プレミアリーグ第20節、マンチェスター・ユナイテッドvsマンチェスター・シティが14日にオールド・トラッフォードで行われ、ホームのユナイテッドが2-1で逆転勝利した。

目下リーグ4連勝を含む公式戦8連勝と完全に復調したユナイテッド(勝ち点35)、は気付けば一時大きく離れていた上位陣との勝ち点差が縮まり、首位アーセナルと9ポイント差の4位まで浮上。直近のEFLカップ準々決勝でもチャールトンに3-0の完勝を収めた絶好調の赤い悪魔は前回対戦で3-6の惨敗を喫した宿敵にリベンジの白星を狙った。テン・ハグ監督はこのダービーに向け、負傷のダロトとコンディションにやや不安を抱えるリサンドロ・マルティネスの代役にワン=ビサカ、マラシアを起用した以外、現状のベストメンバーを起用。1トップにマルシャル、2列目に右からブルーノ・フェルナンデスエリクセン、ラッシュフォードが並ぶ[4-2-3-1]で臨んだ。

一方、リーグ3連覇に向けて絶好調のアーセナルを5ポイント差で追う2位のシティ(勝ち点39)は、過密日程による幾つかの取りこぼしがありながらも、安定して勝ち点を積み重ねている。年明け以降は難敵チェルシーとの公式戦連戦を見事に連勝で飾ったが、直近のEFLカップ準々決勝ではリーグ最下位に沈むサウサンプトンに枠内シュート0本で0-2の完敗。まさかの今季最初のタイトル逸となった。新年初黒星からのバウンスバックを期すペップのチームは、リーグ前節のチェルシー戦から先発2人を変更。負傷のストーンズとギュンドアンに代えてアカンジ、マフレズを起用。並びを[3-2-4-1]から[4-3-3]に戻した。

上位争いの行方を左右する重要な今季2度目のマンチェスター・ダービーは、互いに比較的慎重な入りを見せる。以降はボールを後方から動かすシティに対して、ユナイテッドが人を強く意識したタイトな守備で応戦する構図に落ち着く。

その中で強度の高い守備がまずまず機能するホームチームは、11分にエリクセンのスルーパスに抜け出したB・フェルナンデスがボックス右に持ち込んで両チームを通じたファーストシュートを放ったが、これは惜しくも枠の左へ外れる。

互いに相手の出方を確認した前半半ばを迎えて動きが期待されたものの、ユナイテッドソリッドな守備に手を焼くシティが、なかなか効果的にボールを前進させることができずに睨み合いの状況が続く。徐々に個々の立ち位置の変化でボールの循環にアクセントを加え始めたアウェイチームは23分、ベルナルド・シウバの浮き球のクロスのこぼれからボックス右のハーランドにシュートチャンスも、ここは相手DFの身体を張ったブロックに遭う。

打ち合いとなった前回対戦とは打って変わって胃がキリキリと痛むような緊迫した攻防が繰り広げられる中、守備でリズムを作るユナイテッドに続けて決定機が訪れる。まずは34分、中盤のB・フェルナンデスが背後のスペースへ出したスルーパスに抜け出したラッシュフォードが左サイドで飛び出したGKをかわしてシュートに持ち込むが、ここはDFアカンジのゴールカバーに遭う。続く37分にはエリクセンのスルーパスに再びラッシュフォードが抜け出してロドリをスピードで振り切ったが、ボックス右に持ち込んで放ったシュートはGKエデルソンにうまく間合いを潰されてゴールならず。

守備陣の好守で失点を免れたシティだったが、攻撃面では相手の堅固な守備ブロックを前にジャブを打ち続けるにとどまり、アディショナルタイムに放ったウォーカーの強烈なミドルシュートを含めシュート2本はいずれも枠を外れ、サウサンプトン戦に続いて枠内シュートがない攻撃の停滞が懸念される前半45分となった。

迎えた後半、先に動いたのはやや優勢に試合を進めていたユナイテッド。ギリギリでダービーに間に合わせてきたマルシャルを下げてアントニーを1トップのポジションに投入した。

一方、後半も同じメンバーで臨んだものの、スペイン指揮官ハーフタイムに施した戦術面の修正によってボールの循環を改善したシティ。よりボール保持率、相手陣内でのプレータイムを増やしてボックス内への侵入や際どいクロスでチャンスを作り始める。さらに、57分にはフォーデンを下げてグリーリッシュを最初のカードとして切った。

すると、リーグ前節のチェルシー戦同様にグアルディオラ監督の勝負手が先制点をもたらす。60分、中央のロドリから右サイドに展開されたボールを収めたマフレズが内側でボックス内に走り込むデ・ブライネに繋ぐと、一瞬外側にふくらんでカゼミロを振り切ったベルギー代表MFがゴールライン際で正確なクロスを供給。これをファーからゴール前に走り込んだグリーリッシュが完璧なヘディングで叩き込んだ。

後半は我慢の時間帯が続いた中、耐え切れずに失点を喫したユナイテッドは、守備面でギアを上げて再び前からボールを奪いに行く姿勢を見せるが、余裕を見せるシティからなかなか効果的にボールを奪えない。72分にはエリクセンを諦めてガルナチョをピッチに送り出すと、この選手交代が流れを変える。

ラッシュフォードを最前線、左にガルナチョを配置してより縦への推進力を生んだユナイテッドは78分に追いつく。自陣右サイドでのワン=ビサカの粘りの運びからカゼミロが斜めのスルーパスを相手ハイラインの背後へ供給。最初に反応したラッシュフォードオフサイドポジションも、その背後から走り込んだB・フェルナンデスがペナルティアーク付近で右足のシュートをゴール右隅へ流し込んだ。ラッシュフォードプレー関与の可能性からVARのレビューが入るも、最終的にゴールが支持された。

受け入れがたい判定によって少し集中力が切れたシティに対して、スタジアム全体で勢いづくユナイテッドは、再び相手の隙を突いて一気に試合を引っくり返す。

82分、ハーフウェイライン付近で味方からのパスを懸命に追ってマイボールとしたB・フェルナンデスが左サイドでスペースを狙うガルナチョにスルーパスを通す。そのままボックス左へ持ち込んだガルナチョは一度シュートをブロックされたが、こぼれ球を収めて鋭い反転でDFアケを一瞬外して左足でグラウンダーのクロスを供給。これをゴール前のラッシュフォードがワンタッチで流し込んだ。

デニス・ヴァイオレットが持つクラブ記録のホーム9試合連続ゴールに並ぶ背番号10の一撃でリードを手にしたホームチームは、ここからリスクを前に出るシティに対して逃げ切り態勢に入る。試合終了間際には殊勲のラッシュフォードを下げてマグワイアらを投入し、5バックで相手の攻撃に応対。

そして、シティの最終盤の猛攻をチーム一丸となった守備で撥ね返し続けた赤い悪魔がホーム開催のダービーで会心の逆転勝利。リーグ5連勝と共に公式戦連勝を9試合に更新し、暫定3位に浮上している。一方、不運な判定もあって宿敵に敗れて公式戦連敗のシティは、逆転での3連覇へ厳しい勝ち点逸となった。

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