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 ハビタブルゾーンとは、地球と似た生命が存在できる天文学上の領域のことだ。昨年末、赤色矮星「GJ 1002」の周囲で、地球型惑星が2個発見されたことはお伝えしたが、またしても新たな発見があった。

 今度は、太陽系から100光年ほど先にある赤色矮星「TOI-700」のハビタブルゾーン内に、 2つ目の地球型惑星が発見されたという。

 「TOI-700」では、すでに地球型惑星「TOI 700 d 」が発見されていたが、今回、NASAのトランジット系外惑星探索衛星「TESS」は、そのハビタブルゾーンにもう1つ地球型惑星があることを発見。「TOI-700 e」と名付けられた。

【画像】 ハビタブルゾーンにもう1つの地球型惑星

 TOI-700かじき座の方角、およそ100光年の先にある恒星グループの赤色矮星だ。そのハビタブルゾーンには地球の1.2倍ほどの岩石惑星「TOI-700 d」があることが以前から知られている。

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 またその内側には「TOI-700 b」と「TOI-700 c」という惑星があるが、こちらはハビタブルゾーンの外にある。

 新たに存在が確認された「TOI-700 e」は、TOI-700 cとTOI-700 dの間に位置し、やはりハビタブルゾーンにある。

 大きさは地球の0.95倍で、私たちの惑星とほぼ同じ大きさの地球型岩石惑星であるようだ。

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ハビタブルゾーンの惑星は2つの種類に分類される●

 同じハビタブルゾーンであっても、TOI-700 dが「保守的なハビタブルゾーン(conservative habitable zone)」に位置するのに対して、新たに発見されたTOI-700 eは「楽観的なハビタブルゾーンoptimistic habitable zone)」に位置する。

 そもそもハビタブルゾーンとは、恒星周囲の領域うち、惑星表面の水が液体のまま存在できる温度に保たれるところのことだ。

 だが、そうした領域をもっと詳しく見てみることもできる。

 例えば、楽観的なハビタブルゾーンは、ある惑星の歴史のうちのどこかの時点で液体の水が存在できただろう領域のことだ。

 それに対して、保守的なハビタブルゾーンは惑星がずっと居住可能であり続ける領域で、もっと狭い範囲になる。

 両者の主な違いは惑星の表面温度(つまり地表に液体の水が存在できるかどうか)だが、大気の厚さや組成にも大きな影響を受ける。

 NASAジェット推進研究所のエミリーギルバート氏は、ハビタブルゾーンをもっと広くとらえるようになったのは、「過去には火星と金星の地表にも液体の水があっただろう事実を考慮したゆえ」なのだそうだ。

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 このようにハビタブルゾーンを拡大して考えると、居住可能かもしれない惑星の数が増えるので、研究の幅が広がるのだという。それは太陽系の歴史を理解するうえでも大切なことだ。

 またTOI-700を公転する4つの惑星を比較することもできる。

 これらの惑星は、同じ恒星のまわりで、同じ星周円盤から形成された。つまり、どれも同じような初期条件の下で生まれてきたのだ。

 だから、それぞれの惑星の大きさやハビタブルゾーンの境界といった特徴を調べることで、それらが惑星の居住性にどのように影響するか知ることができる。

TESS Finds System's Second Earth-Size Planet

地球外生命はいつ発見されるのか?

 ハビタブルゾーンに地球サイズの惑星が複数存在する星としては「TRAPPIST-1」が有名だが、TOI-700もそこに仲間入りを果たしたことになる。

 ちなみのこの発見発表の翌日には、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によるものとしては第一号となる太陽系外惑星LHS 475 b」の発見も発表された。こちらも地球くらいの大きさの岩石惑星だが、恒星に近くハビタブルゾーンからは外れているそうだ。

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太陽系外惑星「LHS 475 b」予想図 / image credit:ESA

 この研究は『Astrophysical Journal Letters』に掲載される予定だ。

References:Exoplanet-hunting satellite discovers a planetary system’s second Earth-size world / written by hiroching / edited by / parumo

 
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太陽系近くの恒星のハビタブルゾーンで、地球型惑星がまたしても発見される