たら「誰よ、このイケメン!」と目を奪われたのがロウデンその人。見目がイケてるだけでなく、ハーディとの共演シーンで彼を食った芝居を披露していることでドハマリしました。その後出演した『イングランド・イズ・マイン モリッシー,はじまりの物語』(17)や『ファイティング・ファミリー』(19)などなど、ほんっとお見事な芝居にうっとり

それもそのはずだわ、と思ったのが、彼の経歴。イギリス俳優あるあるだけど、舞台でブイブイ言わせていたのね。おまけにイプセンの「幽霊」で、ローレンスオリヴィエ賞助演男優賞…って。そりゃうまいはずだわ。最近は映画じゃなくてドラマ。AppleTV+で配信のゲイリー・オールドマン主演作「窓際のスパイ」で若き新米スパイを演じております。これがもう…彼が推しという方だったら、萌えまくりお約束。(よしひろまさみち)

今回紹介してもらった3人以外にも、注目したい英国俳優はたくさん。推しの俳優を見つけて、その活躍を追っていくことで日々の生活に潤いを与えてほしい!

構成/サンクレイオ翼

2023年注目の英国俳優を映画ライター3人が紹介する!/写真:SPLASH/アフロ