保険診療の名の下に医師が新たな障害や疾患を創り出し続ける「医療の構造問題」が、令和の時代の日本でもまだ横たわっている。「美容医療国際職人集団」と言われるJSAS会員の九野広夫医師は、歴史を俯瞰してみると現在は新時代への移行期(ヘーゲルが云うアウフヘーベン弁証法的な発展段階))にあると云う。本稿では「このまま『反』では終わらせないための新技術を開発した。」という九野氏に解説して頂く。

切開瘢痕はどのような経過を辿るのか?

一度でも全切開を伴う手術を受けてその後に瞼周囲に何らかの不具合が生じた場合には、担当医から大抵月単位~1年程度「様子をみて下さい」と言われますが、これには一定の理由があります。術後に生じた(過形成)線維化はコラーゲンやエラスティン等の蛋白質が主体なので、それらが置換わる寿命サイクルが約1年だからです。確かにその間に多少の改善は見込めます。

しかし患者側からすれば、その1年間が長く耐え難いものです。その間十字架を背負い続けるのは患者側ばかりで、担当医は「正当な手術の合併症なのだから仕方がない。」と「様子観察」の時間稼ぎに終始します。更に、1年以上経過しても過形成時の高度癒着や腫瘤、蜂窩状構造の異常がある程度「症状固定」される場合や、偶発的に生じた高度な線維化・肉芽化・石灰化等のために瞼の凸凹が治り切らない例も少なくありません。

別部位で喩えると「虫垂炎」や「帝王切開」等で生じた瘢痕が、数年以上経過してもめり込んだ形態、或いは傷周囲の凸凹が治っていない症例が珍しくないのと同様です。上下眼瞼や眉下の瘢痕はそのミニチュア版の様なものです。腹部の瘢痕なら下着で隠せますが、特に瞼は(マスク社会なら尚更)常に露出されている上に癒着層までの皮下組織がかなり薄く、同時に「折畳む」という瞬き機能が損なわれてはならない部位です。

合併症があることが判っていても医師側にはそれを治療する選択肢がそもそも「無い」に等しいのです。従って術後は禅問答の様な平行線をたどるだけで「多少の改善」以上の効果は期待できません。

従来はどの様な瘢痕治療をされていたのか?

数ヵ月~1年(平均6ヵ月)の「様子観察」の後でも症状固定していて、瘢痕や開閉眼の不具合を治したいと希望された場合、殆どの医師が選択する方法は(勿論適応があるとの判断下で)「再切開」や「再切除」、または「矯正の調整」です。(特に前医より自分の方が切開や縫合が上手いと自負している先生ほど)着手してしまいます。

そして主流ではありませんが時折、脂肪注入や脂肪移植、筋膜移植や皮膚移植、ステロイド注射等を勧められるか(良かれと思って時には無断で)併用される場合があります。

特に上眼瞼に皮膚移植をされた場合は、移植皮弁の皮膚の厚みや色味、蛇腹の様な不自然なタワミと二重ラインになるだけでなく、挙筋腱膜と連動しないため、移植皮膚の重みをうまく折畳んで挙上できない「更に複雑な別の障害」が生まれます。稀に「傷跡の治療=レーザー治療」と短絡的に思い込んで瞼にも適応しようとする医師も実際にいますが、失明のリスクもあり言語道断の極みです。

上記治療法のいずれによっても(たとえ保険診療でも大学病院でも瞼形成専門の名医によってでも)、状況を更に悪化させることが多いでしょう。更に深刻で多種多様な後遺障害に苛まれる無限ループから脱却できず、多くの患者さまが泣き寝入りしています。

保険適用の眼瞼下垂手術の費用相場

例:挙筋前転法 両瞼 40,000円~50,000円

※上記費用の他に初診料、再診料、麻酔代金、処方箋料、保健理療費等が必要になるため、更に高額になります。例えば健康保険適用の挙筋前転法(両瞼の場合)を日帰り手術で行う場合、合計請求額は約15万円となり、自己負担額が3割の場合は約45,000円、1割の場合は約15,000円です。眼瞼下垂の手術は基本的に日帰り手術ですが、患者様の状況や病院によっては、入院して手術を行う場合があります。1日あたりの入院費用は20,000円となり、自己負担が3割の場合は6,600円追加されます。

