スーパーモデルのタチアナ・パティッツが、乳がんとの闘病の末に死去した。56歳だった。ニューヨークのザ・モデル・コープの代理人が、タチアナが先日他界したことを英紙デイリー・メールに認めていたが、今回、死因が乳がんであることを明らかにした。

代理人はこう語っている。

「言うまでもなく私たちは皆、彼女の死に打ちのめされています」
「彼女は思いやりがあり、優しく寛大な心の持ち主で、熱心な動物の権利擁護者でした」

コンデナスト社のチーフ・コンテンツ・オフィサーでヴォーグ誌の編集長でもあるアナ・ウィンターは、タチアナを「ヨーロッパのシックの象徴」と称賛。ヴォーグ誌にこう語っている。

「彼女は同業者たちよりもはるかに目立たない存在で、よりミステリアスで、より大人っぽく、手の届かない存在であり、それが魅力だった」

最初にこのニュースを報じたヴォーグは、タチアナのキャリアに大きな役割を果たしており、80年代スターダムへの道を歩み始めるきっかけを作っていた。

ドイツ生まれでスウェーデン育ちのタチアナは、17歳の時にモデルコンテストに出場したのがきっかけで、この業界に足を踏み入れた。1988年、有名写真家ピーターリンドバーグのモデルを務めたことでキャリアが本格的にスタート。その後キャリアは順調に進み、「ビッグ5」と呼ばれるスーパーモデルの一人となった。1990年にはジョージ・マイケルのヒット曲「フリーダム!'90」のミュージックビデオに、同じくモデルのシンディクロフォードクリスティ・ターリントン、ナオミ・キャンベル、リンダエヴァンジェリスタと共に出演した。

19歳の息子ジョナを残して旅立ったタチアナは、シャネル、ドナ・カラン、ヴィヴィアン・ウエストウッドなどのモデルを務めたほか、米英のヴォーグ誌にもたびたび登場した。2019年のミラノファッションウィークで、エトロの秋冬コレクションのモデルを務めたのが最後となった。