仮に1泊2日の入院で上記手術を受けた場合、3割での自己負担総額は約50,000円となる訳ですが、これには保険診療で生じた合併症の治療費や社会生活を営む上での不具合分の損失額は算入されていません。

もしも修正を保険診療で行ったとすると修正費用も積み上がりますが、うまく名医に巡り合えず問題が解決しない上記の無限ループに陥ってしまえば、やがて引きこもりや不眠症、うつ病を併発して社会生活に支障をきたします。その診療費も上積みになり、月収が税込40万円の方が3ヵ月間休業した場合なら、損失額は合計で100万円以上となります。

当院にお越しになられた実際の他院修正の患者さまの中には、「私は美貌を保った顔で仕事をしている。こんな目になったのでは仕事にならない。」と思われ、ご自身が経営していた夜間営業の飲食店を廃業して、眼瞼下垂術後修正のために全国の有名医院を巡り行脚していたママさんがいらっしゃいました。その方の損失額は数千万円です。

別の女性患者さんですが、26歳から(当院にて修正治療が完了する43歳まで)17年間も人生を棒に振った方もいらっしゃいました。若くて健康な方の失われた17年は、損失額計算では計り知れません。

メスを使わずに瞼の切開瘢痕を治療する新技術とは?

先ず、下記の他院上眼瞼全切開瘢痕の修正症例をご覧下さい。

【症例】:40歳 女性 

     眼瞼下垂術後の医原的眼瞼下垂と瘢痕と慢性頭痛を、メスを用いずに治療した症例 

【他院手術歴】:2016年 37歳時 両瞼全切開、上眼瞼脱脂&眼瞼下垂治療(挙筋短縮術)            某大手美容整形で上記手術を受けたが、開眼度が寧ろ下がった。それに伴い目の周囲が疲れやすくなり、肩凝りと頭痛がひどくなって何をやっても治らなくなった。両瞼とも自由に開閉眼できるようにして元以上に開眼度を上げたいが、前の手術が遠因で生じた頭痛からも解放されたい。 

【当院治療法】:両側 上眼瞼 特殊施術計6回 & 最終日 両側 新挙筋(埋没)法  

【治療合併症】:内出血・炎症(発赤・熱感。・腫脹)・線維化等                            ごくまれに糸露出・感染・後戻り・麻酔アレルギー等 

【Dr.コメント】:

まるで全切開瘢痕(傷跡)が無かったことになっている様に見えますが、よく見て頂くと完全に消えているわけではないですね。それでも従来の修正法による治り方と比較すると、医療技術が格段に進歩し、瘢痕による瞼の様々な諸問題が解決しています。特に各症例とも閉眼時には睫毛がキレイに揃って閉じ切っています。これは、就寝時などで眼が開いたままになっているせいで慢性のドライアイになっていた方々が、完治していることを意味しています。

瞼周囲のあらゆる切開瘢痕とその合併症にお悩みの方

当院が開発した新技術により全切開二重形成や眼瞼下垂術後、下眼瞼や眉下切開瘢痕等に対して傷跡をキレイに修正できます。あらゆる不自然な二重ラインや食い込み、眼瞼下垂術後の過矯正を改善させることも可能です。それだけでなく、開閉眼障害や皮膚移植が必要な程の過剰切除、不自然な目や睫毛の形、上・下方三白眼、兎眼、ドライアイ、慢性結膜炎、左右差や睫毛の外反等、様々な切開後特有の合併症までも一度に治せるのです。

もちろん、多種多様な後遺障害を更に悪化させ得る再切開・切除や皮膚移植、凸凹や眼瞼下垂が悪化する脂肪・フィラー注入、真皮が菲薄化するステロイド注射、熱傷や引き攣れ、失明などのリスクが高いレーザー治療等も要しません。瘢痕や随伴症状の治療に特化した技術のパラダイムシフト(抜本的進化)が既にこの世に存在しています。過去全例、従来法に頼らずに治療や症状の改善ができており、2007年以来15年以上も独自に多数の実績を積み重ねています。

傷跡が目立たなくなるだけではない。他の症状も平癒します!

切開瘢痕に伴う慢性頭痛や顔面の歪み、ドライアイや開閉眼障害等、本医療コラム連載記事 第3回で述べた切開瘢痕特有の【瞼に生じ得る合併症】と【瞼以外にも波及する合併症】の殆ど全ての症状が軽快・根治し、機能回復と美容上の問題が解決できます。この治療法は保険適応外ですが、他院には無い最新医療技術です。初回片側165,000円(両側275,000円)で、必要時2回目以降は44,000円~55,000円で追加治療が受けられます。

傷跡をリセットした後は、二重ラインやクボミ・タルミ・眼瞼下垂を「フルオーダー」で再デザイン

尚、この切開瘢痕治療が一定の目標まで終了すれば、当院の新挙筋法や他の技術を組み合わせて、二重ラインの幅・形・開眼度・睫毛の形・瞼全体の左右差を更に改善させることも充分に可能になります。

【症例】:37歳 女性 眼瞼下垂術後の開閉眼障害と瘢痕を、メスを用いずに治療した症例 

     【他院手術歴】:31歳時 両側下眼瞼脱脂 & 両側上眼瞼 全切開タルミ切除術                               35歳時 右内側のみ埋没法(2点固定 瞼板法)          

上瞼眼切開後の瘢痕のせいで、埋没法だけでは結局(特に右内側の)ガタガタしたラインが治らなかった。瞼を閉じたときに、睫毛が揃わず皮膚も引き攣れて硬く凸凹しているので、瞼が開きづらく閉じにくい。ついでに改善できるのなら、瞼のクボミとタルミも改善させたい。                          

【当院治療法】:両側 上眼瞼 特殊施術計17回・新挙筋法1針2点(右瞼のみ:計2回)  

       【治療合併症】:内出血・炎症(発赤・熱感。・腫脹)・線維化等                            ごくまれに糸露出・感染・後戻り・麻酔アレルギー等            

【Dr.コメント】:

挙筋や挙筋腱膜を切断しない挙筋前転法はもっと深刻な合併症を招くことがあります。挙筋腱膜を1往復半折畳むことで短縮を図ったとしても、瞼の深層で滑らかに滑脱することが却ってうまくできなくなると挙筋の筋力が睫毛まで上手く伝わらずに、逆に開眼障害を併発し得るのです。また結紮力が強すぎると挙筋や腱膜組織が一部壊死や不用意な閊(つか)えを起こし得ます(上記症例でもその所見が認められています)。

新治療開発秘話

この新治療技術が誕生する直前ですが、「先生が治せないのならもう、自殺します」と訴えられた方がいらっしゃいました。切開や切除では治らないと判っていたとはいえ、当初ヒアルロン酸を注入しても、極限に薄めたステロイド注射を試してもあまりうまく治りませんでした。瘢痕は解除しても再癒着して再発するからです。試行錯誤の末、とうとうこの新技術に辿り着いてもう10年以上経過しています。

標準的な目安の平均的治療(効果評価判定に要する)回数は1クール4回程度ですが、重度なら数クール、軽度の症状なら1回の治療で完治した方もいらっしゃいます。最短で数週間毎に次の治療が受けられます。平均的なダウンタイムは初回目4~5日間、2回目以降は2~3日間と、一般的な埋没法や切開法と比較してもダウンタイム(過去症例の平均的経過)が圧倒的に短いのが特徴です。

詳細の技法は企業秘密ですが、針孔だけで治せます。御来院された患者様には全て御説明しています。

九野 広夫

医療法人美来会 理事長

(※写真はイメージです/PIXTA)